第八話『成長』

特訓を初めてから二週間が経過した

零士の成長は凄まじく

白に攻撃を完璧に防ぐだけでなく

攻撃を与えられるまでにもなった

白が使う技もある程度は使えるようになり

致命傷は与えられずとも

二週間前と比較してみれば

どれほど強くなったかは一目瞭然だろう

ちなみにこの戦いで魔法は一切使っていない


エルニカ王国のとある高原にて―


「よし!もう一回だ!」


「おっけー!」


そう言って剣を交えるのは零士と白だった

その特訓は普通の人だけでなく

剣の達人でさえも目視できず、

一回一回の剣を交える鋭い音しか分からない

それもそのはず·····彼らの速さは既に

音速の域を越えていたからだ


ではなぜここまで急成長をしたのだろうか

零士の努力が実った?白が強いから?

技能スキルの影響?

それとも零士が天才だったから?


正解は·····


普通の人間がたった二週間で

ここまで強くなるなんて不可能だ


どれだけ剣術の努力をしようと

どれだけ師範が剣の達人だろうと

技能スキル 武器操作の能力の一つ

練成をもってしても二週間で

あれだけの成果を出すなんて不可能

強くなる速度にも限度が存在するからだ


この急速な成長は零士に秘められてる

とあるが深く影響しているが

零士がそれに気づくのはとても先のお話·····

さてこの先、零士はどうなるのだろうか

非常に楽しみである



「よし·····今日はここまででいいかな」

腰にある鞘に刀を収める零士


「おっけー!」

そう言うと同じく刀を鞘に収め、

その刀を異空間に収納する白


白は零士に近づき―

「お疲れ様〜零士〜!」

と微笑みながら言う

まるで疲れていないみたいだ


「いつもありがとう白

特訓に付き合ってもらって」



「大丈夫だよ〜!これも零士のためさ!」

ウィンクをしながら白は言う


少し間を置き、心配そうに白は―

「それより·····明日だけど·····大丈夫?」と聞く


その質問に対して零士は言う

「ああ問題ない!準備万端だ!」―と

その時の零士の表情は

『心配』や『不安』とはまったく無縁の表情で

まるでこれから遊園地に行く子供のような·····

もしくは大きな冒険に出る勇者のような·····

そんな高揚感と勇気に満ち溢れたものだった



彼がここまで剣術を毎日がんばっているのには

日課という理由以外に別の理由があった


それは一週間前に遡る·····


ある日のこと

特訓を終え街に着いた零士と白は宿へ向かった

風呂で体を洗い、新しい服に着替える

その日の特訓での汚れが落ち

疲れが取れて一段落着いた所で

零士は白にある事を聞くことにした


「なあ白、学院のことなんだけどさ

入学試験っていつなんだ?」


「ええとね·····」

そう言うと白は異空間から

辞書くらい分厚い本を出して何かを探し始めた


まさかそこに情報載ってるの?

その本全知の書とかだったりする?

一応白だって神(笑)だし

全知の書の一冊や二冊普通に持ってるよねー


そんなことを思っていると

案の定心を読まれていたようで

白になんとも言えない目で見られる

まるで道に落ちてるゴミを見るかのような

·····ん?

白が目から訴えていることを翻訳するなら

『誰が神(笑)だって?·····』だよな絶対

·····ん??


技能スキル『思考加速』が働かない

緊迫とした空気の中

零士の思考は少しの間停止する·····その後に―


「·····すみませんでした··········」


と誰にも聞こえない小さい声で白に謝る零士

しかし白には聞こえていたようで

明らかに作った笑顔で "ニコッ" とする

背筋が凍る零士はとっさに顔を背ける


白は何事も無かったかのように

本をパラパラとめくりだす

だが白の手がピタリと止まる

目で文を追い、見つける


「·····あった、ええと·····8日後の朝·····

場所は『王立エルニカ学院』·····だって」


『 王立エルニカ学院 』

俺たちが今滞在している国『エルニカ王国』は

人類種ヒューマンが統治している国にも関わらず

魔術や剣術に関して精度の高い教育をしている

さすが軍事力が五本の指に入る超大国!


そんな超大国『エルニカ王国』には

『三柱』と呼ばれる大きな学院がある

剣術とその理を教える『聖剣学院』

魔術とその理を教える『魔術学院』

そして、その両方を教える

『王立エルニカ学院』


って本に書いてあった!·····え?

なんでそんな情報を知っているのかって?

それは特訓以外

全部本を読む時間に当てたからだ!

英語とか苦手だったけど白がいたから

分からないところ翻訳して教えてもらったし

この世界についても何となくだけどわかった

いつの間にか『自動翻訳』って言う

便利そうな技能スキルも付いたし!一石二鳥!


·····まあとにかく俺はこの学院へ行く予定だ

なんとこの学校驚くべきことに

『特別クラス』なんて言うものがあるらしい

そこは魔法と剣を両方扱える者が行くクラスで

一年に一回行う試験でも多くて数人居たら

いい方で、ほとんどがいない場合である

俺はそのクラスに入りたい


何故かって?それは·····『 暇 だ か ら ! 』だよ

·····冗談だよ·····本当だよ?


ちゃんとした理由は至って真面目で

俺と同じ転生者が居るかも知れないからだ

臆測だが転生者なら俺と同じように強い能力を持っていてもなんら不思議じゃない

こんなのアニメとかの定番だしな

俺みたいに学校に来るとは限らないけど

可能性があるならやるしかない


しかも8日後·····つまりあと一週間しかない

早く特訓しないと手遅れになるかも·····

·····なるかな?

だって俺、自称かm·····白に

『普通の学院の生徒を圧倒している』って

太鼓判押されたしな·····

まあ今回行くのは特別な学院なんだけどな

·····こうなったら白にできる限り

特訓してもらうしかない!


「八日後かー·····よし白!

これから特訓の時間増やそう!」

日程を見て、そう提案する零士


「もちろんさ!

全力でお手伝いさせてもらうよ!」

―と答える白だった



そして現在に戻る

宿の部屋にて―


「その服じゃ味気ないよね」

そう言うのは零士の服を見て言う白だった


「え?まあ確かに·····」

まあこれ初期装備的なあれなんで

しょうがないよね

だけどこの服を着ながら人の前で戦うのは

·····なんか嫌だねうん


「よし服を作ろう!どんなのがいい?」


服も作れるんですかこの自称かm·····白様

うーんそうだなー·····熱変動耐性もあるし

別に暑くてもいいんだよな〜·····


「ハイネックの黒のロングコート·····とか?

肩から腰に大きいベルトとか欲しいかも

白が全身白だし·····俺も全身黒にしようかな」

どっかのキ〇トさんみたいな


「おっけー!製作(プロジェクション)!」

そういうと何も無いところから

ご要望通りのロングコートが出てきた

しかも着てみるとサイズぴったり

しっかりとロングだし!さすがぁ


「さんきゅ!白!」

微笑んでお礼を言う零士


それに対して―

「どういたしまして!」

と言ってニコッとする白だった


次の日 試験当日

場所は王立エルニカ学院の闘技場に移る

学院にはたくさんの人で集まって賑わい

試験が始まるのを待っていた


試験の申し込みを完了させた零士は

学院の校内を白と共に歩く·····


「おーいろんな人が来てるなー」

「そうだねー!果たしてこの中に

零士が求めている人は居るのかなー?」


さすがに心を読まれてたか·····まあいいや!

別に隠すことでもないし


「居てくれたら親近感湧いてうれしいけどね」

そういうと白が―

「しょーがないなー!

神としても祈っておいてあげるよ!」

ふざけ半分で微笑みながらそう言った


そんな話をしていると闘技場の門の前に着いた


「いよいよ始まるんだね·····がんばって!」

両手でガッツポーズをする白

それに対して零士は―

「おう!がんばってくる!」

と言って、そのまま門をくぐり中へ入る

そんな零士の後ろ姿を見た白は―

「じゃあ僕観覧席で見てるからね〜!」

と言い手を振りがなら見送る

零士は白の声に手の甲を振り返す

白はそれを見ると観覧席に向かう

どこか安心した表情をして·····


よっしー!がんばるぞー!


そんな事を思いながら歩み続ける零士

いよいよ零士の初めての試験たたかいが幕を開ける!




【ステータス】

名前:レイジ=アカツキ

種族:人類種ヒューマン

称号:転生者

加護:創造神

魔法:火 水 風 土 岩 氷結 電気 音

ㅤㅤㅤ回復 生活 補助

技能:武器操作 詠唱破棄 中級魔法操作 音速

ㅤㅤㅤ身体操作 思考加速 鑑識鑑定 思念伝達

 ㅤㅤ多重結界 蜘蛛之糸 身体装甲 気配察知

ㅤㅤㅤ自動翻訳 超記憶 想像者 進化者 威圧

ㅤㅤㅤ吸収 麻酔 模倣

耐性:熱変動 水 土 風 岩 電気 音

備考:剣技

武器:妖刀『朧月』



名前:白

種族:???

称号:創造神

加護:???

魔法:???

技能:???

耐性:???

備考:剣技

武器:刀『???』

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