第四話 『最初の国』
長い洞窟を抜け、街へ向かう零士と白
心身ともに疲労困憊し
一刻も早く街へ着きたかった
今まで真っ暗な洞窟に居たせいか
こちらの世界で初めて日の光を浴びたとき
零士はとてつもなく心地よいと感じた
まるで天国にいるようだと
そんな心地よい日の下で
零士と白は、森の中を歩いていた
「ぜぇーはぁー! 白〜! 街はまだか〜?」
息を切らせてそう白に聞く
零士達は重たい足で土を踏み続けた
洞窟を出てから今まで一度も休んでいない
·····にしても遠くないか?
もう二時間はとうに歩いてるぞ?
あの洞窟なんて森の中にあるんだよ!
普通初期リスポーン地点なら
最初の街とか短い洞窟だろ!
白なんであんな所に召喚したんだ?
長いし疲れるし·····そこじゃないと
召喚できないとかあるのかな?
そうこう考えていると白が先程の質問に答えた
「もうすぐ·····着くよ·····」
白も体力の限界が近いのだろう
俺よりも息を切らせて喋っていた
横を見ると白は
疲れた表情で 汗を流しながら歩いていた
早く街につかなければ
·····だけど白って最初会った時
宙に浮いてなかった?
世界の狭間でしか
神の能力が使えないとかそんなんかな?
ふと疑問が一つ出てきたが
そんな事を白に聞く余裕は零士にはなかった
「着いた!」
確かに·····そう聞こえた·····
白の喜びに満ちた声が·····
耳を疑ったが前を見ると大きな街
·····いや国の門があった
たくさんの馬車が門を行き来し
色んな人々が入国するために並んでいた
人だけでなく亜人も
まさに異世界といった感じだ
遂にたどり着くことができたのだ
最初の街に!
「やっと着いたな〜 最初の街に!
ここはなんて言う国なんだ?」
「ここはエルニカ王国 現国王
『アレクサンダー フォン アルトマイヤー』
が統治している超大国で
軍事力は世界で五本に指に入ると言われている影響力がとても大きい国だよ」
俺が住んでた元の世界で言うとアメリカとか
ロシアみたいな存在って訳だな
どおりで人がわんさかくるわけだ
亜人とかも来るってことは
亜人の国とかもあるのかな
いつか行ってみたいけど
なんかだいぶ先になりそうだな〜
「なるほどね〜了解!じゃあ行くぞ〜」
零士が門へ行こうとすると慌てて
服を引っ張り全力で門へ行くのを止める白
「まってまって!!」
「·····ん?なに?」
「身分証とか持ってないでしょ!
どうやって入るつもりなのさ!」
根本的な所を突っ込む白
たしかに·····
誰かも分からない
国には入れたくないだろうしな
こんなすごい国だ 厳重に違いない
身分証とかどうしようか
どっかで作れたりしないのかな
どうにか入る方法を考えていたら
白がこんなことを言ってきた
「身分証なら僕が作ったよ
一緒に行く時に渡そうと思ってたんだ
渡す前に先に行くとは思わなかったけど」
そう言うと異空間から身分証を出す白
収納魔法?·····なのかな?
あっここでは生活魔法だっけ·····
あとで教えてもらおう
準備が良いとはこの事を言うのだろうか
しかし少し呆れた表情で白は言った
しょうがないじゃん 忘れてたんだから
人間だしそういうこともあるじゃん?
·····あるじゃん?·····あるよね?·····ね?
エルニカ王国の身分証を白から受け取り
6~7人が並ぶ列に同じように並ぶ零士と白
俺たちの番になり、入国手続きを済ます
門をくぐると、商人やハンターなどの
たくさんの人が賑わい
いくつもの出店が連なり
中世のヨーロッパのような建物が建ち並び
馬車が道を通っていた
アニメや漫画で何度も見て、憧れた
異世界そのものの場所だった
「やっと着いたね……零士!」
「ああ!ここが……最初の国!……」
「エルニカ王国!!」
「エルニカ王国!!」
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