第13話



 ――初めてダンジョンボスを倒したその翌日。


 俺は、再びギルドへ向かった。

 もっと自分の力を試したくて、うずうずしていた。


 ギルドに入ると、朝一番ということですでに冒険者が大勢いて、受付待ちで並んでいた。


 俺は整理札を取って、大人しく椅子に座って順番を待つ。


 ――ふと、近くで話していた冒険者の声が聞こえてきた。


「いや、ほんと最悪だよ。お気に入りの剣だったのによぉ」


 なにやら剣を見てため息をついている。見ると、その剣の刃は少し欠けていた。


「鍛冶屋には行ったのか?」


「ああ。ここまで欠けが大きいともう直せねぇって。60000ゴルしたのに<ゴミ>になっちまった」


 と、突然出てきたその言葉に俺は思わず反応する。


 ――ゴミ。


 それなら、俺の“ゴミ強化”で強化できるんじゃないか。


 村でクワを直した時も、ボロボロのクワがマジックアイテムのように強化された。

 同じようなことが起きるかもしれない。


「あの……」


 俺は見知らぬ男に声をかけた。


「ん? なんだ?」


「その剣、もしかしたら直せるかもしれないんですけど、俺の強化魔法試して見てもいいですか?」


「……強化魔法で? 別にどうせ捨てるだけだからいいけど……」


 と、男は俺に剣を手渡してくれた。


 俺はすぐにスキルを発動する。


「――“ゴミ強化”」


 俺がそう言うと、刃の欠けた剣は光り輝く。

 見た目にはあまり変わらないが――


「……これでどうですか? 見た目は変わらないですが、多分ステータスが強化されてると思うんですが」


 男に剣を返す。

 すると、男は半信半疑で仲間に“鑑定”を依頼する。


 そして鑑定をした冒険者は、すぐに目を見開いた。


「……おい、ちょっと待て、ステータスが爆上がりしてるぞ。強度100!? しかも魔力耐性も30になってる! どうなってんだよ!? 魔道具みたいになってんぞ!?」


 どうやら強化は成功したようだ。


「ならよかった。これで捨てなくて済みますね」


「し、信じられねぇ」


「……あ、ありがとう。お前の強化スキルめちゃくちゃすげぇな。ゴミが一瞬で魔道具になるなんて、やばすぎる」


「いやいや、それだけが取り柄なので……」


 俺は朝からいいことをしたと、気分が良くなる。


「兄ちゃん、ゴミを魔道具に変える力があるんだったら、<剣の遺跡>に行ってみたらいいかもしれねぇな」


 と、男が教えてくれる。


「<剣の遺跡>ですか?」


「あそこには、使えなくなった武器が山のようにあるんだ。町から遠いし、ゴミしかないからって理由で、攻略を後回しにされてんだが、兄ちゃんにとっては宝の山かもな」



 なるほど、確かにそれはいい情報を聞いた。

 捨てられたゴミを強化すれば中古屋で売れるかもしれない。

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