第4話 コワレモノ

 俺は、ソフィアの首にロープを絡ませながら、まるで犬の散歩に連れて行かせるようにロープを引っ張って、時々首を絞め、強制的に歩かせ、大きな街まで到着する。門番にはあくまで奴隷だと言い中へすんなり入る。


 街に入ると俺はすぐに路地裏に入り、ソフィアの首に絡ませたロープを近くの柱と結び繋げる。手足の抵抗は出来るが、下手に動けば更に首が絞まる絡繰だ。


 また街の路地裏の深い場所は、衛兵の目が届かず、大通りと比べて治安が悪く、俺にはそれが好都合に見えた。俺にとってではなく、ソフィアに更なるトラウマを植え付ける為だ。


 ソフィアのこれ程までに育った身体を見て、襲わない奴なんているだろうか? いや、居ないね。俺だったら迷わずボコボコにしてる。ま、もうやってるけど。


 トラウマを植え付ける理由は一つ。俺に対して従順にさせる事。最早人間である事を捨て、完全に俺の玩具になる事。そうすれば俺はアイツを一生やれる。自分の玩具を他人壊されたくないだろ? それと同じだ。


 あぁ、柱に縛りつけるソフィアの様子見ていると興奮してきた……。俺の興奮を治めてくれ! ソフィア!!


 俺は気絶するソフィアを起こすべく、腰を入れて、思いっきり腹を抉る様に殴る。


「げぇっほぉ!? えぇっほ! げほっげほ」


 それほど苦しかったのか、ソフィアは吐血し、その血で俺の腕が汚れる。


「おいおい……何してくれてんの……?」

「ひっ……ご、ごめんなさい」


 なんて可愛いんだぁ、正直に謝ってくれるなんて……。


「へぇ〜、やっと謝れるようになって来たか……これはこれはご褒美を上げないとなぁ。何にしようかなぁ?」


 俺がソフィアに送るべき『ご褒美』を考えていると、ソフィアの歯は、あからさまに恐怖でガタガタと鳴る。


 あぁ、可愛い、可愛い。まるで怯えるチワワのようだ。


 そう、悩んでいるとがっちりとした筋肉の付いた上半身裸の男とそれの下っ端だと思われる三人の人間が後ろから声を掛けて来た。


「おいおい兄いちゃん。一人で何楽しんでんだよぉ。俺らにもヤらせろや」


 あぁ、良いところに来てくれたぁ。


「ソフィア。ご褒美はコイツらだ」


 まるで泣き叫ぶ子供を慰める様に小声で且つ笑顔で俺はソフィアに伝える。


「良いぜぇ? 好きにやってくれ。俺はコイツが泣き叫びながら犯されるのを見ても興奮するからなぁ……。ただ、絶対に殺すなよ」

「ひゃっほう! あんた話が分かるじゃねぇか! じゃあ、好きなだけ楽しませてもらうぜぇ?」


 俺は近くの木箱を椅子代わりにして、男達とソフィアの様子を見守る。


「い、いやあああああっ!!」

「良い声で鳴くじゃねぇか! はははは!!」


 男達は先ず、がっちり筋肉の付いた太い腕と拳で何度もソフィアの腹を殴る。


「おらっ! おらぁ!」

「お"ぇっ!? ぐぇっ、あ"っ!」


 何度も血と涎とゲロを吐く姿。あぁ、ゾクゾクする。流石ゲームの中の世界だぜぇ……正にリョナだなこりゃ。


 現実じゃ絶対あり得ない。いや、ゲームの中だからこそブス顔じゃなくて、あくまで整った顔で形成される辺りがとても良い。


「あ……あ……」


 存分に殴って興奮がピークに達した男達は遂に、ソフィアの着る服を力任せに破り始める。破られた服からはまだ傷の付いてない色白な肌が露わになる。


 顔だけ男の性欲を唆るソフィアの身体は、正にその為だけに生まれて来たと言っても過言ではない。


 男達はその身体を見て更に興奮を高める。まるで獣の様に涎を垂らし、息遣いも荒くなる。

 そして男達が取った行動は一言で言えばカニバリズム。こんな女を簡単に逃すことは出来ないと考えれば一人は最初に片腕を喰らう。

 鋭く尖った歯によって柔らかい肌と肉はいとも簡単に食い破られ、そこから赤い血が吹き出す。


「ああああぁぁッ!!!?」


 男は吹き出た血を啜り、さらに肉を歯で抉る。その出血量はおびただしく。下手すれば出血死もありえるが、男はそんなことはお構いなしと思うほどに興奮は高まっていた。


「美味ええええぇ! これが若い女の味いいいいい!」

「うっわ……当初の予定とは違うけど、人の肉ってそんなに美味いのか?」

「あ? クソ不味いに決まってんだろ。でも見ろよ。こんなにいい声で鳴く女の鳴き声を聞きながら食えば、その不味さも分からなくなるってもんだろ」

「そういうことか!」


 そうソフィアの片腕を喰らう男に続き、その行動の理由を納得したもう二人の男は、ソフィアの横腹と太腿を舌と肌で舐め回しながら喰らう。


「ああああ"あ"ぁ"ぁッ! 痛い"ッ! 痛い"! 痛い痛い痛い!」

「ヒャハハハ!」


 そんなこんなで楽しんでいるところだが、俺は予定を思いついたので男たちソフィアを任せることにした。


「さてと、俺はちょっくら買い物行ってくるから、『殺さない程度』にやっててくれ」

「へいっ兄貴! この恩は絶対に返しますぜ! おいお前ら、他の奴らも呼んでこい!」


 俺は、この後何をしにいくかと言うと、念のための回復アイテムの購入だ。最初に殺した剣士のパーティーや、ソフィアの爺さんからお金はたんまり受け取ってるからな。買える分は買っておこうか。ま、どうせ死んだら全部なくなるんだけどな。


 そうして緊急時に回復薬を買い込んだ後、ソフィアの元に戻ると……。


 疲れ果てた男達がソフィアを囲み、ソフィアは全裸でボコボコと体の部位が所々抉れた状態で、血溜まりの中で目から光を失い、完全に精神が壊れた状態で横たわっていた。


 あーあ、壊れちまったか。まぁいいや。最後は俺が楽しませて貰おうじゃねぇか。


 俺は最初にソフィアの腹を蹴飛ばし、目が微かに覚めた所で髪を鷲を掴み、地面に後頭部を叩き付ける。


 しかしソフィアの反応は先程までとは全く違い、呻く事も無くただ生気の無い表情をしていた。


 殺す。壊れた物は廃棄だ。俺の玩具になれなかった事をあの世でも悔やむと良い。


 俺は、近くにばら撒かれていたコンクリートで固められた手の平サイズの瓦礫を拾い、勢い良くソフィアの顔面に叩き付ける。


 石や鉄を含んだ瓦礫と、馬乗りになった俺から放たれる全体重を掛けた一撃は、ソフィアの頭部を変形させる。


 何度も、何度も、何度も叩き付ける。


「死ね! 死ね! 死ねえええぇ!!」


 そして遂にソフィアは生き絶えた。ピクリとも動かない瞳に、半開きの口から呼吸の息も出てこない。俺は完全に殺したと確信した。


 最後に瓦礫をソフィアの喉仏に置き、踏み潰す。


「後は片付けだなぁ……。全く汚ねぇゴミを出しやがって。粗大ゴミを捨てるのって大変なんだぜぇ?」


 俺はソフィアの四肢と頭を切断し、ここまで持ってきた布にくるんで、しっかりと結ぶ。


「はぁ〜あ、終わった終わった。次の女でも探しに行こうかな」


 そう呟いた時、正面、路地裏の退路を塞ぐ様に如何にも衛兵の身なりをした三人の男が俺に近づいて来る。


「貴様! 今こっちから女性の叫びが聞こえてきたという通報があったのだが……何か知らないか?」


 全く、ヒーローは遅れて来るって何処でも同じ何だな。でも、遅すぎる。


「お前らもヤりに来たのかぁ? だが遅かったなぁ。でも、屍姦が好みならくれてやるよ。ほらよっ。その袋、開けてみな」


 俺はかつてはソフィアという名の女が入っていたゴミ袋を衛兵に投げ渡す。


 衛兵は恐る恐る、袋を開けると……最初に見えたのが女性の頭部だった。


「貴様がやったのか……?」

「おうよ。壊れちまったから捨てたいんだよ。どっか捨てる場所知ってる?」

「貴様ああああぁぁぁッッ!!!」


 衛兵は俺に喉が枯れんばかりの叫び声をあげると、ワイヤーフックの様な小型銃を腰から引き抜くと、何の躊躇いもなく俺に撃ち込む。


 一切痛みの無い一撃に俺は首を傾げるが次の瞬間、俺は余りの激痛で態勢を崩す。


「ぐああああッ!! がががぎぎぎ!!?」


 全身に電撃が走った。罰ゲームである様なレベルでは無い。本当の人を殺すレベルの電撃だ。


 そこで俺は意識を手放した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る