第3話 玩具
男女比は男が多くて、女が少ない村ねぇ。まぁ、どちらにせよ。俺には問題ねぇ。顔が多い方が楽しめるしな。
俺は殺したお爺さんの言う通りに道を歩くと、すぐに小さな村が見えた。村というより集落の様で、人口は僅か百人も登らない程だと思う。
俺は、村の入口を通ろうとすると、見張りの人間が「ようこそ」と言った同時に俺の姿が驚く。
「ってうわぁ! どうしたんだ? その返り血……」
「あぁ、ちょっとそこの
「そ、そうですか……。良かったら、代わりの服を用意しましょうか?」
部外者には親切に。とか教えられてんのか? この村は。全く、今日殺した冒険者と言い、警戒心がなさ過ぎる。これじゃあ殺った後もなんか物足りなく感じまうなぁ。
さて、聞きたい事もさっさと聞いて終わりにするか。
「いや、良いよ。所で探している人がいるんだけど」
「探してる人?」
「あぁ、さっき一人のお爺さんとすれ違ったんだが、娘が一人いるらしくてな。伝言を頼まれてるんだ」
「娘が一人……そのお爺さんは何歳くらいかな?」
「んー、大体見るからに八十は超えてんじゃねぇかな」
誰なのか考える村人の口から予想外な人物が出てきた。
「もしかして村長かな? まだ村長。古い友人に会うと言っておきながら、帰ってないしな。日帰りとは聞いていたんだけど……因みに伝言って?」
「帰りは遅くなるってさ」
「そうか。じゃあ、娘さんのところに案内するよ」
ま、もう一生帰ってこないんだけどなぁ……。あーあ、爺さんの首でも持ってこれば良かったかなぁ。
俺は村人に案内され、村長の家に居るという娘の所まで案内される。そして、家の中にその娘は居た。
あぁ、これはこれは、村長にとっての愛娘じゃねぇか。高身長で黒髪、出る所出てて、面倒見の良さそうな娘だぁ……。歳も二十代前半と若い。コイツは殺りが有るなぁ……どうやって怯えさせようか?
「ソフィアさん、旅人の方なんですが、お父さんとすれ違った様で伝言を頼まれた様です」
「伝言……?」
女はキョトンとした表情で俺の姿を見ながら伝言が何たるかを聞き返す。
ただ此処で伝言を言ってしまえばチャンスはもう無いだろう。適当に理由を付けて、中へ入ればもう俺のもんだ。
「あぁ、帰るのが遅くなると聞いたんだけど、理由については話が長くなる」
「そうですか。なら立ち話も難ですし、こちらへどうぞ」
コイツも警戒心皆無かよ! ったくしょうがねえなぁ。
俺はソフィアという名の女の案内の元、話をする為の個室に入る。そして向かい合わせのソファに座らせられる。
「それで、お父様の伝言とは?」
そんな物は当然無い。俺の目的はお前を誘拐する事だ。まさかとんとん拍子にここまで計画が進んでしまうとは思わなかった。
俺は無言で立ち上がると個室の鍵をおもむろに閉める。
「え?」
「伝言? ……んなもん無えよおッ!!」
俺はソフィアの座る横に立つと、言葉と同時にソフィアの顔面向けて回し蹴りを繰り出す。ソフィアはあまりの衝撃にソファから個室の壁まで蹴り飛ばされる。
「がっ!? あ、え?」
「叫ぶなよ? ま、叫べない程にしてやるがな!」
俺は壁に倒れ込むソフィアの髪を鷲掴みでお腹辺りまで持ち上げると、その姿勢のまま、顔面にもう一発膝蹴りを打ち込む。更に一撃、また一撃と。
「がっ!? ゔぁっ、あ"っ、げぇっ」
ソフィアの顔面は何度も叩きつけられる殴打により、先ほどまでの可愛い顔は凸凹に変形し、歯も折れ、鼻から血が吹き出す。
「はははは!! いい加減黙れええええ!!」
俺はボコボコで息が絶え絶えになるソフィアを止めに壁に擦り付けなら首を絞め持ち上げる。
「あ"っ! が……あぁ……」
ただ今は殺すつもりは無いので、窒息しないようにゆっくり締め上げる。だんだんと意識が飛びかけるソフィアを前に俺は首を締める力を少しずつ弱め、完全に気絶するのを待つ。
「…………」
「はーい、お仕舞い」
俺は気絶したソフィアの顔を見せない様にうつ伏せにさせると、個室の鍵を開け、大声で人を呼ぶ。
「大変だ! ソフィアが急に倒れた!」
その声に村の大人達は反応し、ソフィアに駆け寄る。大丈夫か! と声をかけたりと混乱する中、俺はここでもかと、声を荒げる。
「俺は今から病院に連れていく! みんな! どいてくれ!」
運びやすい様に大人達から貰った布で素早くソフィアの体を包み、顔を完全に覆った状態で持ち上げる。
突然倒れたソフィアを見知らぬ旅人が病院へ連れていく。倒れた事に直ぐに病院へというワードが出る事に村人達は何ら疑惑を持たなかった。俺の評価は爆上がりだな!
病院なんて連れて行かない。あくまでコイツの言うお父さんに合わせるだけだ。そう、既に死んでいるお父さんにな。
例の剣士や魔道士が死んでいる道までソフィアの体を持っていくと、俺はここでソフィアを包んでいる布を解く。さて、どんな反応するのやら。
しばらく経つと、ソフィアは目を覚ます。俺は爺さんの首をソフィアの目の前に置く。まだ寝ぼけているのか、転がる首を見てソフィアは優しげな顔になる。
「お父さん、帰ってきてたんだね」
「……」
しかし、返事は無い。
「あれ? お父さん……? 寝てい……え?」
「……」
ソフィアは父の首より下が無い事に気が付き、完全に意識を覚醒させた。
「お、父さん……?」
今だ。正に最高の表情を見せてくれるその瞬間に俺は、爺さんの頭を潰す勢いで踏み付ける。バキッグシャリと音が鳴り、娘の前で父の頭は吹き飛び、ただの赤い臓物に成り果てる。
「あ……あ、あああああぁぁぁ!!」
「ははははひゃはははは!!!」
目を覚まし、体を起こしたソフィアは俺を殺意の目に睨み、いつから持っていたのか腰から短剣を抜き、突進してくる。
「やっぱりそうくると思ったぜぇ!」
俺は、首の無い爺さんの首の断面に左手を突っ込み、右手で服を掴み、思いっきりソフィアに爺さんの死体をぶん投げる。
「あぁっ!」
死んだ父に吹き飛ばされたソフィアは、地面に倒れるが、死体の下敷きになりなかなか身動きが取れない。
「馬鹿めがっ!!」
俺はそんな身動きの取れないソフィアの腕を剣で突き刺す。
「あ"あ"あ"ぁぁぁぁっ!?!? 良くも、良くもお父さんをおおおぉ!!」
「いひひひゃはははっ!! やべぇっ! 腹が捩れる! 最高の表情だぁ!」
さて、いつまでも叫ばれると耳がおかしくなるので、渾身の力でソフィアの腹を殴り、気絶させる。
「ごふぉっっ!?」
直後に剣士の死体が持っていた登山用のロープで、ソフィアの首にロープを絡ませて、また叫んできた様に直ぐに首を絞められる様に細工する。
「いい表情を見せてくれた。お前はこれから俺の玩具に決まりだぁ……」
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