第91話 指導者
ナビーが渋い表情でシーサー兵を編成することの難しさを説明してくれた。
「シバは白虎に乗ってきたからわからないと思うけど、シーサーを乗りこなすのは
「でも、
「
今帰仁城の戦いで
敵の
「軍の強化を急がないといけない
「まず、人が乗れる大きさの野生のシーサーを探すさーね。そのシーサーの前に立って睨み続けると、魔よけの防御結界を張るからそれを攻撃して壊す。その時、絶対に結界だけを壊してシーサーには攻撃があたらないようにしないといけない。壊すことができたら指笛を鳴らして契約完了って手順なんだけど、この40人ではまだ結界を壊せないさー」
攻撃が強すぎてもシーサーを傷つけてしまい、なついてくれなくなる。弱すぎても認めてもらえない。
ある程度の力をもち、それを加減のできる器用さが必要のようだ。
難しいことを理解したが、最弱の
「
「110人の兵で戦うことになるから大変になるとは思うけど、私とシバでサポートしていけば何とかなるんじゃないかねー。シバの意見にしたがうさー」
決定したこれからの方向性を伝えると期待と不安が半々の様だったが、シーサー兵に割り当てられた40人は明らかに目が輝いていた。
それぞれのグループに修行メニューを用意して、直ぐに実行してもらうことになる。
何よりも先にやらなければならない事は、盾役40人にヒンプンシールドを覚えさせることなので、俺とナビーはひたすらヒンプンシールドを作って盾役に壊させることを数日繰り返した。
特殊能力【中二病】持ちだった俺のように簡単に取得できないので、時間をかけて入念にしなければならなかった。
それからさらに数週間かけて、40人全員にヒンプンシールドを覚えさせた。後はひたすら技を磨いてもらう。
これで戦に出ても大きな被害は出ないようになっているはずだ。
『
日課になっている早朝の畑仕事に行くと、
実は、攻撃専門の力自慢40人には、さらに力を付けさせるために
最初は【
しかし、反対をされても実行したのは、一石二鳥のいい作戦を思いついていたからだ。
硬い畑を耕すことで攻撃兵には力を付けてもらう。そして、耕されたことで柔らかくなった畑を、【
決して自分が楽できるからとかではない。
畑仕事が終わり、シーサー兵の修行をナビーと見に行くと、優等兵の30人も参加していた。
優等兵はオールマイティーに強くなって欲しかったので、別のグループの修行を1日交替でさせている。
軍のまとめ役に任命している
「中二按司とナビーさんに相談があるのですが、どうやらシーサー兵
シーサー兵の修行は、正直何からさせればいいのかわからなかった。
最初はとりあえず攻撃力を付けさせるために畑仕事をさせようと思ったが、重い
しかし、そろそろシーサー兵らしい修行に取り掛からないと、モチベーションが持ちそうにないみたいだ。
今日の修行内容を悩んでいると、浦チンに案内されてケンボーがやってきた。
「シバ、ナビー、
ナビーが面倒くさそうに受け答えた。
「ケンボー、何しに来たわけ? 今忙しいから後にしなさい」
「何しにって
「う、うん。でも、今はこれからの修行内容で困っているから終わってからでいいかな?」
「
浦チンは勝手なことしてすみませんと言っていたが、意外にもナビーが喜んでいた。
「
「ナビーが言うなら任せても大丈夫……なのか?」
「ケンボーはふざけた奴だけど、修行は誰よりもまじめだから
「おい!
ナビーとケンボーがいがみ合っている間に入って、正式にケンボーにシーサー兵の指導をお願いした。
「改めてケンボーさん。シーサー兵の指導をお願いしてもいいですか?」
「シバ!
「ケン、ボー」
「ふふ、シバ」
満面の笑みで手を握ってきたケンボーに、少し背筋が凍った。
とりあえず、つまらない修行が続いているせいで、シーサー兵のやる気がなくなっていることをケンボーに伝えておいた。
「それなら、修行の中でシーサーに乗せてあげればいいさー!」
「でも、みんなシーサーと契約もできていないんだよ」
「そうみたいだな……
そういえば、俺と琉美は特に練習しなくても白虎に乗れた。白虎で感覚を掴ませるのはいい案かもしれない。
皆を乗せてあげるよう白虎にお願いすると、元気よくワンと答えてくれた。
ナビーにも了解をもらい、白虎をシーサー化させてケンボーにたくした。
ナビーが手を叩いて気持ちを切り替えさせる。
「ハイ! 細かいことは後にして、今日の修行を始めよーね! ケンボー。白虎に何かあったら
「
1番の悩みどころだったシーサー兵の修行をケンボーに任せたので、俺とナビーで他のグループを入念に見てあげられる。
ナビーと盾役の修行場に向かおうとした時、浦チンが思い出したように声をかけてきた。
「中二按司に伝えなければならないことがあります! 先程、城壁内に不審物があったと報告を受けたのですが
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