第80話 王の想い
「ワシを無視
舜天は身体から
「そうですね。あなたから
尚巴志も同じように居合で迎えうつようだ。
「瞬さ……」
「待て! 我の客に手を出すな!」
というより、その場の時間が止まったように感じる。
奥の建物から、舜天より何倍もまがまがしい気配の持ち主が現れた。
「
「
前回見た時と同じく、鬼面をかぶっていた為朝の、こもった笑い声が響いた。
「面白いぞ! この源為朝に一騎打ちの申し出をする人間が、この世にいたとはな。まさかとは思うが、我に勝てる気でいるのか?」
「いいや。改めて見ても、全く勝てる気がしない。
その時、
「
「時間稼ぎは
すると、
「護佐丸か!?」
『待て!』
尚巴志と為朝の声が重なると、舜天と護佐丸は距離をとった。
為朝はそのまま続ける。
「一国の王と戦える機会など、そうそうないからな。いいぞ、戦ってやる。ただし、他の奴らは邪魔をするでないぞ」
「為朝様が出るまでも……わかりました」
舜天は為朝の威圧に負けて、進言を取りやめた。
尚巴志は不安げな顔で見つめる2人に堂々と言い放つ。
「忠、護佐丸、最後の命令だ! ワシの戦いを黙って見届けてくれ!」
「
その時、
決闘は
「
移動しながらナビーは尚巴志に怒りをぶつけようとしていたが、護佐丸が黙って制止させた。
親同然の尚巴志が自分勝手に無謀な行動をしているからだろう、ナビーは不服そうな表情のまま、怒りを爆発させずに我慢しているようだ。
「ご無事でしたか。今のうちにここを出ますよ」
「すまん、
そこに、カマドおばーが割って入ってきて、尚巴志を説教し始めた。
「えー、あんたよ。格好つけて1人で戦うのはいいけど、どういった
「や、
尚巴志は為朝に向かって声を張り上げた。
「為朝。戦う前に皆と話したい。最後になるかもしれないのでな」
「はっはっは、よいぞ。今のうちに、
それから尚巴志は、ここに至るまでの想いや考えを語ってくれた。
「ワシの
昨日の
佐司笠は
「残りの短い命で、
照れながら話す
「格好つけていますが、そんな理由で
「
カマドおばーは尚巴志のお尻を叩いて皆をびっくりさせた。
「私も近しい人を戦で無くしていたから、王のあんたから直接話を聞けて良かったさー。うり、特別な
「
5人から
「
「カマドさんは本当にすごいお方ですね。
そして、まだ不満や不安を隠しきれない息子と娘に向かって、深く頭を下げた。
「お前たちには、父親らしいことをしてあげられなかったにもかかわらず、大変な役割を任せてきた事を申し訳ないと思っている。そして、これからも……」
「
「
そして、ナビーとケンボーにも無理やり抱き着いている。
「2人は血のつながりはなくとも、子であり孫でもある不思議な関係だったが、ここまで立派に成長してくれて本当に嬉しいぞ。お前たちが大人になるまでに平和な琉球にしてあげたかったのだが、押し付ける形になってしまったな……」
ケンボーは、はっきりとした口調で言い切った。
「心配無用です。琉球には
いまだに納得していないナビーは黙り込んでいる。それを、優しい表情で見ていた
「ナビーには
「
「ハハハ!
気合を入れた
「この世界の者ではない2人のおかげで、琉球は支えられている。本当にありがたい。身勝手な頼みで申し訳ないが、これからも力をお貸しください」
俺が何も言いだしそうになかったのを見て、琉美が答えた。
「もちろんです。それに、気にしないでください。私たちは琉球のためというより、ナビーのために戦っていますので。まあ、それに伴って琉球に愛着は沸いていますが。そもそも、ナビーと一緒に戦いたくてこの世界にきましたからね」
「そうか。では、ナビーのことは
「もちろんです」
俺は琉美と一緒にうなずいたが、ずっともやもやしていた事を問うことにした。
「
「王になった時から、ワシの
王ならば、自己犠牲で他人を守ってもいいということなのか?
今の俺には納得できる答えではなかった。
その時、
「おい、
気が付くと、
「見せたくなかったのだが……ワシの戦い方、絶対にまね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます