琉球 按司代行編
第78話 尚巴志王の戦い
俺たちが苦戦している地域を優先的に加勢していたおかげで、今までとは比べられないくらいに死者が減っているらしい。
その話を聞くと、多少きつい戦いが続いたとしても乗り越えることができた。
最近は戦況が落ち着いているので、首里城にある俺たちの家に帰ってしばしの休暇を満喫していると、深刻な面持ちの
「
声をかけにくい雰囲気だったので、俺たちは黙って
すると、首里城正殿の2階に上る階段の上部で止まり、王の間をこっそりと覗くように言われたので覗いてみる。
そこには、すごい気迫で刀を振っている
「ナビー、あれを見てどう感じるか?」
「昔の面影が感じられないさー。やっぱり、年取ったみたいだね……」
「おお、
「やめにしませんか? もう、見ていられません……」
「いくら
「佐司笠の
最近知ったのだが、
「……1年前、ナビーに老けたと言われたさー。ハァ、
「見えます。67歳、これほど長生きしておいて贅沢な悩みさー。
もう一度ため息をついた
「佐司笠、
「……
「ナビー
俺たちが覗いていたことは最初からバレていたようだ。
気まずい感じのまま
「2人がしていた話は何のことなのですか? なぜ、
「
誰にも見られないように首里城を出ると、
白虎のシーサー化と同等の大きさで、他のシーサーとは明らかに威厳を感じる。
「ワシの愛獅子、
ナビーは白虎を撫でながら呆れていた。
「あきらめてなかったわけ? まあ、王を乗せれば白虎にも箔が付くか。白虎、
俺たち3人は
「本当に
白虎に乗っている時間が1番長い琉美が、得意げに答える。
「はい。ヤンバルスパイクモードというのがあって、今の何倍も速いですよ」
「
出発してまだ2分しかたっていないのにもかかわらず、
「自由すぎる……」
「あの行動力で琉球の王になったからね。今日は1日振り回されるかもしれないさー」
その場で1時間半ほど待機していると、
ナビーが何をしに行ったのかを聞くと、
それから北上していると、数分後に崖の上に石垣の城壁が見えるところで止まった。
「もうこの世界に来て1年になるから見かけたことはあるよな? あれは
この1年、俺たちは琉球各地にいる色々な
「これは
俺たちを残して
「人のマジムン
その技は倒せるほどの威力はないので、20人の侍が次々と襲ってくるが、それでも腰の刀を抜かずに戦っている。
幾度も刃をかわし、至近距離から火の玉をぶつけて1人目を倒したとき、琉美があることに気が付いた。
「あれ見て!
「
俺とナビーは見逃していたので次の敵を倒す瞬間を食い入るように観察すると、琉美の言っていた通りになった。
「どういうことだナビー。
「私にもわからないよ。正気を保っているみたいだから大丈夫だと思うけど……それに、あんな戦い方は初めてみたさー」
考えても分からないので、黙って戦いを見守っていると、10分足らずですべての侍を倒してしまった。
その時、急に兵士たちがぞろぞろと現れて、何事もなかったように倒れた侍たちを運び始めている。
ナビーが声をかけようとしたのを
「すべては
侍を運ぶ兵士に続き
「これは琉美に持っていてほしい」
「
驚いたナビーを横目に、琉美の首に
「まずは侍マジムンの事から説明しようか。あの侍たちは琉球と交易をしている
「そのことを
「多分、知らないだろうな。
俺は話を聞いて、
「それじゃあ、勘違いした大和に報復されることになりませんか?」
「そうだ、ワシと
「
「護佐丸は重要なことを頼みすぎているので無理だ。忠やほかの
ナビーは目を閉じ、頭の中で尚巴志の言ったことを理解していた。
「仕方がなかったみたいだねー。琉美に
「
俺たちは
最後に、尚巴志は申し訳なさそうに琉美に声をかけた。
「琉美……流れで首にかけたのだが、その
琉美は
「ギトギトしますね……気にしないでください。後で洗いますから」
「わ、
次の日の朝。
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