第77話 約束の泡盛
俺たちが
次の刺客が現れるかもしれないので、それからは緊張感をもってしばしの休息をしていると、3日後の夜に
だが、
「
「だからよー!
「
忙しいはずの
「でも、何で護佐丸さんは援軍に来ようと思ったのですか?」
「よくわかりませんが、ナビー
もしやと思いナビーの顔を見ると、理由がわかった表情をしていた。
「そういえば、護佐丸さんにもマーキングされていた事、キジムナーのおかげで思い出していたんだったねー。もしかして、全員にテレパシー送るときに、わからないでつながっていたのかもしれないさー」
「もし護佐丸さんにテレパシーがつながってなかったら、俺たちヤバかったかもしれないな」
琉美がうなずきながらも付け加えてきた。
「そうだけど、それよりも、そのことを私たちが認識してなかったってことが大きかったんじゃないの? 援軍が来るって頭の中で考えていたら、
みんな神妙な面持ちのまま、黙ってうなずいている。
今回の戦いは、
ケンボーがストーカーしていなければ、琉美は
ナビーが再戦の選択をしなければ、援軍と行き違いになっていた。
そして、護佐丸がテレパシーを聞いて俺たちのピンチを感じ取っていなければ、援軍が来ることはなかった。
改めて考えてみると、俺たちは紙一重で何とか生き延びることができたのだと知って、これからの戦いに恐れを感じた。
俺たちは兵や民が戻ってくるまで復興の手伝いや敵の監視をしていたが、10日ほどがたった頃、十分な人手が集まったので首里城に帰ることになった。
出発の前に
「ナビー、シバ、琉美、そして白虎もだな。
ナビーが笑いながら冗談のように言った。
「首里を発つ前に『私たちが関わる以上、忠さんには
「そうだったな。まさか、こんなに早くやってくれるとは思わなかったさー。ナビーは本当に大きくなったな」
優しい笑みを浮かべた
「忠さん、何かあったら言って下さいね。飛んでいきますから」
「その時は、
首里城に着くと、
……今回の戦い、3将軍2人と戦ったにもかかわらず、1人も倒せていないからな。
それから3日後の夜。
首里城にある家でくつろいでいると、玄関の戸を叩く音が聞こえた。
「皆、おきているかね? 約束の
「わしもおるぞ!」
泡盛が入った
眠気が一気に冷めた俺たちは飛び上がり、ナビーが2人を家の中にあげた。
「護佐丸さん来てくれたんですね!
「
「積もる話もあるだろうが、とりあえずは
ナビーが手慣れた様に
「ナビーってこういうことできるんだな。なんか違和感あるんだけど」
琉美も物珍しそうに見ながらうなずいていて、ナビーは一瞬しかめっ面を向けてきた。
「
護佐丸がお猪口を持ち上げて優しく微笑んだ。
「向こうの世界では
ケンボーは窓からこっそりと覗いていたみたいだが、何事もなかったかのように玄関から入ってきた。
「護佐丸さんがそういうなら仕方ないですね」
ナビーは怒るかと思ったが、軽くため息をすると酒を注いであげようとしていた。今回は琉美を助けてもらった恩があるので見逃すようだ。
「ナビー……私が酌してあげてもいい? 一応、お礼しておきたいからさ」
琉美はナビーから
「
懐から小さな
「
たしか、
琉美が何のことか聞いてきたので
「
「もう無理!」
琉美は
全員の酒が準備できたのを見て
「
『カリー!』
俺は流れで一口飲もうとした手を無意識に止めていた。
それを見た護佐丸が不思議がって聞いてきた。
「どうしたシバ。飲まないのか?」
「なんか、飲んだらダメな気がしたのかもしれません。向こうの世界では、20歳まで酒を飲んだらいけない決まりがあるんで……」
俺の話を聞いて19歳の琉美の手も止まった。
「そんな決まりごとがあるのか。ここでは15歳くらいから口に合うなら飲むのだがな」
ナビーは酒くらい飲めよと言っているが、変に真面目な部分がその気持ちにさせなかった。
「俺たちは元の世界に必ず帰るので、そこのところはしっかりしておきたいんです。一緒に飲めなくてすみません。しらけさせましたよね……」
尚巴志が俺たちの前でお猪口を回すように揺らした。
「
護佐丸も同じようにお猪口を揺らして飲み干すと、うなずいてくれた。
……このおじさん達、かっけーな! 俺もこういうしぶい飲み方ができればいいな。
それから、
そして、元の世界でナビーと出会ってからの生活を語って聞かせた。特に、ナビーのだらしなさを重点的に。
あっという間に3時間ほどたった頃、尚巴志と護佐丸が立ち上がった。
「久しぶりの
だいぶ酔ったナビーが馬鹿にしたように尚巴志に言った。
「もうおじーなんだからさー、お酒やめなさい! 正直に言うとさ、この世界に帰って
初めて知ったが、ナビーはお酒が好きなようで結構な量を飲んでいた。あっちの世界ではいつでも戦いに行けるように自制していたのかもしれない。
話している最中に眠ってしまったナビーを無視して琉美と一緒に2人にお礼をした。
「今日はありがとうございました。1年半後、まだこの世界にいるのかわかりませんが、その時はお願いします」
「今度は私も
護佐丸は気持ちよさそうに酔った顔で微笑んだ。
「今から楽しみやっさー。それまでお互いちばらないといけないねー」
尚巴志と護佐丸は少しふらつきながら、家を出た。
全然酔ってなかったケンボーが、2人の警護をすると言って一緒に帰ったので晩酌会は終わった。
次の日から、苦戦している各地の城を回り、程よく加勢する生活が始まった。
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