第70話 初めて見る戦
数では圧倒的に負けているが、個々の戦力差で何とか持ちこたえているように見えた。
しかし、
「やはり、苦戦しているようだな。兵士の動きに覇気がないさー」
少し近づいて
後方には倒れている兵も数十人確認できた。
その光景を見た琉美は、あたふたしながらナビーにせまった。
「回復してあげなきゃ! 私たちが加勢しないと大変なことになるよ!」
「残念だけど、それはできないさー。私たちが加わったら目立ちすぎるからよ」
「
「でも……」
「敵軍の奥を見なさい。敵指揮官の
ファンタジー作品のゴブリンに似た
「それごと倒してしまえばいいじゃないですか!」
「ダメだ。ここで敵を全滅させたとしよう。そのあと、
今の
ここは我慢して見守るしかなさそうだ。
「すみませんでした。私の考えが甘かったみたいです……」
「偉そうに言ったが、
高台で観察を続けていると全体の流れがわかってきた。
不思議なことに、数時間たっても両軍の数に変動があまり感じられない。
なぜなら、マジムン側は数が減っても
それに、
……こんな戦いを続けていたら、あんな顔になってもしょうがないな。
正直、俺も琉美と同じく加勢したかった。
というより、ただ自分が活躍したかったのだと思う。
兵士たちがあんなに苦しんで頑張っているのに、安直な気持ちになっていたことに深く反省した。
今までの
「こんな戦いを毎日のようにやっているんだよな? 言いにくいけど、その割には兵士たちが強くないように思えるんだけど」
「実は、
「それなら、どうやってナビーとか
「物や生き物を核にして生まれた
「普通の兵士には倒す機会も少ないし、戦っても勝てないってことか……」
やるせない気持ちになる。自分がどれだけ恵まれた環境で強くなってきたかを考えると、この人たちのためにも頑張らなければいけないと強く感じた。
さらに2時間くらいたった時、だんだん
しかし、兵士たちは限界を迎えており、誰も攻めようとはしなかった。
その時、軍を指揮していた
「え!? 逃げた?」
これで今日の
「終わったか。では、
城内には、戦に参加していた兵士がいたるところで意気消沈していて、重苦しい雰囲気が漂っている。
「
俺たちと同じ年代で、兄である
……
「私は
「……」
黙ってしまった弟を励ますために、
「そんなに
「
「確かに
そして、後ろで立っていた俺と琉美の存在に気が付いてくれたので、こちらから自己紹介をした。
「シバさんと琉美さんですね。
加えて、
「我らが王……
……今は無理だけど、後からなら大丈夫じゃないか?
「それなら、任務が終わって帰るときに加勢するってことにしませんか? だから、その間は何とか持ちこたえてください。忠さん、それならいいですよね?」
「それなら問題ないさー。まあ、
「
話がまとまった後、正殿の一室に一晩止めてもらう事になった。
ナビーと琉美は、まだ回復できていない兵士たちの回復を手伝うために、直ぐに出て行ってしまった。
尚忠はまだ
そして、丁度戦場だった場所が
……さっきの戦い、戦略を練ればどうにかなりそうなんだけどな。
倍以上の敵が襲ってきているにもかかわらず、考えなしに真っ向勝負していて、常時、乱戦状態だった気がした。
あれでは体力が持つわけない。
自分たちが戦うならどうするか、脳内シミュレーションをすることにした。
まず、開戦と同時にナビーの
密集になったところを中心に、俺とナビーで
残りは、白虎に乗った琉美のサポートを受けながら、接近戦で倒していく。
……完璧! って、そんなにうまくはいかないかな?
背後からナビーの声がしたので振り返る。
「シバ、迷子になっていると思ったから迎えに来たさー。って、なんで1人でにやけている?
……俺は妄想してにやけていたのか? 流石にキモいな。
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