第69話 出発
作戦会議が終わったので、
「みんな、あれから相当腕を上げているみたいだな! また一緒に戦いたかったので、今回は残念さー」
俺と琉美は
「護佐丸さんはいつも忙しいですから。何か手伝えることがあったら言って下さい!」
「それはありがたいが、まずは今回の任務をかたずけて来なさい。
「護佐丸の用なら待ってても良いぞ。
「
……俺、未成年だけど飲んでいいのかな?
威風堂々と立ち去るさまを見ると、この場の
……俺は、本当にこの人に勝てるのかな?
「あの風格は、
ナビーは尚忠の肩を叩いて、勝手に宣言し始めた。
「そんなこと言わないでください! その
「あの小さかったナビーも、こんなに頼もしいことを言うようになったのか。
4人での作戦会議が始まったが、最初に
琉球には大小数百の
現在、重要な拠点で
ここで北部の
普通に考えると、近くの
俺も知りたかったことを琉美が
「
「わからない。それも調査の目的だね。それ次第では
為朝がいるかどうかは、ナビーなら簡単にわかりそうな気がしたのできいてみた。
「ナビーはマジムンの気配を感知できるだろう? 為朝レベルならどこにいるかわからないのか?」
「あい、言ってなかったっけ? この世界ではマジムンが
……そういえば、感知ができていたのなら、裏切者は見つかっていたはずか。
最後に、
「琉美は
「わかりました。
会議が終わると、直ぐにナビーと琉美は修行に入った。
イメージを掴んだ琉美は、例のごとく【中二病】の効果で次の日には
5日ほどかかると思い込んでいた
3日後の朝。見た目がほぼ
「ここって守礼門じゃないんだよな。守礼門もどこかにあるのか?」
「この世界では、守礼門はつくられていないさー。私は逆に、あっちの世界で
雑談をしていると、尚忠がやってきた。作戦会議の時より引き締まった顔つきになっていて、王子の風格を感じた。
「準備はできたようだね。それでは、
「
「私のシーサーは放置しすぎたせいか、呼んでも来なくなりました。
ナビーが得意げに話した後、俺に面シーサーを渡したのでセジを
「
とうとう、首里城を出発する時が来た。
異世界琉球に着いてからは、首里城の敷地の外には初めて足を踏みだしたので、見るものすべてが新鮮に感じる。
辺りを見渡すと、瓦屋根の家は数十件ほどでそれ以外はかやぶき屋根の様な家がほとんどであった。
首里城もそうだが、この世界の瓦は灰色なので違和感を感じる。赤瓦というものはないみたいだ。
城下の部落を抜けた先は、見渡す限りの
元の世界だとまだ那覇市内にいるのだが、目立つものは畑くらいの何にもない風景を見ると、異世界にきた実感が鮮明になってきた。
白虎の先頭に乗っている俺の後ろに座っていた琉美が、背伸びをしながらきいてきた。
「広い大地に澄んだ空気と青い空。異世界に来たーって感じがしてきたね。ねえ、シバ。お互いさ、家からも出られなかったのに、本当に異世界にまで来ちゃったんだね。後悔してない?」
「最後まで助け切りなさい、だったっけ? あんなこと言っていたやつが、今更確認してくるなよ。もしかして、怖じ気ついたとか?」
「うるさい!」
「
肩甲骨のちょうど痛いツボを的確に小突いてきた。
多分、琉美は強引に俺を異世界琉球に連れてきてしまったという罪悪感があるのかもしれない。
隣を歩いていた
「会議でのことは冗談と思っていたのだが、琉美はやはりそうなのだな……琉美専用叩かれ
それからはなぜか、
というより、ナビーと琉美には声をかけるが俺には話しかけてくれなかった。
……何か気に障る事でもしたか?
話を聞かれないようにと、ナビーにジェスチャーでテレパシーをつなぐようにお願いした。
「なんねー急に」
「忠さんに避けられている気がするけど、怒らせたのかな? 何も心当たりがないんだけど」
「ああ、そんなこと気にしてたのか? あれよ、琉美のBLスコープで覗かれないように警戒されてるだけさー」
「ああそうだったのかー……って、やりずれーよ! これは完全にナビーのせいだからな。誤解は解いてくれよ」
「誤解って言うけど、本当の事ではあるからねー。文句なら琉美に言ってちょうだい」
「じゃあ、いいです……」
いつまでかかるかわからない旅路を、只々ゆっくり進んで行った。
思ったよりも上り下りが激しく、
……沖縄って案外広かったんだな。それに、
道中、軍隊からはぐれたという
小さな部落で休憩を挟みながら北上していると、3日目の昼に大きな石垣の壁が目に入った。
「あれは
言われて見れば確かに、雰囲気の似ている坂道や崖があるが、定かではない。
不思議な気持ちであたりを見ていると、丘の向こう側に砂煙が立っていた。
「あれは、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます