第67話 按司集結
「ナビー対
仕切りの兵が手を振り下ろして開戦の合図をすると、ケンボーが低い体制のまま槍を構えて、一直線に走り出す。
ナビーはそれに見向きもせずに、あらかじめ地面に突き刺していた
「
赤いオーラを
「行くぞーーーー!」
槍の先端に
しかし、ナビーは横跳びでサッとかわすと、構えていた
「グヘッ!」
ケンボーは首里城の敷地外まで、アーチを描くように飛ばされてしまった。
あまりのあっけなさに、観客は口を半開きにして固まっている。
仕切りは呆然としながらも、勝ち名乗りをした。
「しょ……勝者、ナビー」
ナビーはすぐに
「城外ホームラン、気持ちよかったさー! 琉美、お願いしていたことお願いね」
「お願い? ああ、回復の事か。
「大丈夫よ。私が
琉美は白虎にまたがり、ケンボーのとんでいった方向に急ぐ。
死ぬかもしれないからと回復を琉美に頼んでいたのは、ナビー自身の為ではなく、ケンボーの為だったようだ。
初めから全く負ける気はなく、本気で叩きのめす気満々でいたのだろう。
「強化できるってわからなかったのに、あんな攻撃をくらわせたのかよ……」
「何言ってる? ケンボーも私を
槍の先端に丸いセジを作ったのは、刃物である穂を覆うためではなく、さらに攻撃力を高めるためだったようだ。
それなら、ひどいやられ方をしたケンボーも文句は言えないだろう。
そもそも、何でもありのルールで始めていたのだった。
「
「
異世界琉球では、民を導けるリーダーシップを持ちつつ、兵をまとめ上げられる強さを持った選ばれし者しかなれないそうだ。
「な、ナビー……
「
その時、ケンボーを白虎にくわえさせ、琉美が戻ってきた。
「ねえ、ナビー。こいつ、気持ち悪いんだけど。どうにかしてよ!」
「何かされたのか? えー、ケンボー! 琉美に
白虎に吐き出されて地面に転がったケンボーは、直ぐに立ち上がり琉美を見つめている。
「まだ何もしてないぞ。それより、
「えー、
琉美が困っているのを見た
「回復してあげたら急に告白してきて、キモかったよ。ケンボーはナビーの事を好きだと思ったのに……」
「
幼いころから女の子に負け続ければ、その女の子の事を好きになれない気持ちはよくわかる。
男のプライドを傷つけたナビーを好きになるはずがないのだ。
話題を変えるために
「ゴホン!
ナビーは白虎を撫でながら、
「白虎のこと
「もちろんさー。
「えー、危ない目にあったくせに、まだそんなこと言ってるのか!? これから、負傷した兵に何があったかを聞きに行く予定じゃっただろうが。ナビー
それから5日間は特に用事ができることもなく、心も体も十分に休めることができた。
1つ気になることがあった。
首里城内をナビーに案内してもらったり、食事の際に正殿に行くときなど、家から離れている時間はずっと監視されている気がして落ち着かなかった。
誰だかめぼしはついていたが、関わると面倒くさそうだし何もする気配はなかったので、ナビーと琉美には気が付くまでは黙っておくことにする。
いつものように、正殿1階で薄味のお昼ご飯を食べて家に戻ろうとした時、使いの者が2階から慌てて駆け下りてきて呼び止められた。
「お待ちください。ナビー一行を直ちに王座に連れてくるようにと、
……
使いの者に案内されて2階に上がると、
右列の前方に
「ナビー一行をお連れしました」
王の間にいる全員が一斉にこちらを向いた。
「急に呼び出して済まないな。中央まで来てくれ」
皆に見られながら、恐る恐る
歩きながら
「現在、各地の
ナビーが返答しようとした時、1番若い20代前半くらいの
「ふん。
「おう、カナー!
「
「
笑い交じりに話していた
この場にいる皆、王の本気の怒りを感じ取り緊張が走った。
「
「……
この場で唯一、ひるまずに口を開いた
「
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