第53話 護佐丸の帰還
ナビーは、
「ヒンガーホールが
「それは大丈夫。
修行をつけてもらいたい気持ちがあったので、残るように提案してみる。
「しばらくこの世界に残って、準備を整えてからでもいいのでは?」
「そうしたいのだが、今も
その時、琉美は跳ぶように立ち上がって、俺とナビーに思い出したように言った。
「あっ! 今、花香ねーねーここに向かっているんだけど、花香ねーねーのセジを
花香ねーねーは確か、ナビーよりセジを多く持っていると言っていたはずなので、SPは問題ないだろう。
戦闘要員ではないのでHPは逆に減る可能性があるが、琉美かナビーが残りのセジで回復してあげれば完璧だ。
とりあえず、休みながら花香ねーねーを待つことになったので、
「護佐丸さん、俺の戦い方についてアドバイスください」
「基本的に戦い方は間違ってないと思うが、何で本物の刀を使わないね?」
「この世界では、簡単に刀を所持してはいけない決まりがあるんです」
ナビーが横から説明を続けてくれた。
「私の
「そうだったのか……では、
「わかりました。素振り頑張ります!」
その時、ナビーが恐る恐る
「護佐丸さん。私はどうしたほうがいいですかね?」
「この世界でのナビーの役目はまだ果たされていない。
「それは大丈夫ですよ。キジムナーがここのセジを消費してくれれば、
「
キジムナーが申し訳なさそうにナビーに告げる。
「ごめん、ナビー……オラは長く生きてきてこんなに戦ったことがなかったからよ、長めの休息が必要になりそうなんだ……もう力が使えねぇぞ」
「キジムナーが謝ることはないさー! キジムナーのおかげで私たちはここまでこれたからね」
俺もふがいなさそうにしているキジムナーに思いを伝える。
「そうだよ!
「みんなと
キジムナーは、みんなの顔を見てやさしい笑みを浮かべていたが、急に何かを思いついたようだ。
「そうだ! ここに
ナビーは手を打ってキジムナーの提案に賛同した。
「
マジムン退治の再開が決まったところに、花香ねーねーが駆けつけてきた。
「みんな、無事だったようね。私の出番がなさそうで安心したわ……も、もしかして、あなたが
「
「いいえ、いいえ! それよりも、あの護佐丸さんにあえて光栄です!」
花香ねーねーはいつもの冷静さを失い、目をギラつかせながら息が上がっている。
「花香ねーね、何でこんなに興奮しているんですか? 少し落ち着いてください」
「落ち着いていられるわけないでしょう!
興奮が収まらないまま、自分がくぐってきた城の門を指さした。
「何気なく見ているこのアーチ状の石の組み方を見て! この技術は、
護佐丸は苦笑いをしながら花香ねーねーを止める。
「花香さん。なんだか
「す、すみません……」
落ち着いた花香ねーねーに、ナビーが頼みごとをした。
「花香ねーねーのセジを護佐丸さんにあげたいけど、お願いしていいかねー?」
「もちろん差し上げます! あの護佐丸にセジを使ってもらえるなんて光栄ですよ!」
「
ゆっくりしている時間はないからと、護佐丸はすぐに
「ふぁ!」
急に手を掴まれた花香ねーねーは、変な声を出すと顔が真っ赤になっている。
護佐丸は目を閉じていたため、花香ねーねーの異変に気づかないまま
「
花香ねーねーは足の力が抜けたのか、その場で尻餅をついて放心状態になっていた。
その状況を見た琉美が、信じがたいことを言い始めた。
「もしかして、花香ねーねーは男性に免疫がないのかも。だから、急に手を握られてびっくりしたのかもね」
「はあ? あの美魔女県議会議員の
「ねえ、ナビー。ナビーがこの世界に来てからの2年半くらいで、花香ねーねーが男性と一緒にいるところ見たことある?」
「シバと剛、以外ってことだよね? 私の記憶にはないねー」
「やっぱり……花香ねーねーみたいな高嶺の花は、逆に男性が遠慮して近づいてこないんだよね。それに、自分から男にグイグイいくタイプじゃないでしょ? たぶん、そのせいで男に免疫ができなかったんだよ」
そんなまさかと思っていると、護佐丸が余計なことを言う。
「こんな
更に、ナビーも爆弾投下して花香ねーねーにとどめを刺した。
「ノロが性行為したら、力が使えなくなるらしいからね」
「や、やめてーーーーー! 言わないでーーーーーー!」
あの美人で性格もいい古謝花香38歳が、未経験のままということが信じがたい。しかし、手で顔を覆い、泣きながら恥ずかしがっているので、間違いなさそうだ。
「なんでよ? 別に恥ずかしい事じゃないけどね……そういえば、護佐丸さんに伝え忘れたことがあります」
ナビーは護佐丸に、
「
「為朝が鬼化を使いこなしたら、
「これからの戦は荒れる。ナビー、帰ってくるときは
そう言い残すと、護佐丸はヒンガーホールに入っていった。
ナビーは戦闘用の着物を着ていたが、花香ねーねーはさらしまでは用意していなかったようだ。
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