仲間の武器を強化してあげてめちゃくちゃ感謝される

 迷宮都市ラピスラズリに戻ったFランク冒険者パーティー「ラブリーラビッド」は地下迷宮の攻略に挑んでいた。


「グルウウウウウウウウウウウウウウウ!」


 目の前にいるのはウルフマンだった。亜人の一種で、人のような狼のモンスターである。


「てやあああああああああああああああ!」


 リーネは斬り掛かった。


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオ!」


 ウルフマンは絶命した。しかしその時、リーネの持っていた剣にヒビが入ってしまう。

 

「あっ」

「いかがされましたか? リーネさん」

「先生、剣にヒビが」

「貸してください」

「はい」


 エルクはリーネから剣を借りる。リーネの剣を解析する。錬金術師のエキスパートであるエルクは武具を一瞬にして解析できる。

 鉄の剣。無属性の剣である。武具のランクはCランク相当だろう。何の変哲も無い普通の剣という評価だ。


「錬成」


 エルクは錬金術を用い、その剣を鍛え直す。ヒビの入った剣は瞬く間に元通りになる。


「はい。どうぞ」

「ありがとうございます。凄いです! 元通りです!」


 リーネは剣を受け取り、ぶんぶん振り回した。


「いえ、それどころではありません! 前の剣よりも軽いです! ぶんぶん振り回せます!」


 リーネはまるで剣をダガーかナイフのように軽々と扱っていた。


「それだけではありません。リーネ、試しにそこにある岩を斬ってください」

「はい! てやっ!」


 リーネは岩を剣で斬った。すると、なんと岩がバターのように斬れるではないか。恐ろしいまでの斬れ味であった。


「せ、先生! これは一体どういうことですか!」

「付加魔法(エンチャント)を施してあります。まあ、要する剣にスキルを付与したという事です。付与したスキルは【切れ味強化】そして【炎属性付与】です。今までよりもより効果的にダメージを与える事ができます」

「本当ですか?」

「ええ。本当です」

「わーい。先生、ありがとうございます」

「だから、私に事あるごとに抱きつかないでください。まだダンジョンクエストの最中ですよ」

「リーネばかりずるい! 私の武器も強化してください!」

 

 イシスは自分の杖(スタッフ)を差し出す。


「せ、先生! 私もお願いします」


 リーシアも白魔道士用のロッドを差し出してきた。


「わ、わかりました。ちゃんとやりますから待っていてください」


 エルクは答える。こうして程なく、本日予定していた地下階層までダンジョンの攻略を進めたのであった。


「てやああああああああああああああああああああ!」


 エルクにより強化された剣の効果は抜群だった。ウルフマンのボスである。ビッグウルフマンの討伐に成功した。


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオン!」


 雑魚敵のウルフマンよりも巨大なモンスターであるビッグウルフマンは大きな悲鳴を上げて、絶命した。

 これが予定してた、ダンジョンの第10階層のボスである。


「すごいです! 流石先生の強化してくれた剣。今までの何倍もダメージを与えられた気がします。これも先生のおかげです」

「いえ、皆のおかげですよ」

「もう、先生は謙遜ばかりして。謙虚なんですから」

「……さてと。それでは地上に戻りますか」

「はぁ。けどいちいち歩いて戻らないとですよね。前は2階層までしか来てないですけど、今度は10階層までありますよ」

「面倒ですか。そうですね。じゃあ、省略しましょうか」


 エルクはマジックアイテムを取り出す。大きな鏡であった。


「このマジックアイテムはダンジョン探索用のアイテムです。ワープミラー。この鏡は地上と繋がっていて、一瞬で地上へ戻る事ができるのです」

「本当ですか! ありがとうございます先生! これで早く宿に帰ってお風呂に入れます!」

「ええ。本当はあまり楽はしたくないんですが、面倒な事は面倒ですからね。来た道をまた辿って帰るというのも」

「ありがとうございます先生!」

「時間の節約にも鳴ります」


 他の二人もめちゃくちゃ感謝していた。


「さあ、では地上に帰りましょうか」

「「「はい」」」


 四人は地上へと戻っていった。

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