国王ついにエルクを追放した事を白状する

「ぐぬぬっ! ぐぬぬぬぬぬぬぬっ!」


 国王は王室で唸っていた。大臣や様々な者からエルクのアイテムを求められており、苦悩していたのである。


「い、一体、どうすればいいのだ! 他国から錬金術師を招待するのは失敗した! 取りうる選択肢はひとつしかないのか」



 国王はため息をつく。自身の間違いを認めるのはプライドが許せないが、それでもこの状況を打破するにはひとつしかなかった。

 そう、追放した錬金術師であるエルクを呼び戻すのだ。そしてもはや白状するしかなかった。国王が独断でエルクを追放したという事に。

 国王はある大臣を呼びつける。その大臣は統括大臣である。大臣の中のリーダーと言える存在である。国王ほどの権力はないが大臣たちのまとめ役であり、国王に次ぐ権力があった。


「いかがされましたか? 国王陛下」

「統括大臣か。聞いて欲しい事があるのだ」

「聞いて欲しい事ですか? やはりエルク殿の事ですか?」

「わかるのか。統括大臣」

「はい。国王の顔色を見ればわかります。エルク殿はいかがされたのですか? 最近宮廷で見かけませぬが。休暇にしては些か長すぎます。それに彼はそう休暇を取るタイプではなかったでしょう。仕事熱心なタイプでしたから」

「そ、そうじゃ。そのエルクの事じゃ。色々連中からエルクの事を聞かれ、もうわしはにっちもさっちも行かないのじゃ!」


 国王はついに観念して打ち明ける。


「実はわしは錬金術というものがこれっぽちもわからなかった! 奴の凄さを理解していなかったわしは、ただの引き篭もりの極潰しだと思い、追放してしまったのだ!」


 その時国王の瞳には涙が溢れて止まらなくなっていた。


「こ、国王。エルク殿を追放してしまったのですか!」


 統括大臣は絶句した。


「あっ、ああ。すべてはわしの独断が招いた結果だ。くそっ! こんな事なら独裁などせずに大人しく周りのものの意見を聞くべきだった」


 国王は後悔する。だが、時既に遅かった。


「色々とやってみた。他の国から錬金術師を招来しようとしたが、エルクのようにはできないようだ。奴の代わりなどいなかったのだ」

「そうだったのですか」

「統括大臣、どうすればいい?」

「方法はひとつしかありません。すぐに捜索隊を出しましょう。そしてエルク様を見つけるのです」

「そ、そうか。捜索隊を、それで見つけてどうする?」

「何とか王国に戻ってもらうようにお願いするよりありませぬ」

「なんだと! あ奴に頭を下げて、懇願するというのか!」

「それは見つかった後の話です。とにかくエルク様を見つけるより他にありませぬ」

「そ、そうだの。す、すぐにエルクの捜索隊を出せ!」

「は、はい。わかりました。早速捜索隊を出しましょう」


 こうしてエルクの捜索隊が出されたのである。

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