国王の後悔さらに深まる~隣国から優秀な錬金術師を招来する※ざまぁ回~

国王は疫病の問題に頭を抱えていた。


「どうすればいいのだ。エルクの治療薬がなければ新手の疫病の克服する事ができない。今も物流大臣や様々な人からエルクのアイテムを催促されて気が休まらない。うう。抜け毛が酷い」


 国王は自室で苦悶をしていた。


「どうすればいいのだ。どうすれば、ううっ」


 こんな事ならエルクの存在を軽く考えずに、クビになどするのではなかったと後悔していた。


「何か手はあるはずだ。何か……そうだ。錬金術師なら他におる。他の国から優秀な錬金術師を招待してくればいい。そうすれば元の鞘に戻るであろう。他の優秀な錬金術師を雇った末に、大臣や国民にはエルクが自主的に宮廷をやめていったと伝えてばよい」


 国王はそう考えた。そして後日、隣国から錬金術師を招来したのである。



「……貴公が隣国からきた優秀な錬金術師か」

「……はい。そうですが」


 王室に来たのは一人の青年であった。隣国一の優秀な錬金術師であるそうだ。


「頼みがあるのだ。常用で雇われろとは言わぬ。臨時でいいのだ。我が国の錬金術師として雇われてはくれぬか」


 国王はそう聞いた。


「はあ……それで私にどのような錬成物を作ればいいといいのですか?」

「簡単な事じゃ。新手の疫病が発生しているのだ。それを治す特効薬を作って欲しいのだ」

「どれくらいの期間で?」

「い、一週間でいいのじゃ」


 エルクは新薬の特効薬を一日とかからずに作っていたと聞く。だから一週間もあれば十分だと思っていた。七倍も期間をやるのだ。


「何をおっしゃっているのですか? 冗談でしょう? 新薬の開発には時間がかかります。まずは一カ月程度の時間をかけて試用薬を開発。それから数カ月のテストを経て、実用品になるまで一年はかかります」

「何だと! 一年もかかるのか! そんなには待てないぞ! 我が国は既に疫病で四苦八苦しているのだ!」

「無理なものは無理ですよ。国王。無茶な注文というものです」

「ぐ、ぐぬぬっ!」


 国王は歯ぎしりをして苦悶の表情を浮かべる。


「ば、馬鹿にするものいい加減にせい! エルクは一日で特効薬を作り出したのだぞ! なぜ貴様はそんなに時間がかかるのだ!」

「何をおっしゃっていますか。エルク殿は錬金術師界隈の革命児と言われる大天才です。その才は1000年に一人の天才と言われる程です。彼と比較されても私は困りますよ」

「な、なに! そ、それほどの天才だというのか」

「エルク殿はどの程度の金額でこの宮廷に雇われていたのですか?」


 国王は正直に金額を伝えた。


「なんと! そんな金額で!」

「……そうじゃろう。べらぼうに高い金額じゃろうて」

「いえ。その逆です。その金額は破格の金額です。彼は錬金術の研究に夢中になるあまり、金銭にあまり関心がなかったと聞きます。はっきり言ってその金額はこれ以上ないという大バーゲン価格ですよ」

 

 隣国の錬金術師は言う。


「な、なんじゃと! それほどなのか!」

「はい。その通りです。それで、お話はそれだけでしょうか? 結論から言いますと私には無理な相談です。他の錬金術師にいっても同じ返答だと思いますよ。それでは私はこれで失礼します」


 隣国の錬金術師はその場を去っていった。


「くっ! なんという事じゃ! これで解決すると思っていたのに! くそっ! わしは一体どうすればいいのじゃ!」


 国王は頭を抱えた。

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