聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い! かつての教え子達と最強を目指す!~
第7話 国王なおさら失態に気付く ※ざまぁ回 国王サイド
第7話 国王なおさら失態に気付く ※ざまぁ回 国王サイド
まず国王が呼んできたのは物流を司っている大臣だった。物流大臣である。国内の商品の流れなどを統括している大臣だった。
「国王陛下、一体何のご用でしょうか?」
「宮廷で錬金術師をしていたあのエルクという者の事を聞きたい」
「エルク殿でしょうか? 彼が一体どうされたのです?」
「いいから、あやつに対する率直な評価を聞かせてくれぬか。物流大臣よ」
「一言で言って彼は天才です。いえ、天才という言葉ですら温いかもしれませぬ。大天才、この世で他に比類するものはいない傑物の錬金術師と言えるでしょう」
「な、なんじゃと! な、なぜそう思うのだ?」
「彼の作り出すアイテムはどれも規格外の傑作だからです。例えば彼の作り出すポーション。普通のポーションですと、普通の戦士で言えば体力の10分の1程を回復させるに留まりますが、彼の作り出したポーションは体力を全快させる程の効力があるのです」
「な、なんじゃと! そんなにか!」
「はい。それ故に彼の作り出すポーションは高値で一般市場に卸され、大きな利益を国家に齎しているのです。無論、ポーションなどの消耗品だけではありません。彼が錬金術で作り出す武具は一品ばかり。噂では彼は破格の効果を持つ聖剣すらあっという間に作り出せてしまう程なのです」
「な、なんじゃと、せ、聖剣まで」
物流大臣の言葉により、国王は自身の疑念に対して確信を持ち始めた。やはり宝物庫の聖剣は偽物で、こっそりとエルクは本物の聖剣を錬成してすり替えていたのだ。
あの馬鹿者め。なぜそんな事ができるならわしにアピールしなかったのか。国王はそう思ってエルクを責めた。しかし国王は同時に思う。エルクがそう言ってきたとしても「嘘っぱちだ」「クビにされたくないが故の詭弁だ」と思い、相手にもしなかったであろう。
「それで国王陛下、エルク殿はどちらにいらっしゃいますでしょうか? 今も市場のアイテム屋達が彼のアイテムを求めて私の方への催促が非常にうるさいのです」
「え、エルクはな……そ、その休暇中なのだ」
国王は独裁をしており、意見するものを側においてこなかった。それ故の弊害が出たのだ。彼の間違いを正す者はひとりもいなかったのである。
「そうですか。それは残念です。早く彼が現場に戻っていただけなければ、私の方も気が収まりません」
物流大臣は表情を歪めた。
くそっ! 国王は表情を歪めた。まさか自分が失態を犯すとは思ってもいなかったのである。
しかし、国王をさらなるトラブルが襲った。
「こ、国王陛下! 大変です!」
「なんじゃ?」
物流大臣と話をしていた時の事だった。
「国内で謎の奇病が発生しました!」
「き、奇病じゃと! ど、どうすればいいのだ!? 今まで奇病など一度として発生してこなかったではないか!」
「そ、それは国王。エルク殿が錬金術で作り出した治療薬のおかげです。我々の国で幾度となく疫病が発生してきましたが、その度にエルク殿は治療薬を開発し、国民へと配ってくださいました。そのおかげで我が国は一度として疫病が蔓延してこなかったのです」
「な、なんじゃと! な、何とかせい!」
「は、はい。その為にはエルク殿のお力が必要なのです。休暇中とは思いますが、呼び戻しては頂けないでしょうか?」
「う、うるさい! どいつもこいつもエルク! エルクと! わしを責め立てるな!」
国王は怒鳴った。だが国王は怒鳴るだけで他に出来る事は何もなかったのである。
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