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 走馬燈。


 自分の。


 なんでもない普通の夢。


 少しずつ。


 変わっていく。


 見知らぬ男性。


 そして、わらっている私。


 これは、わたしの夢、なのだろうか。もうすぐいなくなる私の。果たされることのない、夢。


 異性と仲良くしたことはないし。恋をしたこともない。ずっとひとりで生きてきて。そしてひとりで、しぬ。


 この夢は。寝てみる夢ではなくて。叶えたいと思って追いかける夢。見知らぬ誰かと、恋をして。愛し合う。


 夢の中にいる自分には。叶えることのできない、夢。


 走馬燈が変わっていくということは。


 終わりが、近いのかもしれない。


 退屈しなかったな。


 いろんな人の夢が見れて。想いがあふれていて。たのしかった。


 しぬ前には夢も幻想も何もないって、誰かが言ってたっけ。自分もそう思ってた。わたしは。運がよかったのかな。こんなにも、幻想的で。心地よい夢に包まれている。神様に祈ったこともないし、死後の復活とか天国とかも信じてなかったのに。いま、そんな、気分。


 満たされている。


 いまなら。


 上手に、しねるかもしれない。


 何の取り柄もない、普通すぎる人生だったけど。


 この夢のためだけに。


 生きていて、よかったと。そう、思える。


 あまく、やわらかな光。

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