第十六話 スターダスト2

近づいてくるのが大好きな先生とわかったがどうしたらいいのか分からなかった。ただもう逃げるのはやめたいと思った。そのまま浜辺に立ち尽くしているとやさしく抱きしめられた。


その時、星屑ほしくずのように思っていた自分がとても大切なもののように思えた。





寮に戻ると寮館長から大目玉を食らった。手分けして夜中まで途中の駅や空港の待合にいったりしていていよいよ警察に通報しなければならないところだったと怒られた。これから今回の責任問題が寮や学校としても審議され当然僕自身にも問われることを説明された。そして、先生方が無事に帰ってきたことになによりも安堵していると教えてくれた。


不思議と落ち着いていた。なにもかも恐れるものがなくなったように感じていた。




抱きしめてくれた先生は、知識を押し付けるかたり部ではなかった。いつも学生の頃に悩み抜いた話をしてくれた。先生の言葉が思い出された。勉強をする意味をひとしきり話した後だった。


・・・誰しもやりたいこととやれることがあるだろう。しかし、やるべきことを知ることは難しい。誰からも教わることもできない。多くのことを学び自分で深く考えなければ知ることはできない。


私たち教師は将来君たちが困ったときにそばにいることはできない。どんなことでもいい。やるべきことを見つけてほしい。そして誰もまねできない高みに行ってほしい。




その後も何をやりたいのかさえも分からずにいた。そんな自分にやるべきことを求める先生の言葉がいつまでも心に刺さるとげのように辛かった。いつも困難にくじけてばかりだった。

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