神様ReLIFE④
―――神様からの呼び出し、かぁ・・・。
―――随分と神様と会っていなかったな。
―――僕に何の用だろう?
―――本当にアランの言った通り、怒られるようなことだったりして・・・。
神様のもとへと歩いていると、色々なことを考えてしまう。 自分が人間の身でありながら、天使として生活をしていること。 何かあって天使という役割を奪われた時、自分はどうしたらいいのだろうか。
「お久しぶりです、神様」
「あぁ。 久しぶりじゃの、エイト」
―――ん・・・?
神様が前に会った時よりも、少し老けているような気がした。 天使が年を取らないのだから、神様も年を取らない。 そう思っていたのだが、よくよく考えれば神様は老齢に見える。
最初からこうだったとは思えなかった。
「僕に何の用ですか?」
「エイト。 君がここへ来てから、今日で丁度10年じゃ」
「もうそんなに経つんですね」
「そこで、じゃ。 出会った時にワシが言った言葉、憶えておるか?」
「神様が言った言葉・・・?」
考えてみたが、心当たりがなかった。
「そう。 『君が天使となって働く代わりに、一度だけ地上へ送ってやろう』という言葉じゃ」
「ッ・・・! 忘れて、いました・・・」
「ほっほ。 まぁ、10年も経てば忘れていてもおかしくはない。 地上へ送る時、それが今だと思ってね」
「今、ですか?」
「エイトは今、地上で会いたいと思う人はおらぬか?」
頭に思い浮かぶのは、病院で寝ている少女だった。 確かに家族や友達にも会いたいとは思うが、真っ先に浮かんだのは病院の少女。 だけど名前も知らない相手のため、何と説明したらいいのか分からない。
「無理して言わなくてもいいぞ。 ワシが今から、その人のもとへ君を送ってやろう」
「・・・本当、ですか? あの、それって一人じゃなくても構いませんか?」
頭に最初に浮かんだのは入院している少女だが、やはり家族にも会いたいもの。 ただ、地上に降りるのには条件があるらしい。
「もちろん。 ただし、制限時間がある。 三時間じゃ。 君が地上にいられるのは、たったの三時間だけ」
「十分です。 なら最初に送ってもらうのは、家族のもとでもいいですか?」
「・・・分かった。 すぐに準備しよう」
そう言うと、神様は何か作業に取りかかり始めた。 どうしたらいいのか分からないが、ここにいても仕方がないため一度仕事へ戻ることにした。
―――本当に、僕は地上へ戻れるんだ・・・。
―――もしかして、それって魔法で?
―――僕が今まで疑っていた、神様が願いを叶える力っていうヤツ?
―――本当に、あったんだな・・・。
それから約一日が過ぎ、神様に再度呼ばれることになった。 天使から人間の姿へ戻され、服装も人間界に合うものを用意してくれた。
「準備は整った。 エイト、こちらへ来なさい。 ここへ座って」
言われるがままに座る。 そこで気になっていたことを尋ねてみた。
「神様って、願いを叶える力・・・。 いえ、本当に魔法が使えるんですね」
「・・・だから、何度も言っておるじゃろう。 君が、特別だからじゃ」
その声を最後に、次第に視界が白くぼやけてきた。 身体がふわふわと浮く中、ぼんやりと考える。
―――・・・あれ、そう言えば・・・。
―――僕、天国でおじいちゃんとおばあちゃんに会っていないや。
―――聞かれていないもんなぁ、天使に。
―――・・・いや、僕が答えずに『神様って本当にいるんですか?』って聞いたのが悪いか。
―――でもいいや。
―――天使でいる生活も、悪くないから。
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