第56話 船長の日記と伝承の長ファリアス

砂まみれの道を歩くファリ達

「メイン・コンピュータルームのドアが半開きのままだ」


「うん ファリ」


「入るぞ ・・ん 丁度 指令席が幾つかある

そこから操作も可能か そこに降ろすよレーヴ」


「有難うファリ」微笑むレーヴ

「いいから ふふ 困った時はお互い様だ

メインの機械の方はお任せするぞ

俺はサブに廻る」そう言って隣の席に座る


すぐ傍に生体センサーの装置も置くファリ


「うん 任せてね」レーヴは馴れた仕草で操作ボタンや

コマンドを操作する


「よし!生き返った ほぼデータは無事だよファリ!!」


「さすが 幾つも博士号を持ってる天才だなレーヴ」

「えへへ まあねえん うふふ

さて どこから始めるか・・船長の個人日記が残ってる

画像も・・あ!!」

「・・この日記の画像 船長はレーヴ達や俺の祖母アリアと同じ種の天空人だが

 

幾つかの一緒に写ってる 男は髪型は違うが 俺の親父に瓜り二つだ!

そっくり・・あ・・この子供 多分 この男の子供は・・」

「少年だった頃のファリを幼くしたら・・この姿だよね

そっくり・・・先祖かも・・」


「・・・・日記の中のデータに名前がある

間違いない 俺の先祖の名だファリアス


最初に伝承と言葉や子守り歌を伝えた者の一人

伝承の中にも 残ってる


天空人の一人と大親友だったが 

何かの理由で 大喧嘩をして別れた


悲しかったが 仕方ないと・・もしかして喧嘩したのは彼か?


その後 水の惑星の天空人の娘 

取り残された両親から生まれた娘と先祖は結ばれ

子孫を残した・・

二人目の妻だ 最初の妻は早く死んだ 怪物に襲われて

子供の長男はその子 最初の妻との子

二番目の妻 天空人の娘エリュシュとは 二人出来た

他にも 俺の部族の者達が多く 天空人達と結ばれた・・」

レーヴが 自分の荷物の中から 手持ちの小さなPCを取り出して

傍に置き 操作している

「この船長 崩壊した連邦の一員だよファリ

今 僕らの方に残ってる記録とも照合が一致した

しかもリーダーの一人だ」


「・・取り残された組か 志願しての残った方かな?」

自分のPCと船の日記を確認 照合するレーヴ


「・・・取り残され組だね でも ギリギリまで粘ったから

志願組とも言えるかも」


「俺の先祖のファリアスと大喧嘩した理由は何だろうか?」ファリ


「・・・それもわかったよファリ・・この人 大変な事を仕出かした


惑星の原住民、本来の民なら 少量の水で生き延びる事は可能だけど

天空人・・彼らの多くは水の豊かな惑星から来た者達が多い

つまり大量の水を必要としてる」


磁気嵐が数百年続く事も 

やがて水の塔がダメージを受け修理が出来ない事も予測した

水の為に・・いや この惑星の本来の民を護るために」


「・・・何をしたレーヴ? この船の天空人・・船長は?」


「・・・・空想の水の神を創り出して 水の神への生贄の儀式を始めて 広めた

色んな事もその為に間違った伝承も作り 広めた


生贄用に水の惑星の住人・・天空人を捧げよと

わざと水の惑星の天空人を抹殺を計った 

そして 子孫も水を大量に必要とするだろうからと

・・そう考えて!」


「な・・なんだと・・本当なのかレーヴ

水の神の生贄の儀式で この数百年 どれだけの犠牲が出たと思う・・」


「俺の母も ナギの兄と姉も犠牲になった・・

妹リリーシュも祖母アリアも何度も浚われかけた


俺の部族は数百年 天空人の子孫が多かったから 

ずっと狙われ 他部族の襲撃を受け続けた」


「俺達と同じ考えや天空人の交わった子孫を

多く抱えて護ってる部族たち以外・・

中には子孫が多くいて 儀式の為の売り買いの対象にしてる部族も多かった」 


「ナギ・ナジュアリの部族もだ・・高値で買うから

それでも欲張り 浚う事も厭わない」


「襲撃する多くの他部族だった・・そちらが優勢で数が多い

「襲撃で俺の母は浚われた 生贄にされた・・美しかったという理由で」

悲鳴のように叫ぶファリ


「姿は俺と同じだったのに どこの部族かわからずに助けに行けなかった」


「幼かった俺の目の前で浚われた・・

まだあの時の母の悲鳴と泣いてる姿は覚えてる」

 

「奴らは母を 生贄にする前に乱暴したかも知れない

生贄は綺麗な身体である必要はないから」ファリ


「それだけじゃないナギ本人も危うく 儀式で死ぬ寸前だったんだぞ」

妻となった大事なナギ・ナジュアリ・・ファリは叫ぶように言う

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