第38話 ナギの悪夢

俺の部屋のベットでナギ・ナジュアナリが寝ている


俺はソファで寝ていたが

夜半 ナジュアナリがうなされて それから

彼の悲鳴で 俺は飛び起きる


隣で ゼイゼイと息を吐くナギ・ナジュアナリ


「どうしたの!」心配そうにエルが入ってきた


「大丈夫だエル・・いつもの発作だから・・

俺がナギに・・ナギ・ナジュアナリについてる」


あの生贄の儀式に 

南の村での監視され 冷たく扱われていた生活


多くは語らないが・・逃げようとして鞭で叩かれるなどの虐待も


それらが ナギ・ナジュアナリの心に深い傷を残していた


「・・・わかったファリ 何かあったら呼んでね」

「あ・・すまん ホットミルクをいいかい?」


「ええ わかった!」

程なく エルがホットミルクを持ってきて

ナギ・ナジュアナリに差し出す

「有難うエル」


青ざめた顔で ナギ・ナジュアナリはエルを見てる


「ナギ・ナジュアナリ ねえ・・ナギ 私達 友達よ」

エルが微笑む


「助かったよ エル 後は俺が・・」


「うん じゃあお休み 二人とも」


「ああ・・」


「ごめんねエル」

「気にしない じゃあ!お休みなさい また明日ね」

エル笑顔を見せて 部屋の扉をゆっくりと閉めた


「ほら ホットミルク」

「医者から もらった薬があるだろう? それも飲む・・。」

「うん・・ファリ」

「ああ・・汗かいてる 

俺の服か・・サイズ的には レーヴの服がいいな」

「確か ここにあった」

俺の今の部屋は 本当はレーヴの部屋の一つで

・・・

レーヴは ああ見えて学者なので 本や資料が多くて

荷物が多く 

クローゼットの中にはレーヴの服やら小物


・・ロボットの模型とか

アニメのビデオやらが沢山あった


小物・・アニメのビデオは・・多才で多趣味な彼の持ち物

・・・趣味も広いという事にしておく


ごちゃごちゃした 開かずのクローゼットから

・・俺としては 気になるし 整理してもいいんだが


レーヴにとって大事な宝物が沢山あるらしく

下手にさわると 無くしたり・・しそうで・・


なるべく 開かずの間であるクローゼットには触れないように

していた


そのクローゼットの荷物の中から

丁度 よさ気な服を探し出す

パジャマ代わりになりそうな 大きなTシャツ

いや・・おそらく・・パジャマ用だっただろう

値札つき・・アニメの可愛い女の子の絵柄がついてる

・・

アニメの女の子の絵は・・なんとなく妹のリーシュに似てる

淡い青い髪・・髪の頭の髪の一部を左右のお団子にして 

それに残りの髪を流してる所

・・髪型まで似てる・・



Tシャツの絵の・・女の子が本当に妹に似て愛らしい


・・・とても愛らしいと俺は思う

後で レーヴがいいと言うなら俺がもらおう


・・いや・・いやがって泣こうが・・俺がもらう・・。


心の中でこっそり 思う・・。

「ああ・・これなら 新品で サイズもあう」

「これに着替えて ナジュアナリ」

「うん・・いいのかな?」

「レーヴの・・ あの呑気な能天気な性格から言って まず問題はない」

俺は断言した


「文句を言ったら 俺が言い返す・・心配するな」


まあ、レーヴは明るくて 優しい奴だから

ナギ・ナジュアナリの為だと言えば すぐに納得するだろうから


「うん、あ・・このTシャツの絵柄可愛いね

今度メールで 譲ってもらえるように 頼んでみようかな」


・・・微妙だが・・仕方ない 

嬉しそうなナギ・ナジュアナリの顔をみて

ここは涙を飲んで 俺は譲る事にした


「俺からもメールしておく」

「有難うファリ いつもご免ね・・。」


「ナギ・・気にするな・・」


ナギ・ナジュアナリは時々 

あの東の部族達に生贄にされそうになった体験で 

悪夢に襲われるらしく

こうして夜に飛び起きる事がしばしばあった


ドクター・オズに紹介された 

ユメノというカウンセラーの下に定期的に今は通っているそうだ


「ファリは 今度 衛星にある軍事訓練を受けるって?

がんばってね ファリ」ナギ・ナジュアリが天使のような笑みを浮かべて言う


・・まだ 俺は知らなかった 

本当は どんなに残酷な過酷で辛い体験をナギ・ナジュアリがしたのか


あの時の親父殿の濁した言葉の意味を・・・

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