第14話 水の神への生贄 ナギ・ナジュアリ

夜の半月の月が顔を出している


救出を買ってでた村の戦士達は

黒い衣を纏い

そっと 闇に隠れながら 東の村に忍び込む


東の村は 地下遺跡の東の水の塔に近く水が多く その分 養える家畜も多い


あちらこちらに沢山のコケのトルブルが生えており

トルブルの実も多く見受けられた


むしゃり・・村の誰かがつい トルブルの実に手を出す


親父がそっと それを たしなめる

「わかっているだろうが 気をつけろ!」


村の広場近くに来て 小さな声で誰かが言う

「ここで間違いないか?」


「生体反応がある・・。間違いない」


「おや?」 ファリとおなじくらいの子供が其処に 縛られて吊られている 

彼の髪はまっすぐとした黒髪で長く 砂漠の冷たい夜風に揺らめく


一見すると俺達の種族 


しかし

天空人の血の証 

手先に銀色の鱗のある綺麗な顔の少年


その少年が 首筋を斬られて 身体を吊られている


下に置かれた壺に 彼の流した血が溜まっている


「さらわれた他部族の少年か?息がある」


「この子も天空人と同じ子孫だね・・。」


「うっ・・」

瞳がうっすらと開く 青紫の虹彩を帯びた色の美しい瞳だった

瞳もまた 天空人達のもの


「助けるのか?」


「ああ・・こっちだ・・そっとな」


「名前は?」俺はそっと問いかける


「ナギ・ナジュアナリ・・

ナギ・ナジュアナリ・ ザフリイ・・・


水にいつも困っている遠くの南の村の者達に

まだ幼い頃に兄弟達と一緒に 売られる為にさらわれて そこで育って

その村人達に連れてこられた・・。」

小さく ゆっくりと呟く


「すまんが 聴きたい事がある 彼らはどこだ? 

他にも生贄の人間がいるはずだ?」


「・・あの人達は天空人のそのままの姿・・

とっておき・・だと この村人達は言ってた・・。」 





21・3・31

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る