第4話 見る事もない風景
「ふう・・」とため息をつく俺 ファリ
再び 織物のタオルに目をやる
2世代前に追われる以前は
東の水の塔の遺跡のすぐ近くに住んでいた
俺達の部族
前の世代が 織物の図案に 壁の壁面の彫り物を写していた
この織物も 俺の村では 貴重な収入源
この赤い砂漠・・大昔にあったと言われる 小さな湖は失われ
その時に ささやかな緑も失われた
その頃の風景は どんなものか 知らず
俺達は 残された地下遺跡の壁画と
伝説として子守唄で 伝え聴くのみ
天空の住人が作り 贈り物として与えてくれた
水を作り出す装置の機械
東にある地下遺跡の水の塔ひとつで
時折おこる砂嵐(砂の魔人の息と呼ばれる嵐)にも耐えながら
この荒涼たる赤い砂漠の地で 人間は生き延びていた
水の塔は 東の塔以外にも 幾つかあったが
東の塔以外はみな 壊れてしまった
伝承では 西の塔は 半壊
南の塔は 水の源(みなもと)となる 魔法の青い石が
盗賊によって奪われ それ以来 水が湧くことがなかったという
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