第3話 砂と水の末の者達

キュア-ン それは獣・・モンスターの鳴き声

砂魚を狙う 小型のモンスター ギュアント


大きさは 10歳前後の子供ぐらい

2匹 こちらを見てる


沢山の小さな目に ゴツゴツとした岩のような肌

大きな口元には 鋭い牙 吸盤と魚のヒレがついた前足と後足

後ろには 魚のヒレ

かなり凶暴で 人間も襲う


ギュアントは こちらに襲いかかってくる

俺は 手にした槍で ギュアントを一突きで倒す

二匹目の攻撃 そして


ジャンプして避け 地面に手をつき 体を反転させる

槍を投げ 二匹目のギュアントを倒す


倒されたギュアントは まだ うめき声をあげて体を痙攣させている

今度は 長めの棒のような生き物 ミッテイラが 

5匹ほど砂の中から飛び出してくる


直径は6センチ前後で 

長さは1mほどの細長のひょろ長い小さなモンスターだ

口には 小さいながらも沢山の牙が見える

肉食で 人の血を吸うのだ


砂魚サマクも奴等のご馳走だ


小さな子供の場合やミッテイラが沢山いる場合ならば 

ともかく ミッテイラは致命傷にはならないが


やはり かじられるのも 血を吸われるのも遠慮したい生き物だった


ジャンプを数度繰り返して ミッテイラから逃れる

砂に身体が転がる

「ちい」舌打ちして 再び身体を起こして ジャンプを繰り返す


奴等は砂金を嫌うので 

砂金の砂の場所に行こうかとも一瞬考えたが

ふと思い出す


ミッテイラの皮部分は コケのトリブル酒に漬け込むと 

酒の味が増すらしく

市場で高く売れる事を思い出して 

足のブーツの中の小刀を取り出してミッテイラに投げつけた


2つは外して 逃げられたが

3つは 直撃して仕留めた

俺はため息をつく

「ギュアントの方は 軽めの毒があったっけ」


身体や顔に血がついてないか

確認して 念のために 妹が作ってくれたタオルで顔や手足を拭く


「砂魚や魚篭はギュアントの毒はかかってない,大丈夫だな 

ギュアントが食べられるモンスターだったら良かったのに」


「ミッテイラは 市場で売るか 親父殿達の土産だ

まあ どちらにしても

喜んでくれるだろう・・・ふう・・。」


「ギュアントの毒は

後で 腫れ上がるからな・・ まあ致命傷ではないけど」


ブツブツと独り言を言う


「あ・・近くに 東の水の塔・・地下遺跡から漏れ出した

地下支流・・で 井戸があったよな,また水が枯れてなきゃいいけ」

顔を拭いながら 妹の作ったタオルを見る


妹の織り上げて作った  

タオルには綺麗な図案が織り込まれた


子供の頃に怪我をして以来 足の悪い妹だった だけど

妹リリーシュは織物に 縫い物が上手で

図案は 東の水の塔の遺跡の壁面に彫られていたもの

花というもの


大昔には ちいさな湖もあり 

滅んでしまった植物やら花やらがあって

遺跡の壁面には その有様が彫りこまれているのだった

可愛い俺の妹リリーシュ


彼方から来た 天空人と交わった証(あかし)として

時折 先祖返りの姿を持つ者が生まれる・・異形の美しさを持つ妹


俺達の種族は 本来 浅黒い肌に黒髪 それに赤か黒に茶色の瞳だが

天空人の姿は 様々で 金の髪に淡い瞳で耳が尖った者や

青みがかった肌に

銀色の髪と金色の瞳を持つ者


俺の場合は瞳だけ青


それから

あるいは鱗や虹彩の瞳

そして・・俺の妹は 伝説の天空人の中でも 

水の民に近いとされる その種族の一つ


水色の髪に 虹彩のかかった瞳 それに手の甲に虹色の鱗を持つ者・・

祖母もまた・・こちらは違う天空人の姿を映す


異形の天空人の姿を映しとったような 先祖返りの者達は

その美しさゆえに そして先祖が与えた水の塔という地下遺跡の恵みゆえに 

時には畏敬の念で愛され 

時には 異形の者として 恐れられて

神への生贄にされる事やら・・様々あったのだ


幸いなのか 俺達の部族では 

俺の妹達は 普通の子供と同じ扱いを受けている


俺の祖母にあたる女性アリア


彼女の異形の天空人の姿は

尖った耳に金の髪に淡いグレーがかかった緑色の瞳


部族の世代ごとの中で いつも一人か二人・・多くて三人か四人現れる


あるいは その姿を一部だけ 映した者 髪か 瞳の色だけとか


それは・・いつか戻って来る事を約束した 

子守唄の中の天空人の約束の証のように

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