おまけ2 星の記憶2

――剣闘士達が来る少し前――

グラックス城ではグラックス国兵士団団長シュバイケン並びに8人のグラックス近衛兵と悪魔達の頭領ドラッケン並びに4人の幹部との激闘が繰り広げられていた。

以下、戦士達の身体能力情報


◎シュバイケン

ファルスの基礎値:6733 EP:681 性質:ノーマル EPの基礎硬度:741.0 EPの肉体強化基礎値:1393.7

AP2万1735.1(326.9)、LP6万7372.8(1013.3)、S209.2(27.1)

身長及び体重:179.1cm、92.8kg


◎グラックス近衛兵(ティール、エンヴェス、ブラン、ヴァ―リ、他4名)

ファルスの基礎値:5021 EP:488 性質:ノーマル、他 EPの基礎硬度:399.5 EPの肉体強化基礎値:1014.2

AP8368.0(243.8)、LP2万3429.2(682.6)、S153.7(26.8)

身長及び体重:173.3cm、84.7kg

〇補足

数値は8人の平均値です。


◎ドラッケン前田

邪気の基礎値:6269 EP:648 性質:ノーマル EPの基礎硬度:844.9 EPの肉体強化基礎値:1203.6 

AP3万2392.5(636.2)、LP7万7743.1(1526.9)、S227.5(34.2)

身長及び体重:183.8cm、129.2kg

〇補足

祝清が少し苦手で風が特に苦手だが他は少し平気。また、世界システムに巣食う邪念によって身体機能や邪気の基礎値が飛躍的に上昇し、基礎硬度倍率も1.2倍から2倍に大きく上昇しています。


◎ドラグーン兵幹部(キーファン石田、ジェラモ吉田、ミッチョン武田、ヨアキム古川)

邪気の基礎値:5584 EP:559 性質:火、水、風、雷 EPの基礎硬度:630.5 EPの肉体強化基礎値:1044.2 

AP2万1319.2(570.3)、LP5万1202.8(1369.7)、S191.2(33.2)

身長及び体重:181.8cm、127.6kg

〇補足

祝清が共通して少し苦手で、それぞれ火、火、雷、風が特に苦手だが他は少し平気で、ドラッケン同様に基礎硬度が2倍に上昇しています。また、数値は4人の平均値です。


“ギキキキキン・・・!!!”

2メートルを超える漆黒の鎧を身に纏う赤黒い皮膚のマッチョな人型トカゲが漆黒の大剣を激しく振り回し、それを鉄製の剣と盾を手に防いでいる筋骨隆々の短髪中年男。しかし、ドラッケンの猛攻の前に防戦一方となっている。その一方で、周囲ではドラグーン兵幹部の力の前にグラックス近衛兵達は成す術もなく力尽きていった。大量の血を流して物言わぬ躯と化して石畳の床に倒れ伏しており、玉座の間に集っている武装したドラッケンの部下達が真剣な眼差しで戦闘を見つめている。どれも尻尾は生えていないが、左右の側頭部に天を突きさすかのような角を生やしたトカゲ戦士の様なマッチョな出で立ちだ。ただ、助力する素振りは見せない。これが彼らの流儀なのである。

“ギキン!!ズバン!!”

ドラッケンの鋭く強烈な切り上げがシュバイケンの右肩を深く切り裂き、血しぶきが宙を舞う。シュバイケンは右腕に力が入らずに剣を床に落としてしまい、ガラランという音が響く。その様子を愕然とした様子で見つめるネロン。そして、勝利を確信したドラッケンは両手を広げて嘲笑い始めた。

「大きな力を得た者は異界へと飛ばされる。まさか、例の噂が本当の事だったとは。言葉も通じるみたいだしな。」

ドラッケン前田は惑星ネイのフォバルキア大陸中央部の山奥の農村出身で、飲み仲間と諸国を旅している内に、気づいたら大盗賊団が結成されていた。そして、多くの村や町を襲撃しては農作物をパクッていたのだが、やがて自分達の国を興したいと野望を抱くようになった。邪魔する者は女子供を除いて皆殺しにする。目的の為なら手段を問わない。そんな彼の耳に奇妙な噂が聞こえてきた。それは、一定の強さの邪気を持つようになると、どこか遠くの世界へ飛ばされてしまう、というものだ。

「最初こそ警戒していたが、いざ飛ばされてみたら、どうだ!更に強い力を得て最高の気分じゃねぇか!!」

しかも、飛ばされたらいきなり城らしき場所が目の前にそびえたっている。奪い取れ、と言われているようにしか思えなかった。ドラッケンは元々飛ばされるような邪気を持っていなかったが、どういうわけか仲間共々飛ばされてしまったのだ。そして、頭上に広がる赤黒い雲を見て噂の真実を確認した。

「創造主ミミは、案外、俺たち影人間の味方なのかもしれんな!!」

大きくビルドアップさせてくれただけじゃなく、国までプレゼントとは粋な計らいだ、と、ドラッケンの高笑いが場内に響き渡った。その一方で、シュバイケンはボタボタと大量の血を床に垂らしながらも、盾を装着した左腕に霊気を込めてネロンを守ろうと身構える。

「王には・・・触れさせぬ!!」

呼吸を大きく乱し、全身を震わせて立ち向かおうとするシュバイケン。背後のネロンはその場から逃げようにも逃げられない。ドラッケンの部下達が獲物を狙うような目で睨むように見つめているのだ。

「大した忠誠心じゃねぇか。だが、そんな程度のものじゃ、俺の野望は止められねぇ!!」

――ズガン!ズバン!!――

ドラッケンの強烈な邪気を纏う振り上げがシュバイケンの守りを崩し、その直後の振り下ろしが無惨にもシュバイケンの左肩から右わき腹にかけて深く切り裂いた。再び血飛沫が宙を舞い、シュバイケンは両膝を床についてそのまま前のめりに倒れ伏した。流れ出た大量の血が床に広がっていく。

「ミランダ・・・、ジューダス・・・」

朦朧とした意識の中、シュバイケンは家族を思いながら目を閉じて息を引き取った。そんなシュバイケンの最後を見届けた後に、ドラッケンは大剣をブンっと軽く降って刃に付着した血を払い落とした。

「ここがどこだか知らねぇが、敵ながら見事だった。」

ドラッケンは自分達の戦いで生じた周囲の衝撃跡をじっと見つめ、そして、視線を上げて今度はネロンを睨みつけた。その鋭い視線に怖気づいた素振りを見せているネロン。すると、ドラッケンは何かに気づいた。幹部の一人に視線を向ける。

「おい、もしかして、こいつ噂のドロールじゃねえか?」

「多分そうだな。見た事はないけど、中身が泥だし。噂通りだ。」

幹部の言う通り、目の前の男は見た目こそ人間そっくりだが、中身が土で出来ており、心臓の位置に赤い結晶が埋め込まれている。

「なるほどな。先客がいたってわけか。」

ドラッケンの推測通り、既にこの国は異形の者によって乗っ取られていたのだ。本物のネロンは3年も前にドロールに殺されている。ちなみに、ドロールとは泥で出来た人間もどき、泥人間のことだ。

「てめぇみたいなのがトップじゃ、この国はいずれ腐り果てる。俺たちがこの国を頂く!!」

「ままままま、まってくれ!!命だけは!命だけは、み、みのがしちくり~!!」

化け物のくせに命乞いでもしているのか。ドラッケンは鼻で笑いながら剣先をドロールの鼻先に向ける。彼らが来た時にとっとと逃げれば良かったものを、そうしなかったツケが来たようだ。

「お、俺はただ、か、か、神に命令されて・・・」

「神だぁ?何言ってんのかよく分かんねぇが、生憎・・・、俺はてめぇみたいなひょろい特権階級気取りが大嫌いなんでな!!」

ドラッケンの無慈悲な振り下ろしによってドロールの体は断末魔の叫びと共に跡形もなく消し飛んでしまった。残されたのは衝撃跡のみ。ドラッケンは一呼吸すると、大剣を床に突き刺し、背後を振り返って部下達を見渡した。

「殺したここの兵達は丁重に葬ってやれ。大方、偽物だと気付かずに忠義を尽くしてたんだろうし。」

“アイアイサ!!”

部下達は放出した邪気を担架の様な形にすると、場内で絶命しているグラックス兵達を乗せて外へと運んで行った。そして、玉座の間から遺体が全て運び出されると、ドラッケンは玉座に座って一息ついた。肘掛をスリスリと触るその表情はどこか御満悦といったところだ。すると、しばらくして側近の一人が地下から酒樽を担いできて玉座の間の床にドスンと置き、一緒に持ってきた器に注いでドラッケンに差し出した。

「おう!お疲れさんだな!!」

「おう、あとは町の住民どもを支配すりゃ、この国は完全に俺達のものだ。」

ドラッケンは受け取った器の酒をグイっと飲み干した。しかし、渋い顔をして首を傾げてしまう。果物の様な味がするが、薬っぽい味もする。正直、不味い。

「ミッチョン。ちょっと、お前も飲んでみろ。」

ドラッケンの指示を受けてミッチョンも同じように樽から注いで飲んでみた。しかし、渋い顔をして首を傾げてしまう。まずいのだ。酒の匂いがしたから持ってきたのだが、間違えたのだろうか。地下の広間にいた男達の席の傍には同じ樽がたくさん置かれていたのだが。自分達の口に合わないだけなのだろうか。

「ここの酒は何で作ってんだ?ここには米の酒はねえのか?」

ドラッケン達の故郷では古くから伝わる製法による清酒が流通しており、惑星ネイ全体を見ても酒の品質に関しては惑星ヴィーナよりも遥かにレベルが高い。それらとヴィーナの酒を比べたら不味く感じるのは当然なのである。

「もうちょい探してくるわ。あ、そうだ。地下の女達はどうする?素っ裸だったから、とりあえず適当に布切れ渡しておいたけど。」

「奴隷だったんじゃね?一応、そのまま地下で監視を続けてくれ。日が昇ったら、適当に開放する。」

ミッチョンが再び地下へ向かうと、今度は部下のウッディが足早にドラッケンの下へとやってきた。どうやら、この街の住民達の処遇をどうするか迷っているようだ。ほとんどの住民が彼らに気付いているみたいで、中には抵抗する者もいるらしい。しかし、それ以上に困った事が起きており、それは街中には見た事がないでかい変な獣がうろついているのだ。ただ、街で暴れまわっているが、なぜか自分達に従順のようだ。

「従順なら放っておけ。新生ドラグーン王国誕生まであと少し・・・。住民は逆らうようなら、見せしめに殺して構わん。」

女子供以外はな。そうドラッケンの命令を受けた部下達は地下に幹部4名を残し、それ以外は城から引き上げて外で待っていた他の仲間達と合流した。傍には多くのグラックス兵達の躯が転がっている。そして、総勢403名の悪魔達によって城下町の制圧が始まった。夜の町に響く悲鳴。獣達が口から吐く火炎によって多くの民家に火がついていく。その様子を玉座の間の外にある見晴らし台から見下ろすドラッケン。

「ついに俺は国王の地位を手に入れた。血筋なんて下らんものではなく、力で、実力で手に入れたんだ!!」

ようやく手に入れた悲願の一国一城の主の地位。この壮大な目的を果たす為にネイでこそこそ動いていた。大っぴらに動けば天使シャリーヴァに目を付けられてしまう。その為、町や村を襲って物資を強奪した後は隠し地下倉庫に逃げて邪気を押し殺していたのだ。そうすれば追ってこられないのだ。これがシャリーヴァの限界でもあった。フレイドなる別の天使なら地下深くに逃げようとも、僅かな邪気で位置がバレて、且つ地中に神聖なる炎を注入して焼き殺していただろう。

「この国がどれほどの規模かはまだ分からんが、まずは、この大陸を制覇して王国から帝国へとグレードアップさせる!!」

ドラッケンの野望は世界最高の文明と軍事力を持つ帝国のトップに立つこと。そして、地下倉庫で見つけた古文書(かつてネイの高校で使われていた教科書の世界史B)に載っている偉人達のように“俺も将来、絶対に文献に太字で載ってみせる”と意気込む。

「しかし・・・、ここは本当にどこなんだ?ここが噂の“牢獄の星”なのか・・・?」

ドラッケンが険しい表情で首を傾げている。牢獄の星と言えば何かと嫌な噂もある星。しかし、この際、どこだろうと構いやしない。国さえ手に入れられればそれで良いのだ。そんな楽観視するドラッケンだが、どこからか強い霊気を感じ始めた。その数も1つや2つどころじゃない。焦りと動揺を隠しきれない。それほどの霊力を持った者達がこちらに向かって押し寄せてきている。

「何なんだ、こいつらは!どれも、さっき仕留めた奴と同じくらいか、下手したらそれより強ぇじゃねぇか!!」

ドラッケンはすぐに玉座の間に戻った。すると、幹部のキーファンが再び場内へと駆け込んできた。どうやら他の幹部達も巨大な霊気を持った集団が高速度でこの国に近づいてきているのに気付いたようだ。

「ドラッケン!どうする!?いつもの撤退でOK?」

「撤退だと!?馬鹿言うでねぇ!!やっと国さ手に入れたんだぞ!!返り討ちにしろ!!」

ドラッケンの檄が飛んで気合を入れ直す前田軍。そして、スバルタカシ率いる剣闘士軍とドラッケン率いる新生ドラグーン国防軍との戦いが幕を開けた。以下、フローラの剣闘士とドラグーン兵及び穢溜霧の身体能力情報


◎フローラの剣闘士副隊長(クリタスグル、オノマキオ)

ファルスの基礎値:7161 EP:727 性質:ノーマル EPの基礎硬度:829.3 EPの肉体強化基礎値:1618.3

AP3万2507.3(362.7)、LP10万4019.9(1160.6)、S257.6(28.1)

身長及び体重:178.7cm、97.9kg

〇補足

数値は2人の平均値です。


◎フローラの剣闘士(ウノソウマ、オイカワナツ、キジマシュウヘイ、コタニゴウ、他29名)

ファルスの基礎値:6437 EP:683 性質:ノーマル、他 EPの基礎硬度:744.0 EPの肉体強化基礎値:1364.6

AP2万2617.6(338.3)、LP7万1242.4(1065.6)、S213.5(27.3)

身長及び体重:174.6cm、93.8kg

〇補足

数値は33人の平均値です。


◎ドラグーン兵(ウッディ石川、チェルシー吉川、サノス相川、ムーリス後藤、他399名)

邪気の基礎値:4332 EP:463 性質:ノーマル、他 EPの基礎硬度:443.5 EPの肉体強化基礎値:697.4 

AP8452.2(461.2)、LP2万283.8(1106.8)、S125.9(31.1)

身長及び体重:179.2cm、118.9kg

〇補足

祝清が少し苦手で、火・水・風・雷のどれか1つが特に苦手だが、他は少し平気で、偽りの神の力によって基礎硬度が2倍に上昇しています。また、数値は403人の平均値です。


◎穢留霧(大型獣タイプ)

邪気の基礎値:8万1000 EP:810 性質:ノーマル、他 EPの基礎硬度:984.1 EPの肉体強化基礎値:656.1 

AP56万5977.6(23万2444.8)、LP152万8139.5(62万7600.9)、S79.2(67.2)

体長及び体重:12m89.4cm、58t111.2kg

〇補足

祝清が苦手で、火・水・風・雷のどれか1つが特に苦手だが他は平気。ただ、弱点のコアを砕かれると肉体が維持できずに霧散します。また、数値は12体の平均値です。



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