第28話 戦いのあと

『見事な戦いぶりだった。力が制限されている状況下で、あのレベルの個体に勝つとは。』

通常の声が響かないので、霊波に言葉を乗せてヴィステに送り付ける虎之介。そんな虎之介をどこか冷めた目で見つめるヴィステ。

『なんだ。やっぱり外から見てやがったのか。暇なら手ぇ貸してくれてもよかったんじゃねぇのか?』

『馬鹿を言うな。1対1の勝負に水を差すことなど朕がするわけがないだろう。それに、貴様が死んでくれた方が、朕にとっても都合が良いかもしれんしな。』

高笑いをする虎之介。霊子生命体なので、その笑い声が無駄に宇宙空間に響き渡る。そんな虎之介にヴィステは依頼人達の状況を聞いてみた。魔威を追うのに夢中だったからあまり気にしなかったが、同じ部屋に第1の使徒がいたはず。

『向こうも、一応の決着は着いたようだな。穢溜霧以外、誰も死んではおらん。警察も現場に駆けつけている。』

『そうか。まぁ、穢溜霧はどうでも良いとして、依頼人達が無事だったのはお前のおかげだな。助かったよ。』

『別に、礼には及ばん。救世主に死なれても困るし、何より、カレンに死なれても気分が悪いしな。』

『カレン?』

『フィオナの隣人だ。実は14,5年くらい前に、あの娘の運命を紡いだことがあってな。』

カレンがまだ小学生だった頃に虎之介は彼女を見かけ、ピアノの才能がすこぶるあったが、環境的にそれに触れる機会が無さそうだったので運命を紡いで触れるきっかけを与えたのだ。そして、その才能を発揮して州のコンクール等でグランプリに輝くなどの成績を収めたものの、中学3年生の時に父親を病気で亡くし、それがきっかけで家計の事を考えてピアノを辞めてしまったのだ。

『商業高校を卒業して就職したのは知っていたが、まさか救世主の隣人になっているとは思わなくてな。そんで、誰かに狙われても大丈夫なように細工を施しておいたんだ。』

『なるほどね。だから向こうに到着するまでの時間が稼げたのか。』

『そうとも限らん。』

『どういう事だ?』

『知らないだろうが、あの魔威とかいう泥人間は誰も殺してはおらん。』

『なんだと?』

虎之介が気になって調べたところ、テイシャン大使館の元職員もミミ教会の幹部も全て神代という泥人間が化けていたようで、ジーナにジョージへの殺しを持ちかけたのも、マイクをそそのかしてジョージを殺害させたのも全てこの神代の仕業だったようだ。

『魔威の働きぶりがあまりにも悪いから、神代という奴をヴィーナに送り込んだのだろう。』

魔威はフィオナを攻撃した時に手加減をしていたし、カレンだけじゃなく、ロベルトを狙った時も手加減をしていた。もしかしたら、ヴィステが来るのを待っていたのかもしれない。悪意による殺害命令を自分の中で必死に抑えながら。そうでもない限り、あの強さの個体を相手に死者ゼロなどあり得ない。

『そうか・・・。確かに、そうかもしれないな。んで?その神代は、今どこに?』

『分からん。私の能力もシステムによる妨害は受けてしまうからな。ただ、あれは普通の泥人間ではないな。』

『どうしてそう思う?』

『ワルオとかいう若造の店に行っただろう?その時に泥人間特有の邪気を感じたか?』

その言葉にハッとするヴィステ。そう言えば確かにそうだ。店に訪れる3日前に姿を見せたと言っていたが、そのくらいの期間ならば、例え邪気を抑えていても、まだ邪気が建物内に僅かに染み込んでいたはず。

『ってことは、ドロンコの可能性があるのか・・・』

『ドロンコ・・・、泥人間の子か。』

――ドロンコ――

妊娠して間もない女性が泥人間と性交渉し、自身の力の全てを胎児に宿した事で生まれる半人半魔の生命体。これの厄介なところは泥人間と違って外見も中身も普通の人間とほとんど変わりがなく見分けがつきにくいところだ。そして、母体である妊婦も性交渉の直後にその時の記憶が一切消されてしまうので、泥人間に襲われた事だけじゃなく、自分の子供が悪魔の力を宿している事も知らないのだ。

『他の泥人間達が出現した時期を考えると、神代は、まだ子供なのか?』

『恐らくな。3年前の事件当時ともなれば、下手したら5、6歳だった可能性もある。』

泥人間は惑星ネイ、ヴィーナ、マーサ、ティファの順番で生まれてくるように法則が定まっているので、神代少年或いは少女はまだ10歳に満たない可能性がある。それがドロンコの恐ろしいところだ。生まれながらに高い知性を持ち、無邪気に、遊び半分に人をそそのかし、殺める。そして、殺した相手に化けて悪事を働く。その姿をほとんど見せない理由は、普段は何食わぬ顔をして学校に通っているからなのかもしれない。

『魂を管理してるお前の目でも見分けがつかないのか?』

『無理だろうな。もし出来るのなら、とっくに居場所を特定している。恐らく、そいつの魂は人間のものと変わりないはずだ。』

泥人間としての能力は、その肉体の細胞に組み込まれており、尚且つ、その外見的なものが常人と変わらないので見わけが難しい。そして、ドロンコは泥人間と違って、殺した相手の情報を上書きできる。6人までのストックは同じなのだが、それを全て捨てて別の6人の情報を新たに記憶する事が出来るのである。

『ただ、これまでに出現した泥人間の出身地と魂の構造を考えると、そいつは惑星マーサ出身の可能性は高い。』

『マーサか・・・。確かに、第2銀河の魂は色々と自由がきくように出来ているからな。』

大和人を含めたマーサ人はこの世界の中で最も弱い人種で、それは魂に宿る霊気をほとんど扱えないからなのだが、その代わりに、魂に宿る霊気が他と比べて少し特殊で、柔軟に変化させる事が出来るようになっている。ちなみに、ヴィーナ人がこの世界でぶっちぎりに最も強い人種である。

『泥人間の邪気そのままだと直ぐに私や天使達にバレるから、それを人間の霊気と変わらないように変化させ、尚且つ、切り替えが自由に出来るようにしているのかもしれん。』

自分の手駒である使徒達を作る時にだけ霊気を泥人間特有の洗脳蝕土へと変化させ、それを対象の人間の心臓部に打ち込む。そして、神代本人は善悪の境界で苦悩する使徒を遠くから眺めて楽しんでいるのだろう。悪意が教育を施した通りに。

『それだけ、そいつに力を注いでいるってことか。つまり、神代こそが悪意にとっての重要な駒。』

『そうだろうな。これまでに殺られた3体と違って、表舞台には出させず、普通の人間達を利用して悪事を行っているからな。』

これまで倒された3体の内の最初に討伐した1体は惑星ネイで生まれた神楽と名乗る個体で、テイシャンの貴族に化けて地下施設で怪しげな薬による人体実験を行っていたが、12年前に虎之介によってその情報を与えられたホルデンス家当主のヨハンによって討伐されている。そして、もう1体は惑星ティファで生まれた神崎という名前の個体で、ルミアスの反社会勢力の幹部に化けていたが、8年前に大型旅客船でその正体をジョージの母親のサンドラによって見抜かれて交戦となり、彼女に致命傷を与えて追い詰めたものの、直後に現れたユリコによって瞬殺されている。

『さっき倒した魔威という個体に関しては、ある意味で邪念の失敗だな。元から強い力を持っていたのに、更に力を与えたせいで、上手くコントロール出来なくなってたようだし。』

『それもあるが、ヴィーナが妨害していたのも大きい。』虎之介が言うには、魔威は他の個体と違ってヴィーナ自身が30年ほど前に生み出した正統な泥人間だったようだ。

『30年前・・・』

『その当時は、どの国も工業化が進んで川の汚染といった環境汚染問題が起きてて、ヴィーナがその前に人類に警告を与える為に生み出したのだ。』

『なるほど、神の川ね・・・。戦ってて何となくアメンボだって分かったけど、だから強い力を持っていたわけか・・・』

アメンボとは邪悪な思念をもつ泥人間達と区別する為に設けられた名前で、星が直接生んだだけあって強力な力を持つ個体が多い。その名前の由来は、通常の泥人間が雨の日に人間達の前に子供の姿で登場することによる。それに対し、悪意が無理やり創った泥人間の細胞は脆く、いくら悪意によって力を与えられたとしても、その全てを体現できるほど強い肉体を持ち合わせていない。空間転移こそ可能でも、空間そのものを支配する能力を所持するなど不可能だ。悪意自身もそこまで生体に関する物理法則を変えられないからだ。

『ヴィーナにとっては想定外だったようだな。』

惑星ヴィーナが直接生み出した泥人間はこれまで3体しかおらず、その内の2体は古代で高度経済成長期における公害問題が起きる直前に生まれて人類の前に姿を見せた。そして、その2体とも悪意によって支配されずに役割を果たしていた。

『だから、油断したのだろう。』

『それだけ、世界システムの異常が進んでいるってことか・・・』

ヴィーナを含めた星々もそこまでは分からず、真愛が洗脳されて邪悪な化身となっても何も出来なかった。だから、自分の娘である真愛を悪意から取り戻す為にヴィステを頼ったのだ。天使勢と違って世界システムの影響を受けない唯一の存在だから。

『私に影響なくても、ヴィーナ自身が影響を受けるから、世界システムが邪魔して声がよく聞こえなくてな。マイって名前と、助けを求めていた、ってくらいしか分からなかった。』

ヴィーナは何度もヴィステに訴えていたが、悪意が邪魔して思うように声を届ける事が出来なかったのだ。ヴィステが事務所の休憩所で弁当のチラシを見ていた時に、水性マーカーが勝手に動いてホワイトボードに“マイ”と弱々しく書いた事もあったが、その直後に力強く“シュー”と前に付け加えられてしまった。本日の昼食のおすすめかと思った。

『けど、実際に戦ってみて、いくら悪意によって力を与えられたととは言え、泥人間にしては強過ぎたから何となく分かった。』

『奴にはもう、美々子クラスの泥人間を創れる力はないからな。』

『だから油断してたよ。久しぶりにマジでやばいと思ったし。ってことは、マイの他にも、この星で生まれた泥人間がいるってことか?』

泥人間は星自身が創り出す正常な個体と、世界システムに巣食う邪悪な思念が創り出す異常な個体と別れており、前者は星による任意なので時期や数の制限はないのだが、後者は任意であるものの、ダイマの力によって時期や数に制限を加えられている。つまり、真愛の他に、もう1体、別の個体がいるという事だ。

『あぁ。4年前にベロニカで起きた爆破事件は、神代と名乗る個体ではなく、別の個体による仕業だ。神辻という名前だ。』

『神辻・・・、そいつの行方は?』

『恐らく、と言うより、間違いなく惑星フリーンにいる。』

虎之介が言うには、神山はテイシャンの事件の首謀者たる神楽という個体の協力者で、4年前の事件に関しては首謀者だった。

『ダイマはまだしも、シャリーヴァも倒せなかったのか?』

『あぁ、4年前に関しては、警察とは別にシャリーヴァも直ぐに動いたようだがな。』

シャリーヴァは僅かな泥人間の邪気の残滓を頼りにアルメリア区まで辿り着いた。そして、その残滓を追って古い雑居ビルの地下室に行ったのだが、そこで残滓がプッツリと跡絶えてしまった。

『空間転移で逃げたらしいが、転移先が分からなかった。』

『分からなかった。つまり、惑星フリーンに転移したというわけか。』

『そうだ。あそこにある闇の空間以外にない。あそこは私もダイマも手が出せないからな。』

惑星フリーンの北半球には巨大なドーム状の漆黒の空間が広がっており、外からは中が全く見えない状態になっている。ただ、虎之介の神眼をもってすれば、薄っすらと中がどうなっているのかを確認する事が可能で、創世会の構成員らしき大勢の人間がそこで働いているのを確認している。

『貴様も1年前に確認したと思うが、既に、何かの研究施設がいくつか建設されている。今は、空間の中央で城の建設が始まっている。』

『なるほど、それを魔王城にでも見立てるつもりか。』

『どうだろうな。ただ、その城は神代とかいう奴の為に建設している。ご丁寧に、現場にある立て看板に書いてあるしな。』

看板には所有者としての神代の名前だけじゃなく、工事の総責任者として神辻の名前が記載されている。つまり、この神辻という泥人間が神代の右腕的なポジションということだ。

『元々、奴は神川を神代の右腕にしたかったようだ。あの個体は、これまでに生まれてきた泥人間の中では最も強い能力を持っていたからな。』

2番目は邪念が直接創造できる最も強い個体だった美々子だ。つまり、邪念にとっては、ユリコを除いた戦力の中で、魔威は最も強かった駒だった。それに対し、神代という人間として転生した個体の霊力はたかが知れている。それは、邪念にはもう強力な泥人間を生み出せるだけの力がないからだ。世界システムの異常が進めばその機能が低下するという事でもあるので、それを悪用している邪念の力も自ずと弱くなっていくのである。

『強力な個体が創れないから、ヴィーナが生んだアメンボに目をつけたのか。』

『そうだろうな。星竜達もそうだが、ヴィーナが生み出す霊的生命体はどれも強力なものばかりだからな。』

『けど、自分の力とあまり差が無くなって思うように精神を支配できず、ろくに協力しなかったから、ただの兵器として扱ったわけか。』

邪念が魔威に空間を創り出してそれを自在に操る能力を与えたのは、大きな障害と成り得るヴィステを抹殺する為だ。彼女がオリジンによって能力の制限を受けているのを知っているので、個の力だけでは勝てないかもしれないが、空間という大きなアドバンテージを与えれば確実に勝てると思っていたのだろう。

『それでも貴様に敗れた。恐らく、神代がお前の前に姿を見せる事はないだろう。流石に見抜かれる危険性もあるし、戦わせても結果が見えているしな。』

『別にいいさ。神代は、ジョージの敵は息子が取る。いつか、あの子が大きくなった時、必ずな。神辻って奴も、そのついでになるだろう。』

ヴィステは確信に近いものを感じている。神代が薬の研究に力を注いでいるのは、現在の世界の秩序に歪みを生じさせる為以上に、自身の肉体と霊力を強化させて魔王の如き力を得るため。そして、悪意の忠実な駒である以上、必ず救世主達の前に立ちはだかる時がやってくる。その時こそが3年前の事件の真の決着になるだろう。

『そう言えば、その救世主の事なんだが・・・』

『どうかしたのか?』

『・・・いや、何でもない。』

『そうか?さて、それじゃ、そろそろ帰ろうかと思うんだが・・・』

ヴィステは改めて周囲を見渡す。遥か遠くに見える星々の光が美しい、が、自分が今どっちの方角を向いているのかが全く分からない。

『送ってやろうか?え?え?』

虎之介が救いの手を差し伸べてくれるようだが、その得意げな顔が気に入らない。恩を売るつもりなのが目に見えている。真愛がいなくなった以上、ヴィステが空間転移をしてヴィーナに戻れないのを知っているのだ。

『てめぇに貸しは作らねぇよ。』

そう霊波で伝えると、ヴィステは再び胸の前で手を合わせて闘気を集中させ始めた。そのただならぬ気配に虎之介は後方へと下がる。すると、虎之介の目の前でヴィステの体がみるみるうちに機械ではなく、奇怪なものへと変化していき、そして、それは姿を見せた。

『コズミックボディか。久しぶりに見たな。相変わらず不思議な体だ・・・』

虎之介の前に立つのは、人型の宇宙空間のような生命体だった。青白く淡い光のラインで全身の輪郭が分かり、青い瞳からも光が放たれている。輪郭的には長い髪の毛をなびかせた女性型宇宙空間といったところだ。そして、胸部分には太陽を中心にして、水星、金星、地球と月、火星、木星、土星、天王星、海王星によく似た惑星らしき小さなものが漂っており、更に、その周囲には小惑星等に似たものが漂っている。太陽系のミニチュア版といったところか。

『しかし、何とも美しいが、恐ろしいな。目の前にいるのに霊気を感じ取る事が出来ぬ。』

『恐ろしいって言っても、戦闘では基本的に使えないぞ?戦闘時にこの姿になると、一瞬で元に戻されちまうし。』

ヴィステのこの形態は彼女が生まれた世界以外では、戦闘時だけじゃなく、人がいる場所ですらオリジンによって一瞬にして人間形態に戻されてしまう。調査以外の名目でこの世界でこの姿が許されているのは、宇宙空間を移動する為にのみである。

『そんで、困った事に、この姿だとなぜか空間転移が禁じられちまうんだよ。』

『もはや嫌がらせのレベルだな。』

オリジン的には、この形態でならば広い宇宙空間での長距離短時間移動が容易なので自力で飛んでいけ、という事らしい。彼女の制限が全面的に解除される条件は、救世主が最終到達地である神星マタタビにいるミミの下へ辿り着くこと。つまり、確実に妨害するであろう邪念を救世主達が払った後という事になる。そんなヴィステは、第3銀河の方角を調べ始めた。宇宙空間は方向感覚が分かりづらいので現在地と自分が向かうべき方角を間違い易い。

『下だ。下。』

虎之介がそう言うと、ヴィステは“あ、そっちか”と言って逆さまになった。どうやらマヤの空間は第3銀河と中央銀河との中間地点にあったようで、頭上の遥か彼方に見える星々の光は中央銀河のものだったようだ。惑星ヴィーナまでの距離はおよそ21万光年といったところか。

『今のは、貸しじゃねぇからな。』

『ふん、貴様と違って、朕はそこまでせこくはない。とっとと行け!』

虎之介がそう言うと、ヴィステは改めて遥か頭上に見える星々に狙いを定め、青い闘気を放出させてそれに向かって飛んでいった。瞬く間に遥か遠くに行って見えなくなり、青白い残像だけがその軌道上に残され、やがて消えた。もはやワープと相異ないレベルだ。超光速という、そのあまりの速度に虎之介の表情は険しいものに変わる。

『恐ろしい奴だ。例え私が完全体になったとしても、とても敵う相手ではないだろう。もっとも、能力の制限を受けるのだから、ワンチャンスあるだろうが・・・』

そう思ってヴィステに挑んで散った猛者達がいったい何人いるのだろうか。ヴィステが向かった第3銀河の方をしばらく見つめた後、虎之介はその場から姿を消してしまった。


――桜坂ビル屋上――

――ブン・・・!!――

10秒ほどで惑星ヴィーナに戻ってきたヴィステ。そして、探偵事務所があるビルの屋上の30メートル上付近に到着した瞬間に元の人間形態へと戻ってしまった。空中でブレーキを掛けたつもりだが、飛んできた勢いを完全に抑えられずにそのまま屋上に着地した。だが、着地に失敗してゴロゴロと転がっていく。そんな彼女を、同じビルで働いているアクマ商会の社員2人が口を開けて見つめている。どうやら、屋上で煙草を吸っていたようで、いきなり姿を見せた彼女に驚いてしまったようだ。

「え~とね・・・、それじゃ!」

そう言って2人に挨拶をすると、ヴィステは逃げるようにして出入口の扉を開けて下に降りていったのだった。


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