第4話:報復
私は父と共に王宮に呼び出されました。
チャーチル公爵家が各所に提出した、王太子との婚約解消と父の隠居を撤回させるためなのは明らかです。
同時に王太子のスキャンダルをこれ以上広めないように脅かす心算でしょう。
だからこそ、謁見場に王国屈指の騎士と魔導師が勢揃いさせているのです。
正直バカバカしいですね、この程度の脅しで私は引いたりしませんよ。
むしろ今まで以上に王家に敵意を抱くだけです。
さて、最初の生贄は誰にしましょうか。
「ここの呼び出された理由は分かってるな、チャーチル公爵、ラニージャ嬢」
この男がいいですね、王国一の猛将と称されるコプリー子爵レオ卿。
騎士から武勇だけで成り上がって子爵に叙爵された立志伝中の男。
この漢が何もできずに血反吐を吐いて倒れたら、実力差が分かるでしょう。
殺す気はありませんから、最初に痛覚を敏感にさせて苦しめる。
この場で悲鳴をあげないように必死でこらえていますが、よほど痛いのでしょう。
顔色は真っ青ですし、脂汗が滝のように流れています。
血管を切って大量出血させて、直ぐに血管をつなぎ合わせる。
「はい、はい、はい、はい、分かっております国王陛下」
憶病な父が国王の脅しに勘単に屈しましたね。
こうなる事は最初から分かっていましたが、情けない限りです。
私は返事をする気にもなりませんから、完全無視です。
それよりも、騎士と魔術師を無力化しなければいけません。
誰がやったのか証拠が残らないようにして、王家の魔導師達に無詠唱で沈黙魔術をかけておいて、無力化しておきましょう。
「返事はどうした、ラニージャ嬢!」
今の命令口調は結構腹が立ちましたね。
オイタの過ぎるバカには、痛みを与えて躾けるしかないのかもしれません。
心臓が急に痛みだしたら、国王も怖いでしょうね。
その前に私に睨みつけられていたら、心臓の痛みを私を結びつけるでしょう。
魔導師達に治療を命じても、呪文が唱えられなくなっていたら、本気で死の恐怖を感じる事でしょうか。
「私には何のことだか全く分かりませんわ、国王陛下。
それよりも陛下、私には王家が呪われているような気がいたしますの。
神の教えを蔑ろにしている王太子がいるだけでなく、それを隠蔽しようとする国王と王妃に対して、神が本気で天罰を下そうとしているように見えますわ」
「なにを、うっげぇぇぇぇえ」
「げっほっごほグッハ」
国王が胸を押さえて前に倒れ込んでしまいました。
コプリー子爵レオ卿が口から鮮血を吐いて倒れました。
いえ、将軍や騎士団長が全員血を吐いて倒れました。
あまりに腹が立ったので、一人ではなく全員苦痛地獄に落としてやりましたの。
魔導師達は必死て呪文を唱えようとしていますが、できないので狼狽しています。
でも誰よりも一番慌てているのは父です。
私の仕業だと気がついて恐怖しているのでしょうが本当に情けない根性なしです。
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