第13話

「………知ってる天井だ」


一度は言ってみたいセリフのオマージュをようやく言えた。…………じゃねーわ!


えっ?なんで俺寝てたの?てか昨日小春とラブコメムーブを上昇させてから家に帰って………あれ〜?そこからの記憶が御座いません。


わかってることはあのバイオレンスシスターが何かをしたということ。確認せねば。


俺はまだ若干気怠い体に強制的に鞭を打ってベットから出ようと腕を伸ばしたら………ムニッ


ムニッ?


「あん」


あん?なんだこのすさまじいほどの嫌な予感。壊れたブリキのオモチャよろしく声のする方に首を向けるとそこには


「………おい、なにやってんの?乃愛それに柚希?」


生まれたままの超絶残念系美少女姉妹が嘘寝を決め込みながら俺にしがみついていた。


「あの〜この状況をどうか私めに教えていただけませんでしょうか?」


するとぱっちり目を開けたアホもといバカ柚希が


「それはな「あ、いやお前に聞いてない。ちゃんと話してくれるよな?乃愛?」なんでだーー」


今バカの話に付き合ってやれない。柚希は拗ねて「乃愛ーいってやれー」と言って布団の中に入り直した。でもちゃっかり目だけ出して様子は伺う気だ。


最近ちょっとずつネジが緩んでおかしくなりかけてるがそれでも深瀬家の常識人である乃愛がここまでアホな事はしないであろうと乃愛に話をふったのだがなぜか目を逸らされた。


その後、意を決したのか俺の目を真剣な眼差しでこういった。


「おにぃ!私達はついに一線をこえ「ばかやろう」と乃愛の発言を遮り頭にチョップをかました。


頭が痛い。ちらっと柚希を見たら、あらやだ。素晴らしい笑顔だこと。さぞかし今の笑顔を向けられた男はイチコロだこと。オレイガイ。


こいつらの好意?というか愛情が兄妹愛から逸脱してる気はしてた。昔から知ってる美琴もそう言ってたから間違いではない。ただここまでの事をしてくることはなかったし兄妹としての線引みたいなのはしっかり理解してると思っていたが。


小春と会ってからの二人は暴走しすぎてる気がしないでもない。天国の、あ!まだピンピンして海外での生活を満喫してるラブラブ夫婦である我がマミー&パピー!


やっぱりあのとき俺が止めといてよかったです。もし二人がホントの事を知ったら歯止めが効かないとおもいます。あ〜本当に黙ってて良かった。

実は俺と乃愛柚希の姉妹が血が繋がってないラノベの設定みたいな事実を言わなくて。


俺が今の状況でもどこか安心してるのはこの二人が俺のことを本当の血の繋がった兄妹だと思っていて一線は超えてこないだろうと確信しているからだ。だがこの深瀬雫は知らない。あのまだ登場すらしてないが雫と乃愛柚希の両親がまともであるはずがなくむしろくっついちゃえと姉妹を後押ししてることなど雫は知る由もない。


(おにぃ、私達は知ってるよ?お母さんとお父さんには聞いてたから。しかも応援までしてくれてる。だからあんなぽっとでの奴にはおにぃは渡さない!覚悟しててね♡)


(雫は私達のだ!いままでは女の気配はゼロだったし私達以上な子はいないとおもって油断してたけどもうそろそろ本気をだしますか!見てなさい2年連続ミスに輝いたおねぇちゃんの実力を♡)



何も知らない聞かされてない可哀想なしずくくんはこの物語が楽しい楽しい青春ラブコメだと思っていた。ざ〜〜んねん。修羅場修羅場のここは地獄ですかとエンマ様も同情しちまうぜ!ベイベーな物語です。






















「……やっと会えるよ、しーくん♡」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る