第5話

なんだ、この異様な雰囲気は。おいおい、さっきまでニコニコしてただろ乃愛も柚希も。それに小春もなんだかいつもと雰囲気が違うような?ま、出会って全然時間経ってないけどね。ここは俺が仕切ったほうがいいの?


「えっとな、この人が昨日話した仲良くなった女の子で三森小春って名前だ。二人も会いたがってたろ?」


俺が会話を切り出すと乃愛が


「……三森さんはおにぃの友達なの?」


友達?なんていったらいいんだ?ここで正直に言ったほうがいいのだろうか。いやそれは無いな。心の中で自己完結してると小春が


「わ、私は雫くんのど、奴隷です!」


言っちゃったよ!しかもなんでドヤ顔?おいおい二人とも驚きまくってんじゃん。そんな引いた顔で俺をみるなよ!


「違うぞ!いや、ちがくないけどなんかお前らの頭にあるようないかがわしい関係じゃない!それだけは信じてくれ!」


俺の必死な説得に一応納得しかけたが乃愛が


「そういえば、おにぃ今日三森さんにパンツを見せてとかなんとかいってたよね?」


こら!乃愛さんや。それはアカンわ。ほら柚希の顔、それ弟に向ける顔とちゃいますやん。ど、どうしようか。すると小春が


「わ、私が無理をいってお願いしたので雫くんは何も悪くないんです!」


天使か!あ、いやそもそもこの話題出したのこいつだったわ。でも助かった。これでなんとか


「……じゃあ三森さんは雫にエッチな命令はされたことないの?」


柚希、今それ言っちゃだめなやつだと思うよ?ほら小春めちゃくちゃ目が泳いでるし顔真っ赤になってらっしゃる。


「だだだだだだいじょじょうぶです!ヒューヒュー」

こいつ、嘘下手すぎか!初めてみたぞ。アニメみたいに誤魔化すとき口を鳴らすの。こんなんバレバレ


「そ、そーなんだー。ま、そうだよね!私達にもエッチな命令とかしないからねー雫がヘタレでよかった〜」


あれ?誤魔化せたの?馬鹿すぎない、うちの姉。小春もよかった〜って顔してるし、乃愛はなんか俺の顔じっ〜と見てるし。とりあえず話題を変えよう!


「そ、そうだ。乃愛!今日は小春が来るから料理結構凝ったもん作るって言ってたけど何作るんだ?」


すると乃愛はまだ俺を疑いつつ、


「今日はビーフストロガノフをつくろうかと」


う?なんじゃらほい?だいぶいかつい名前の食べ物つくるのね?


「じゃあ私も何かお手伝いさせてくれませんか?お邪魔してるので」


と小春が言うが「大丈夫ですので、おにぃと姉の相手になってあげてください」と断りを入れてキッチンの方に言ってしまった。乃愛が静かに淡々とするときって前触れなんよなー後で爆発しそうで怖いわ。


とりあえず俺たちはご飯ができるまでこの二人の相手か〜


「なぁ?3人でゲームでもやるか?」と提案すると小春が遠慮がちに


「私、ゲームあんまりしたことないのでよくわかんないです。……それよりも私、雫くんのお部屋にいってみたいです。」


なんだゲームしないのか。ま、いいや。二人きりならこっちとしてもいろいろ隠しながら話をしなくていいから正直助かる。このまますんなりいけばの話だが、さっきキッチンでめっちゃモノ落ちる音したけど大丈夫か?


「ああ。いいぞ。特に面白いものはないけどな」


じゃあ行こうかといってリビングを出ようとしたら柚希が


「三森さん、雫の小さい頃の写真とかみたくない?」

と引き止めた。小春は目を輝かせて


「みたいです!なんなら持って帰りたいくらいです!」


ともうよだれを垂らす勢いで柚希の方に向かう。柚希も小春のテンションに引きつつ「じゃあ、わたしの部屋にいこうか」といって小春を連れて柚希は2階にある部屋に向かった。向かう途中キッチンから顔を出した乃愛にサムズアップしてた。


リビングに一人残された俺は乃愛に「何か手伝おうか?」聞くとさっきは小春の申し出をすぐ断ったのに俺が聞くとキッチンから顔を覗かして「うん!早くきて!」と笑顔でいった。


キッチンにくると乃愛が抱きついてきて俺の耳元で


「……あの女には気をつけて。メスの匂いバンバン出してるから」


といままで聞いたことの無い乃愛の低い声でそう言われ背筋が凍りつき俺は黙ってうなずくことしかできなかった。



こえーー!あの女とかメスとか言ったよ!この妹は!まだまだ序章だったのね、これから始まるんだわ戦争が!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る