第3話 「冒険の香り」 後編
あれが 魔人かしら?
お城には「祭事の戦士」の壁画があって、そこに描かれていた魔人に似ているわ。
確か魔人の能力は・・・・ えー・・と思い出せないわ。がははは
でも 災害級の力だったはずよ。どうするのかしら?
それに、こちらの世界に魔人が出てきてしまうなんて 聞いたことがないわ。
元の世界にちゃんと戻ってくれるのかしら?
まあ だけど 何とかなるでしょう。 がははは
魔人は前に数歩出てくると
「わたくしは魔人のプラリムと申します。それでは始めさせていただきます」
と自分の名前を名乗った。
表情の読めない顔は 村の人たちには邪悪なものにしか見えていないことだろう。
「うりゃーー おりゃー!」
村人たちが ヤリやオノをプラリムに投げつけた。
魔人のプラリムは胸のあたりに向かって 両掌を持ち上げると、
それに合わせて 地面からツルが生えてきた。
そして らせん状のバネのような形状になると、ヤリやオノに向かってツルが飛んでいった。
らせん状のツルは 自ら回転していて、ムチのように
村人の攻撃は すべて叩き落さ れてしまった。
そして 不規則に動くツルは村人に向かってそのまま飛んでいった。
でも ライトが マターソードでツルを斬り捨てた。
「おみごとでございます。
これが、わたくしの能力の一つ目でございます( ̄▽ ̄)
それにしても、こちらの世界は素晴らしい。
いいツルが育ちますな。普段以上の力が出せそうでございます。」
「俺の名前はライトっていいます。
ああ それとこれが俺の武器、マターソードです」
ライトは ガラスのような黒い愛刀をプラリムに見せた。
「ライト様、承知しております。これからが 本番でございます」
ライトにもツルが放たれたが、襲い掛かったツルをライトは素早く交わした。
後ろにあった岩にツルが命中すると、
ツルは、グルグル巻きになった。
そして、岩はそのままツルに締め上げられて砕けてしまった。
わざと 力を見せたのだろうか?
「これが 植物バネ。二つ目の能力でございます」
プラリムは表情を変えずに、でもニヤリと笑って見せた( ̄▽ ̄)
らせん状で回転しているツルを目で追って回避する。
バネの性質を持ったツルは 軌道が変わりやすいので厄介だ。
「ツルは お嫌いですか?好き嫌いはいけませんぞ!!」
「斬りそびれたら、そのまま剣が巻き取られるでしょ?、そのツルが好きな人はいないですよ」
さらに戦闘を進めていくと プラリムは ツルを自分に取り付けてバネのように
飛び跳ねながら攻撃を加えてきた。
さらに複雑な攻撃になり、ライトを追い詰めたことで余裕が出てきたのか、
プラリムの攻撃の手数も増えていった。
劣勢になったかと思われた。そのとき
「ソルトショット!!」
アーラルのリングがプラリムのツルを攻撃し始めた。
ツルは 凍り付いてその機能を失っていった。
何かが俺を助けてくれたのか?
リングにひし形(◇)の小瓶が取り付けられていて、
小瓶が当たるとツルが凍ってしまうようだ。
正直、助かった。
でも あの能力はなんだ?
ソルトショットと言っていたから 小瓶の中身はおそらく塩だろう。
なんで 調味料を武器化にしているのだろう?
あのリングも いつも体に身に着けているようだし、
塩やスパイスを武器化にしているのも、リングと関係がありそうだな。
「2対1でございますか。ならば こちらも最後の能力を出しましょう。
もし 一撃、わたくしに一撃でも与えられたならあなた様の勝でよろしゅうございます。
それでは まいります。ドラゴーレム!!!!」
プラリムはドラゴンへと姿を変えた。
プラリムはブレス攻撃にシッポのなぎ払い攻撃と、色々な攻撃を繰り出せるようだ。
一撃を与えるには 懐へ飛び込まなければいけない。
懐に飛び込むといっても これがラドンなら簡単だ。
でも こちらは知性が高いから、かなり手ごわい。
見晴らしのいい頭上から 見渡して
攻撃範囲の広いシッポで攻撃をしてくる、ブレスもはけるからあまり離れることもできないぞ。
ただ 方法はいくつかある。
カカオドリンクだ。
あれがあれば 何とか力技で突破できそうだな。
「また カカオドリンクをくれないか?」
アーラルに頼んでみた。
リングの操縦に専念していたアーラルは 操縦の合間、合間に返答をしてくれた。
「無理よ、すぐにはできないわ、だって、私の愛情を、込めなくちゃいけないもの。がはは」
愛情?
多分 魔力を込めないといけないという意味だと思う。
でも、このまま長々とやってはいけない。
あまり もたもたやっていると、ブレスで村を焼くとか言われてしまう。
そうしたら ツミだ。
あれを、久しぶりに使ってみるか
ライトは 剣を自分の前に掲げると刀身に左手を乗せ深く息を吸う。
そして左手に身に着けているリングに話しかけた
「セレス、力を貸してくれ・・。行くぞ!!プラリム!」
マターソードに光が宿った。
炎のブレスをはこうと息を吸い込むプラリムだが、それではライトの攻撃には間に合わない。
プラリムは何かを感じ取ったようだったが、まわいを取って戦っていたことが裏目に出たと思ったことだろう。
「いけー! アークイーリス!!!」
ライトが剣を空高く掲げると 剣の光は空に放たれた。
すると ほんのマブタをひとまたぎさせる間に、空から光が降ってきた。
大きな太い柱のような光が雲を貫き、そしてプラリムに降り注いだ。
「ぐわぁぁあ・・ 」
プラリムは元の姿に戻ってしまった。
「お見事でございます!これから、あなた様にお使い致しますm(__)m」
プラリムに勝利した。
プラリムが仲間になった。
アーラルは上目遣いに お目目をパチパチさせてすり寄ってきた。
「あなた すごいじゃない。がははは」
村の人たちも 集まってきた。
でも 村の人たちの俺を見る目は いつもとは違う感じがした。
とうとう この日が来てしまったのだろうか・・さみしいな。
「ライトよ。お前は いったい何者なのだ?神の使いなのか?」
やっぱり せっかく、いい村だったのに、また引っ越すことになりそうだ。
まあ 今回はコーヒーの木も手に入ったから、今度はどこでも暮らしていける。
でも それよりも子供はどうなんだろう。
プラリムなら何か知っているかもしれないぞ。
しかし
子供を見たプラリムは、立ち上がると こちらを向いて首をゆっくり左右に振った。
プラリムでもわからないようだった。
村を出ていくといっても この件だけは何とかしないとな。
ただ プラリムは 魔道具が関係しているかもしれないともいっていた。
だから 魔道具や祭壇の情報を調べていけば、何かわかるかもしれないということだった。
アーラルが 手招きをするように手を振りながら俺とプラリムの目の前にやってきた。
「合格よ! ライト・それに特別にプラリム。
あなたたち「祭事の戦士」になるための試練を受ける資格を与えるわ。がははは」
アーラルからは 「祭事の戦士」になってほしいと頼まれた。
まず そのためには「祭事の戦士」になるための試練を受けなければいけないらしい。
戦士になるための試練を受けて、祭壇の試練を受けうるのか・・試練ばっかりだな。
ただ、プラリムは人間じゃなくて、魔人なんだけど資格は大丈夫なのだろうか?
プラリムの顔を見ても 表情は読み取れない。
本人は人間だと思っているのだろうか?
聞いてみるか?
イヤ 魔物には見えないし大丈夫だろう。
神の祭壇があるマカカオヤ王国へ行けば、情報が手に入る確率は高い。
だから 行ってみようかと思う。
「まあ、これは前祝よ。あなたには、お姉さまから頂いた特別な葡萄酒を飲ませてあげるわ。
さあ 3人で一緒に飲みましょう がははは」
そして アーラルからは第二王女のお姉さまから頂いたという貴重な葡萄酒を
俺たちに振舞ってくれるという。
コップに注がれた 葡萄酒はどんな味なのだろう?
王女様が特別というのだから その味は独特なものに違いない。
コップ一杯しか飲めないわけだし、味わって飲もう。
色も 洋服が染められそうなくらい深い色合いでコクがありだ。
「乾杯よ。がはは」
そうこう考えていると 先に口をつけたのはアーラルだった。
でも 一瞬で顔が真っ赤になり湯気を噴き出して気絶してしまったぞ!
もしかして 初めてお酒を飲んだのか?
地面に倒れこんでいるところを、急いで抱き起した。
「ライト・・あなた、素敵じゃない!
しゅきー 好き ブッチュ!!(*´ε`*)ブッチュ!!(*´ε`*)」
目を覚ましたアーラルはライトに抱き着き、激しくキスをしてきた。
しがみついたアーラルは ライトを離さない。
プラリムのツルのように絡みつく。
そして アーラル様のツルが口・・いや なんでもない。
「なんと、これは 惚れ薬にございますな。」
後でわかったのだが プラリムが言うにはこの葡萄酒には「惚れ薬」が入っていたらしい。
なんせ 魔法の世界の惚れ薬だから、どのくらい効果が続くのかもわからない、
突然 発作か呪いのように発動して、おかしな人を好きになってしまっても困る。
そこで 安全に解除をしてもらうために 俺もアーラル王女様のお供をして
マカカオヤ王国を目指すことになった。
俺たちの旅は始まった。つづく。
異世界 原始の祭壇【魔法のある古代文明で暮らそうと思ったら。UFOがすでに神様やってた、でも気にしない】 もるっさん @morusan
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