第20?話『とあるひとりぼっちのお話』
「綴って、何するかわかんないよな。」
「…?そうかな?」
「あぁ。私たちより先のことを見ているっていうか…先の先のことまで考えて生きてるって感じ。」
「そんな器用なこと、僕にできるわけないじゃん(笑)」
「でもほんとなんだって。すごいと思う。」
「……そっか。」
「今照れただろ」
「…っ!!照れてない!!」
僕は褒められるのが苦手だ。
特にあの2人から褒められるのが苦手だ。
いつも隠している顔が少し歪んでしまう。
ポーカーフェイスが破られそうになる。だから僕は2人に褒められるのが苦手だ。
「おい綴〜!部活何はいるか決めたか〜?」
「僕帰宅部にするつもりだよ。」
「え〜!?つまんないじゃん!なんか入ろうよ〜!」
「嫌だよ。家に早く帰りたい。」
「なら委員会は?綴なら生徒会とか行けそうじゃん」
「嫌だよ。目立ちたくない。それにめんどくさい。」
僕は目立つのが嫌いだ。
他の人に顔色を伺われるのが苦手だ。
人間の愚かで見にくい一面がハッキリ見えてしまう。
あいつらは直ぐに嘘をつき、人を騙す。
だから僕は目立つのが嫌いだ。
「ねぇ綴くん!春樹くんって好きな人いるかな?」
「え〜?知らないよそんなの〜」
「ねぇねぇ君!春樹くんの傍によくいるよね?春樹くんって彼女いるかわかる?」
「僕に聞かれてもしらないよ〜」
「なぁ綴〜!解峰って美人だよな!お前狙ってないの?俺狙いたいんだけどさ〜!」
「水戸はあんまりそういうの興味ないと思うよ〜」
僕は人間が嫌いだ。
特に水戸と春樹に近づいてくる奴らが嫌いだ。
僕達の間に入ろうとする、邪魔なヤツら。
優しい2人に近づこうとする愚かで見にくい人間。
近づくな。2人に近づくな。
僕の居場所を
これ以上無くさないで。
嫌な夢を見た。
僕の醜い夢。
ねぇ、こんなの見て君は楽しいの?
これを見て君は僕のことどう思うの?
僕のこと「かっこいい」とか「気持ち悪い」とか。
そんな言葉で表してるの?
勝手に見てきたくせに。
僕のことあんまし詮索しないでくれる?
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