第17話『信用』
《水戸side》
私は自分の役職を春樹と綴に伝えた。
役職の主な役割、そして条件。
全てを2人に伝えた。
「なるほど…ね。なかなか大変な役職だね。」
春樹がうーんと唸りながらそう言った。
「つまり、これから僕達が調べないといけないこの学園の資料とかを自由に調べられるってことだよね?てことは逆に僕達だと調べられない物もあるってことか…」
綴は深く考えている。
綴はいつも先の先のことまで考えていて頭の回転も早い。見た目だとおちゃらけているが中身は1番真面目と言っても過言ではない。
「そういうことになるな…。だから、もしそのようなものがあったら私に教えてくれ。2人になら素直に協力できるから。」
「え…いいの?僕達の役は…水戸わからないんだよ…?」
「あぁ。2人なら、信用出来る。一緒に生きてきた仲だからな。」
「そこまで信用してもらえるとはね…まぁ僕も水戸と春樹を信じるよ。」
「うん。僕も2人を信じる!そして守るから!」
春樹と綴はにっこりと笑ってそう言った。
2人と一緒ならどんなことにも耐えられる。
そんな気がしてきた。
ピーンポーンパーンポーン
少しするとチャイムの音が部屋中に響いた。
『みなさーん!休憩は取れましたかねー?
それでは!早速始めたいと思いますよー!
夜食の時間までの間、各教室を解放します!
皆さん、好きなだけ探索しちゃってくださいねー!!
それでは!シーユーネクストタイム!』
ピーンポーンパーンポーン
少女の声が流れ終わり終わりのチャイムが流れる。
「水戸、立ち上がれる?」
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう。」
春樹が手を貸してくれて私は起き上がることが出来た。
私たちは部屋から出て、それぞれの個室の扉がある広場まで来た。
「それじゃあ、鍵が空いたっていう教室に行ってみようか。」
「わかった。じゃあほかのみんなを呼んで…」
「ねぇ、」
私が他のみんなを呼ぼうとした時、綴が私の腕をつかんだ。
「ねぇ…3人で行動しない?」
「…え?」
綴の予想外の提案に私は戸惑った。
「どうしてだ?」
「それぞれ配られた役…なんの役職があるかわからないでしょ…?信用できないやつらと行動するより、僕ら3人で行動した方がいいと思う。」
「それは、私も同感ね。」
「ちょ、琴梨…!?」
ほかの部屋から琴梨と神希が出てきた。
「へぇ…君も同意見なんだ。1年生の割に、結構考えてるんだね。」
綴が挑発するように琴梨にそう言った。
「おい…綴…」
「えぇ、私結構考えるタイプでして。私も先輩たちのこと信用出来ないので2人で行動させてもらいます。何されるか分かりませんしね。」
「こ…琴梨!先輩だよ!?失礼にも程が…」
「神希、黙って。これは命令よ。」
「……はい…」
琴梨は強い口調で神希を黙らせた。
「僕は同意見だし反対しないよ。ご勝手にどうぞ。僕達もそうさせてもらうので。」
「そう。それでは、ごきげんよう。」
琴梨は小さくお辞儀をして広場を後にした。
「と、解峰先輩…」
神希がよそよそとこちらに近づいてきた。
「…どうした?」
「その…琴梨が失礼なことを言って…すみません…その…本当はいい子なので…」
「…大丈夫。こちらこそ綴が挑発するようなことを言ってすまない。あいつは私たちのために色々考えててくれてね…お互い、そういう気持ちだしあまり考え込まないでくれ。」
頭を下げてきた神希をなだめるようにそう言った。
「神希!」
「あ、うん!それでは…失礼します。また御夕食の時に…」
神希はぺこりと頭を下げ琴梨の方にかけていった。
「さて…僕達も行こうか。」
「あ…他のみんなにも伝えた方が…」
「大丈夫。さっきからそこにいたみたいだから。出にくかった空気だしね。多分聞こえてたと思うから。」
春樹がそう言った。
多分風が微妙に動いていたのだろう。
「そうか、じゃあ行くか。」
「うん…!」
私・春樹・綴は広場を後にし、教室のある方へと向かった。
《乙羽side》
部屋を出た瞬間、綴くんと琴梨ちゃんの声が聞こえた。
話の内容はそれぞれ信用出来ないから別々で行動しよう…という内容だった。
「…めっちゃ出にくい空気や…」
私はこっそりともの陰に隠れ、みんなが出ていくのを待った。
「乙羽、お待たせ。あれ、他のみんなは?」
「あ、えっとな…」
「あ!3年生のお二人方!どうも〜☆あれ、水戸っち達は…??」
世宗の他にもちとせちゃん・雷華ちゃん・かなめさんの3人も出てきた。
「あ〜…ちょうどいいしまとめて説明するの。」
私は全員に先程あったことを話した。
「なるほど…確かにそうですもんね…私たちはどうしましょうか…?私は一緒に行動するの、全然大丈夫ですよ〜!」
ちとせちゃんはブイポーズをして、そう言った。
元気がある子やな…こういう子がいると周りが落ち着くからありがたいわ…
「私も大丈夫ですよ。かなめさんは…?」
「僕も大丈夫。お二人方は?」
「うちも大丈夫なの。」
「僕も大丈夫!じゃあ、みんなで行こっか!」
世宗がそういうと私たちはみんなで教室のある方へと向かった。
まぁ、なんかあったら私たちの力でどうにかなるだろうし…
大丈夫かな。
私は世宗の方をちらっと見てまた前を向いた。
その時、ひとつの違和感が頭をよぎった。
この子…こんなに背低かったっけ…
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