第13話『紙切れ』
《水戸side》
『ここから出たいのなら、
ゲームをしてください。
従わなければあなた達の大切なものを
頂こうと思います。』
そう言った少女は私たちの足元目掛けてデコピンをするかのように指を弾いた。
その瞬間…
「な、なんだ…これ?」
カードが1人1枚ずつ目の前に刺さっていた。
『そのカードは自分以外誰にも見せては
いけません!!そのカードの言う通りにすれば
あなた達は無事に脱出できるのです!!
簡単ですよね?』
たしかにそのカードには細かく文字が書かれていた。ただ、私たちはあの少女の言うことを聞くメリットはひとつもない。だから…
「やらないよ、こんなもの。」
『おや〜?気が強そうな女の子…!!
かっこいいですね〜!
ですがそれはダメです。』
「水戸の言う通り、僕もやるつもりは無いよ。」
春樹が私をかばうかのように前に出てきた。
『は〜…せっかくのイケメンなので教えてあげましょう!私の言うことを聞かないとどうなるのか…』
そう言い少女は私と綴の方に指をさしてこう言った。
『あなたの大事な大事なお友達、サヨナラしたくないですよね??』
少女は笑顔のままそう言い放った。
その途端、春樹の顔色が悪くなるのがわかった。
「っっっ……」
「おい…春樹…大丈夫…?」
私は春樹の肩にそっと触れた。
「大丈夫だよ、ごめんね水戸。これ従うしかないみたい…」
春樹は小さく震えた声でそう言った。
春樹も怖がっているのがわかった。
こいつはいつも強がっているが実は3人の中で1番ビビりだ。今も無理をしている。
今は…私が守らなくちゃ…
「なるほどね。そういうことか。」
綴がいつもよりワントーン低い声で言った。
「…綴?」
「このメンバー、何グループかに分けられていてそれぞれ相当な絆で繋がっている。多分あの子に従わなければグループごとに消されるね。」
『その通り!!鋭い子もいるもんですね〜!!』
「……あぁ、なるほどね。」
「こ、琴梨…?どういうこと?」
琴梨が何かを悟ったかのように意味深な発言をした。
「いやなんでもない。」
「そ、そう…?」
神希が怯えたような声で答えた。
「つまり、僕が君の指示に従わなかったらいちばん関係深い乙羽も巻き添え…ってことか。」
「なんやそれ…意味わからへん…」
3年生2人も警戒した表情で足元をずっと見つめていた。
『皆さん黙って動かないってことは…
参加していただけるのですね!!
理解が早くて助かりますね!!!!』
モニターの少女は嬉しそうにクルクルと回りながらそう言った。
『では、詳しいルールを説明しましょう!!
ルールは簡単!!あなた達は協力してこの学校の謎をとき、脱出すること!これが目的です!!
ただし、条件としてそのカードに書かれていることを守らなくてはいけません!!そしてそのカードは誰にも見せないこと!!以上です!簡単ですよね???』
そう言うと少女はニヤリと笑みを浮かべ指を指した。
『ただ、1人だけ他の人に役を教えることができます。その人は信頼できる人に教えるもよし、全員に教えるもよし、誰にも言わないのもよしです!!ただ、誰かに教えた場合、自分の身が危なくなる…なんてこともあるかもしれませんね!!』
身の危険…つまり命に関わる…ということか?
あの子はどんな役があるのか何も言わなかった。
つまり、危険な役がある可能性もある…ということだ。
『それでは!!またお会いしましょう!!
シーユーネクストタイム!!』
そう言うと少女が映っていたモニターは光を消した。
あたりは静寂に包まれた。
皆が疑心暗鬼になっている。
そしてこの場の状況の整理をしている。
どうすればいいんだ…?
これから…私たちは何を…
私は先程与えられた紙を誰にも見られないようにひっそりと確認した。
「【探偵-たんてい-】
探偵のごとく真実を暴きだせ。
・校内を調査し、真実を暴きだせ。
・最後の答え合わせでその答えを突きつけろ。
・校内を自由に探索する権利を持つ。
条件:正解しなければ全員が巻き添え死をする」
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ーセキュリティロックー
『ーこれより、ゲームを開始します。』
『各教室のロックを確認ー』
『それぞれ監視を開始してください。』
『これより、ゲームを開始します。ー』
「さて、いよいよだね。」
『マスター、ミスのないように。』
「わかってるって。」
「さて、君たちはどうするのかな?」
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