第11話『美少女(?)3人組』
明るい顔、悲しい顔、怒る顔…人は様々な表情をし様々な人間性を持っている。
だけど僕は思うんだ。
どれが本物なんだろうって。
《世宗side》
「逃がさないの。」
そう言い乙羽は僕たちを鎖のバリケードで守りながら敵に奇襲をかけた。
スルスルと跳び箱やボールを避けて敵の方向に一直線の鎖、固く頑丈なバリケード。
さすが乙羽、こんな時でも慎重に物事を考えられている。
「捕まえたの…!」
乙羽は自身の手から出していた鎖を掴みぐっと引っ張った。
すると廊下の向こうから1人の少女の声が聞こえた。
「わー!!!私捕まっちゃった感じ!?え、どうしよう!!2人ともー!!!!わー!!!!!!」
叫ぶ声と同時にその声の主は招待を表した。
金髪の髪に黄緑色のメッシュ、そして僕たちと同じ制服を着たいわゆるギャル系女子の少女が鎖に拘束されながらこちらに飛んできた。
「わー!!あなた達誰ですかー!?!!!?」
「うるさいの…それに重いの…」
「はー!?乙女になんてことを言うんですか!重くないですよー!軽いですもんねーー!!!」
乙羽が冷たそうな目で少女に言うと少女は元気そうに返事をした。
そんなやり取りをしていると少女は乙羽の前に到着し鎖で拘束され動けない状態になっていた。
あれ…この子はたしか…
「ちとせ…?」
水戸ちゃんが少女を見てぽつりと呟いた。
「その声…そしてそのクールな見た目!水戸っち…!?」
「ちとせ」。そう水戸ちゃんから呼ばれた少女は目をきらきらさせながら水戸ちゃんを見つめていた。
「ふむふむなるほど…ではそちらも私たちと同じ感じですね〜…」
僕たちは少女にこれまでの事情や自分たちの状況を話した。
「同じ…ってことはちとせもそうなのか?あと私"たち"って…」
「あ、そうそう!私の他にもう2人いるの!!おーい!2人ともー!!!!こっちは大丈夫だからおいでー!!」
少女は廊下の方を向きながら大声を出した。
すると2人の人影が見えた。
「ちとせちゃん…!!大丈夫ですか…?」
「ぼ、ぼく怖いんだけど…?ちとせちゃん!!本当に大丈夫なの!?」
髪の長くお嬢様オーラを醸し出している少女と、怯えながらその少女の後ろに隠れるちんまりとした少女が顔を出した。
「大丈夫だよ〜!!じゃあここら辺で自己紹介しますか!!ってことで!!そこの!!冷たくて!!デリカシーのない方!!この鎖ほどいてください!!!」
「デリカシー?ものを投げて来た人が何言ってるの???」
乙羽が見たこともないような冷たい目をしていた。きっとそこまで得意なタイプの子じゃないのだろう。
「乙羽、外してあげな。どうやら僕たちと同じ立場らしいしさ。協力しようよ。」
俺は乙羽をなだめるようにそう言った。
「…世宗がそう言うなら…」
乙羽は少し嫌そうに鎖を消した。
「よいしょっとっっ!!!」
その途端少女は宙に浮き出した。
「!?!?!?!?」
「お、おばけだーー!!!!」
神希くんがいきなり大声を出して琴梨ちゃんにくっついた。きっとおばけが苦手なんだろう。
「神希…苦しい…あと人間。足あるから。」
「ご、ごめんなさいっ!!琴梨!!」
「おっと〜!!ビックリさせちゃったみたいだね!!では自己紹介をしましょう!!Ladies&Gentleman!!耳をかっぽじってよく聞いてください!!私の名前は宇喜世ちとせ(ウキヨ チトセ)高校2年!!特技はお手玉!!よろしくね〜☆」
ちとせちゃんは宙に浮きながら決めポーズを決めながら自己紹介を始めた。
「じゃあ次ライライね!!どうぞ!!」
「わ、私ですか!?えっと…轟鬼 雷香[トドロキ ライカ]と申します。ちとせさんと同じく2学年です。よろしくお願いしますね。」
雷香と名乗る少女はロングスカートの裾を持ち軽くお辞儀をした。礼儀が良い子だそうだ。
「では最後にかなめさん。どうぞ。」
「ぼ、僕!?え、えっと…弥生原 かなめ[ヤヨイハラ カナメ]です。僕も2年生。よろしくね。」
「…ん?弥生原かなめ…?そんな名前の女子2年生にいたっけ…?」
僕は全校生徒の名前を把握しているはずだ。見た目はわからないが名前と性別は覚えている。そんな女子いたなんて記憶にない。
「あ…僕男です。」
……??
え…
「「「ええええええええ!!!!?!?!」」」
「お、男!?男の子なの君!?」
かなめ…くんの見た目は確かに女の子そのものだ。世間でよく言われる、美少女という言葉は彼にふさわしい言葉だろう。そのくらいの容姿だ。
まさか…本当に?男の子なのか…??
「うん。男だよ。信じられない??」
「ま、まぁ見た目からはにわかに信じ難いね。そういう見た目の子もいるだろうけど…君その制服…女子のだよね…?」
「だって可愛い方がいいじゃん。フリフリで可愛いでしょこの制服!!僕がアレンジしたんだ!!」
「お…男のかた…?男性…?スカート?フリフリ?フリ…フ…」
神希くんが目をぐるぐるしながらパンク状態になっている。
「神希にはまだその世界ははやいよ。刺激が強すぎ。ピュア中のピュアだから。」
そんな1年生2人をみて少し心が落ち着いた気がする。重い空気がどんどん軽くなるように気がした
「騒がしくなったな…まぁ嫌いじゃないけど。」
水戸ちゃんがクスッと笑ったその時、
「ブチッ」
建物内の電気が全て消えた。
____あたりが闇にのまれた。
《???side》
そろそろだ
あの夢と同じ
あの子が現れる
みんながバラバラになる
悪夢の続きが始まってしまう
もうこんな夢
早く覚めてくれないかな
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