第7話『疑心暗鬼』

《神希side》

まずい…これは非常にまずい…

別にやましいことがある訳でもないし、隠さないといけないこともない。…だけど

この状況は非常にまずい。

今の発言の流れからして琴梨がすごく怪しまれている。

確かに護身用の銃を持っていることは僕も知らなかったからすごく気になるけれど…

琴梨は悪い子じゃない。それはちゃんとわかってる。

なのに…当の本人はさっきからぐっすりと眠っている。

閉じ込められて、話し合いの時間にぐっすりと。

疑われてしょうがないけれど、みなさん違うんです!この子はすごくいい子なんです!!

僕がオドオドとしていると琴梨が少しだけ動いた。

「!琴梨!起きてください!!」

僕は慌てて声をかけた。

「ん…んん…」

琴梨が眠たそうにようやく目を覚ました。

さて、この状況をどうにかしないと…

「琴梨、起きたてそうそうこんな話で悪いのですが…さっき持っていた護身用の銃、あれはどちらで拾いましたか?」

「…ん、じゅう?」

「そうです。僕も知らなかったので…」

僕はいつもどうりの調子で琴梨にそう尋ねた。

少しでも怖がらせないように、優しく。

そうして…琴梨からは驚きの回答が来た。


「あぁ、あれなら倉庫に置いてあったよ。」


《水戸side》

「倉庫に置いてあった…だと!?」

ありえない。いや、ありえるのか?

普通学校にそんな物騒なもの置いてあるはずがない。でもこんな変な状況だし本当に置いてあった…のか?

「おい春樹、あの銃…あれは…」

恐る恐る春樹に問いかけようとしていると

「あれは確かに実弾だったよ。」

春樹は私が何を聞きたいのか分かっていたかのように被せてきた。

つまり実弾が入っている銃が学校に、しかも誰の手にもわたるように置いてあったというのか?

もしそれが本当なら大変だ。

犯人が武器を持っている可能性が高くなった。

もうここまで来ると…

「…テロ?」

「いや、それは無いだろうね。」

水戸の発言に世宗が反論した。

「テロなら警察沙汰になっているだろうし、こんな学校で起こされていたらすぐ分かるだろうしね。それに大きな物音も聞こえるはずだろ?なのに全く物音が聞こえない…」

確かにその通りだ。焦っていて脳が上手く働かないのだろうかいつもみたいに冷静な判断が出来なくなっていることに気づいた。

落ち着け。落ち着いて考えるんだ。

確かに、テロじゃなくても物音が一切聞こえないのは不気味だ。犯人がいるならどこかで観察している…?それともこの中に紛れ込んでいる…?

物音を立てずに我々を観察するのはそれくらいしか方法がないだろう。

不気味な空間、不気味な空気。

何かがおかしい。

まるで…


何も無い空間に迷い込んだみたいだ。


《???side》

迫ってきている

真っ黒なきりが

嫌な空気が

私たちに迫ってきている。

あれはトランプ?それともタロット?

手に握る紙切れ1枚

それは天使のお告げなのか

悪魔の囁きなのか


嫌な嫌な夢

まずい味

こんなのバクも食べてくれないよ


知っているのは私だけ

ひとりぼっちだね

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