第6話『いわゆる華のJKってやつですね』

《???side》

「はー!もうここどこー!?」

「僕に聞かれても知らないよ〜…」

「でもここは…学校…ですよね?壊れていますけど。」

「も〜!なんでこんな所に閉じ込められてんの私たち!!ドラマ!?撮影!?ドッキリか何か!?」

「にしては静かすぎますし…規模がデカすぎるかと…それに、崩壊している学校なんて、聞いたことありませんよ。」

「ん〜…とりあえず、他に誰かいるか探してみよよ。僕ら以外にも誰かいるかもよ?」

「そうですね。それが懸命かと。」

「お!つまり冒険ってことだね!冒険なら私に任せてよ〜!ほら!2人ともついてきて〜!レッツ無重力〜!」

「ちょ!?いきなりなにそのテンション!?」

「ふふふ。元気があることはよいことですね。」

「も〜!うちら華のJKなんだよ!?元気もりもりだよ〜!は〜スマホがあったらLIVEしてたのになぁ…なんでないのよ私のスマホちゃん!」

「確かに…持ち物が何も無いのはおかしいですよね…」

「はぁ…僕お腹すいたから早く出たいんだけど…」


《水戸side》

私たちは琴梨をベッドに寝かせ、お互い情報交換をすることにした。

さっき世宗が言ってきた「他にいる誰か」も気になる。他に誰かいたなら、なぜ声をかけなかったのか、なぜ一緒に行動しなかったのか、聞きたいことが山ほどある。

「それじゃあ、僕達から説明するね。」

世宗が座り込んで話し出した。

「僕達は最初、見知らぬ庭園で目が覚めたんだ。そこには僕と乙羽しかいなかったよ。僕はそのまま床に倒れ込んでいて乙羽は庭園にあったつるに引っかかっていた状態だったんだ。僕が先に目が覚めて乙羽を助けたんだけど、その時は本当に焦っていてとりあえずその場から逃げ出すことに集中していたんだ。だから誰かがいたとしても危険だから隠れてやり過ごすようにしていたんだ。そしたら…」

「水が…水たまりが揺れたの。私たちより遠くにあった水たまり…パシャって音を鳴らしてなの。」

乙羽が横からつっこんできた。

「そうそう。乙羽がそれに気づいて茂みに隠れて…その時に見たのがさっき言っていたほかの人たち。人影からするに…女の子3人組だったな。だからここにいる解峰さんたちとは違うって思ってね。あ、ごめん僕の名前と解峰さんの苗字似てるからお名前で呼んでもいいかな?」

世宗はにっこりとした表情で私にそういった。

「えぇ、構いませんよ。年上ですし。」

私がそう答えると、春樹の顔が少しだけムッとした表情に変わった気がした。

「じゃあ水戸ちゃんで!」

「そのあと…隠れてその3人組がいなくなってから私たちはここに来たの。」

「何かあった時のためにも消毒液とかあるか確認したかったし。」

なるほど…さすが3年生、考えることが冷静だ。

そう考えると綴が私にしか聞こえない声量でぽつりと言った。

「それに、毒もあるしね。」

「おい、綴…」

私は小声で綴につっこんだ。

「なに、水戸?こう考えちゃうのは普通だと思うけど。」

「そう…だが…」

「じゃあ次は僕らだね!」

思い詰めた表情をした私をちらりと見た春樹が声を張ってそう言った。

きっと春樹は気を使ってくれたのだろう。

「僕は最初、綴と2人だったんだ。よく分からない教室に倒れていたんだ。綴が僕を起こしてくれて、2人で他の人がいるかどうか探すために廊下に出て…瓦礫が塞いでたんだけど水戸の声が聞こえたから僕が力を使ってその瓦礫を吹き飛ばして出会えた感じです。」

「ちなみに私は起きた時も2人に会う時も1人でした。教室の床に倒れ込んでいる感じで…」

「ふむふむ…なるほどね。で、1年生2人は?」

「え、えっと…僕達は下駄箱付近で倒れていました。先に目が覚めたのは琴梨で…僕を焦って起こしてくれて…その時、昇降口の鍵も閉まっていてシャッターが降りていました。無理やり開けようとしても無理でした…で、そのあと2人で中央にある広い場所で先輩たちと会いました。」

「そういえばその時銃持ってたよね?あれは元々持っていたもの?それとも落ちてた?」

「それは…琴梨に聞かないとわからないですね…僕もびっくりしたので…」

「なるほど…ね。その当の本人である琴梨ちゃんは…一向に目を覚まさないけれど…?」

世宗は目を閉じぐっすりと眠っている琴梨を不思議そうに眺めた。

確かに…長すぎる。

こんな場所で能天気に寝れるものなのか?

こんな大事な時にそもそも寝る人なんているのか…?


水戸は少し、少しだけ、琴梨に疑問を持ち始めた。

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