ニヤニヤ

「面白かったな」


「うん!後でまた来たい」


 昼の十一時過ぎ。

 アトラクションを出た後、おれ達は手を繋ぎながら、レストランがある場所へと向かいながら、先ほどのアトラクションについて話していた。

 レストランの予約は十一時半からなので、ゆっくり歩いて行っても間に合う時間だった。


 アトラクションはシューティング型のもので点数を稼ぐタイプだった。

 ついつい本気になってしまって、おかげで手が少し疲れてしまっている。

 しかし、美香の点数には驚いた。

 おれの点数の1.5倍近い点数を叩き出していたからだ。

 本当に初めてやったのかと思ってしまうくらいだった。

しかも、疲れている様子が全くなかった。

相変わらずのハイスペック美少女である。


「あ、ここだね」


「ん、ああ、そうだな」


 話しているうちにいつのまにか、レストランの前へとやってきていた。

 おれは携帯でネットを開き、予約している画面を入口にいた店員さんに見せる。


 そして、案内され、中に入る。

 中は半分ほど席が埋まっており、おれ達は外の風景が見える席へと案内された。


「いい雰囲気のお店だね」


 上着を脱ぎ、それを自身の席にかけながら、美香はそう言った。


「そうだな、BGMもまたいい感じだし」


 比較的リーズナブルのお店を選んだが、どうやら正解だったようだ。


「さ、早く選んじゃおうか」


「そうだな」


 イスに座り、おれ達はメニューを開き、それぞれ目当てのものを頼む。

 といっても、お互いパスタのランチセットを頼み、パスタの種類だけお互い違っていた。

 おれはボロネーゼ、美香はカルボナーラだ。


「失礼いたします」


 程なくして、前菜のサラダが運ばれてきた。


「この後はお土産だっけ」


「ああ、混まないうちに色々見に行こう」


 フォークをレタスに刺しながら、おれはそう答えた。


「だね。あ、せっかくだからペアのものも買っちゃおっか」


「ぐっ……そ、そうだな……」


 美香の言葉におれは思わず、飲み込んでいたレタスを詰まらせそうになってしまった。


 ぺ、ペアのものね……

 不意打ちすぎて、びっくりした。


「ネックレスとか?あー、でもそれじゃ、学校に持っていけないし、キーチェーンとかがいいかな」


「……」


 すっかり、ノリノリの美香。

 確かにキーチェーンなら学校にも持っていけるが……

 しかし、それだと周りに付き合っていることをアピールにすることになりそうだけど……

 美香は構わないってことことだよな。

 それは……うん、はっきり言って、めちゃくちゃ嬉しいな。


「ねぇ、海斗。何、ニヤニヤしてるの?」


 しかし、そんなおれを見て、美香は怪訝そうな表情で聞いてきた。


「え……ニヤニヤなんてしてたか……?」


「うん、なんか変なこと考えてたんでしょ」


 美香は言いながら、意地の悪い笑みを浮かべる。


「変なことじゃないし、別にいいだろ……」


 おれはそっぽを向く。


「ふーん……まぁいいけど……」


 そんなおれのことをニヤニヤとしながら、見てくる美香。


 おれってポーカーフェイス向かないタイプなんだな……

 つくづく、そう感じてしまうのだった。

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