告白→恋人

 いよいよ、この日がきた。


「……」


 しかし、おれは目の下にクマを作りながら、駅前に向かっていた。

 いよいよ告白するぞって時にこの体調はまずいな……

 色々考えてたら、寝れなくなって結局寝れたのが家を出る二時間前だった。

 もはや仮眠だ。


 おれを悩ませているのは、パーク内で告白するかしないかだった。

 場所としては最高なんだけど……

 ネットの書き込みをすれば見るほど、中でしない方がいいとあった。

 しかし、おれとしては今日告白して、恋人同士になって、クリスマスにまた来たい。

 しかし、どうすれば……


「あ、海斗、おはよう!いよいよだね!」


 そんな気持ちのまま、おれはいつのまにか駅についており、先にいた美香がこちらに向かって、手を振りながら、駆け寄ってきた。

 やば、この感じ……

 めちゃくちゃカップルっぽい……


「あ、ああ、おはよう……」


 しかも、私服がめちゃくちゃかわいいな……

 黒のスカートに黒のジャケット、ジャケットの下にはピンクのカーディガン。

 似合いすぎて、びっくりだ。


「それじゃ行こっか!?」


「ああ、だな……」


 早くもテンションの高い美香。

 それとは対照的にテンションの上がらないおれ。

 そんなおれ達は電車に乗り、十分ほど揺られた後、別の電車に乗り換え、また十分ほど揺られ、目的地の駅にたどり着く。


「おおー!きたねー!」


 電車を降り、改札を抜けた先でいよいよテンションがMAXになった美香がそう叫んだ。

 だが、電車の中でも色々話してくれたが、生返事ばっかりしてしまった。

 眠いし、何よりどうすればいいかわからない。


「早くいこ!」


「うお……?!」


 美香に引っ張られ、入り口近くの荷物検査のところに行く。

 そして、荷物検査が終わり、いよいよ中に入るとなった時。


「あのさ、海斗」


 美香が立ち止まり、こちらに振り返った。


「え、どうした……?」


「なんかさ、言いたいことあるんじゃない?」


「え……」


 美香のその質問にどきっとしてしまう。


 まさか、おれがなんで言いたいのかわかったるのか……?

 いや、それよりもこんな外でって、周りからも見られてるし、なんでそんなことを……

 いや、まさか中じゃなく、あえて外で言わせる気か……?

 中で告白すると別れるっていう、あれを回避するために……?


「あ、あのさ……」


 おれは意を決して、口を開いた。


「うん」


 美香はおれの目をじっと見ている。


「おれ、ずっと前から……その美香のことが……」


 ああ、やばい、頭がどうにかなりそうだ……

 しかし、言わなければ……


「す……きでしだ……」


「……ぷっ、でしだって何それ……」


 耐えられずに、美香は盛大に笑い出した。


「わ、笑うなよ……必死でさ……」


「ふふ、ありがとう。すごい嬉しい」


 言って、美香はおれのことを抱きしめてきた。


「私もあなたのことが好きです」


 そして、耳元でそう囁いた。

 その瞬間、おれは飛び上がりたいほど嬉しい気持ちが込み上げてきた。


「ふふ、やっと言ってくれたね。あー長かったなー、この一週間」


 おれから離れ、美香はそう言った。


「え、わかってたのか……?」


「うん。だって、私が話しかけても上の空なんだもん。わかりやすすぎ」


 言って、苦笑する。


「ま、まじか……」


「でもまぁ告白してくれたからいいけどね。さ、早く中に入ろう?」


 言って、おれの手を取り、握ってくる美香。

 この瞬間、おれは美香と念願の恋人同士になるのだった。

 余りにも上手くいきすぎて、夢なんじゃないかと思えてしまう。

 おれはなんて幸せ者なんだろうか。


 しかし、周りの通行人達が一様にこちらを見ているのに気づいて、おれ達は慌ててその場から去るのだった。

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