どうせ両想い
「なるほど……それで?どうするの?」
「いや、それを相談したいんだけどさ……」
「僕はそういう経験ないからなぁ」
言いながら、ポテトを摘む。
学校も終わり、放課後。
おれと香澄は学校からほど近い、ファミレスに来ていた。この場に美香はいない。
美香にどう告白するかを香澄に相談したかったので、この場にいてもらっては困るからだ。
「しかし、同じ家から出てきたときはびっくりしたよ。てっきりそういう仲なのかと」
「いや……まぁゆくゆくはそういう仲になりたいけどな……」
「正直者だね……」
少し飽きれた様子で香澄はドリンクバーから取ってきたオレンジジュースが入ったコップに口をつけた。
「でさ、今週にはそのテーマパークに行くんでしょ?」
「まぁそうだな……」
「そこで告白したら?でさ、クリスマスの時は恋人同士で行けばいいと思うけど。それに二人で回る場所とか決めるんでしょ?そこで何か渡してさ、告白しなよ」
「そう……だな……」
なんかいつもと違って、香澄がやけに冷たいというか塩対応な気がする……
「どうせ両想いなんだから、大丈夫だってのに……」
「ん……?なんか言った……?」
少しボーッとしていたので、何を言ったのか聞こえなかった。
「いや、なんでも……あ、僕このパフェ頼んでいい?」
「あ、ああ、いいけど……」
さっき、香澄が何か言った気がするけど、何て言ったんだろう……
♦︎
「これ買ってきた」
言って、おれは晩ご飯の済んだテーブルの上に一つの雑誌を置いた。
「あ、これテーマパークが出してる雑誌じゃん!買ってきたんだ?!」
「ああ、うん。香澄と本屋の近くを通ったからさ」
「そういえば、二人でちょっと行くとこがあるって言ってたけど、何してたの?」
「え、あー……うん、そのちょっとな……」
まさか、告白するための相談をしてたなんて言えない……
「あやしー……まぁいっか。それより、見ようよ!」
美香は雑誌を掴んでソファへと向かった。
「クリスマスのイベントもやってるしさー、それも見たいよねぇ」
言いながら、ペラペラと雑誌を巡っていく。
うん、このパターン……また泊まるのかな……
まぁいっか、楽しそうだし……
「ほら、海斗も!一緒に見ようよ!」
パンパンとソファを叩いてくる。
「あ、ああ、うん……」
「昨日はさ、興奮しすぎて決まらなかったから、今日はなんか決めようね」
「そうだな……」
結局、昨日美香は家を出てから、すぐに帰ってきた。でもお互い気まずくてそのまま寝たんだよな……
「まずは中に入ってから、ファストパス取らないとね。海斗は乗れないアトラクションとかあるの?」
「いや、ないかな」
「そっか。じゃあ、これに乗りたいかな」
言って、少し前にできたアトラクションが乗った写真を指差す。
それは射撃のアトラクションだった。
最も映像に向かって、放つするものだが。
「どっちが高得点か勝負しようよ!」
「お、いいな。ん、近くにポップコーンのワゴンがあるんだな。ここで何か買いたいかも」
「いいね。でさ、その後……」
こうして、おれ達は夜遅くになるまで、お互いの行きたい場所を決めていくのだった。
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