仲良し
「本当に男とは思えないわね。だって、本当にモチモチ」
「ちょっとくすぐったいよ、美香ちゃん……」
「……」
学校を出てから香澄、美香と共に道を歩く。
しかし、この二人の横におれはいるのか?と思ってしまう。
というのも、美香と香澄は何故かすぐに打ち解け、あっという間に仲良くなった。
本当に驚くほどの早さだった。
あの塩対応、むしろ氷対応の美香とは思えないほどだった。
そして、先ほどから美香は香澄の頬をずっと触っている。
それを見て、なぜかジェラシーを覚えてしまう。くそ、おれがもっと美少女みたいな男だったら、ああやって触ってもらえたのに……
いや、ちょっと待て。
側から見れば、おれは今、美少女二人と帰っているように見えるな。
それはそれであり……だな……
「そういえば、二人はどうやって知り合ったの?」
香澄の頬から手を離した美香がそんなことを聞いてきた。
「体育の時間にね。知り合ったんだよ」
「ふーん……それにしても、これだけ可愛ければ文化祭で注目されたと思うのに」
「あー、文化祭ね、参加できなかったんだ、ちょっと家庭の事情で……」
言って香澄は、はははと苦笑いを浮かべた。
「へぇ、それは残念だったな」
おれとしても来年は平和な文化祭にしたいと思っている。
香澄がいれば、いろんな意味で盛り上がりそうだしな。
「うん、だから来年は参加したいんだ。あ、そうだ。二人共さ、良かったらメッセージアプリ交換しない?学校に来てまだ仲良くなってる人、あんまり居なくてさ……」
「おれはいいけど……」
「私も別に構わないけど」
「じゃあ交換しよー。えっと、こうやってQRを出して……」
そうして、おれ達はお互いの連絡先を交換するのだった。
♦︎
夜。
「んー、美味しい!」
出来上がったばかりのビーフシチューをスプーンですくい、口に運んだ瞬間、美香は声を上げた。
いつも通り、美香はおれの向かい側に座っている。
「今日は少し気合い入れて作ったからな、それにおかわりもたくさんあるぞ」
「あーもー、最高。それにこのパンも美味しいし」
言いながら、コッペパンをちぎってビーフシチューを漬ける。
「駅前にあるパン屋のなんだけど、結構こだわってるらしくて、菓子パンよりこういうパンの方がうまいんだよ」
「へー……」
と、その時、テーブルの上に置いていたおれの携帯が震えた。
なんと香澄からのメッセージだった。
そしてそこには、明日空いてるかな?
と書かれていた。
「これは……デート?」
いつのまにか隣に来ていた美香が言ってくる。
「いやいや!男同士だし、その言い方はないだろ!?」
「まぁそうね。それにしてもなんのお誘いかしらね」
「さ、さぁな……」
「まぁ楽しんできたら?」
言って、少し寂しそうな目をする。
正直断ろうかと思っていたが、香澄が誘ってきた理由も気になるし、おれは行くことにするのだった。
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