#33 電子のまどろみ
眠りにつきそうでつかない、まどろんでいる時間は楽しい。様々な光景が現れては消えていく。意識というものは流れで、どこか別の所からやってきてまた別の場所に去っていく。自分の中から湧き出してくるのとは違う気がする。
心の奥底には何があるんだろう。深く深く潜って泥の中をかき分けていく。0と1の砂煙が舞い上がる。文書ファイルのようなものが見つかった。開いてみると、改行を表すマークがずらずらと続いている。スクロールしていくと、画像が貼り付けてあった。頭から階段を落ちていく人形の静止画だった。
人形の目はくぼんで黒くなっていた。「目がない」状態に強い恐怖を抱いてしまい、そんなファイルはなかったんだと削除を押した。ゴミ箱に移動されたが、どこにゴミ箱があるのか知らなかった。文書ファイルはまた心の奥底へしまい込まれた。
2021年2月13日
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます