#30 駐禁リサイクル


 部屋の隅に溜まっているペットボトルを眺める。どうしてこんなに溜めてしまったのか。ボウリングが出来そうだ。廊下への入り口を塞いでしまっているから、これは動脈硬化だ。これは不法投棄と似ている。自転車や家具みたいに、1つでも放置されていると、そこにいくつもいくつも同じものが放り込まれていく。みんなその存在をいつの間にか受け入れている。もうしょうがないよね、ここしか置く場所ないもんね。

 洗濯物、洗い物、そしてここにあるペットボトルも全部同じ。しょうがないから置いているけど、それがあるだけで心が蝕まれていく。私を守るためにあるはずの家屋が、逆に私を攻撃してくる。ここにいるな。出て行けと。

 それが怖くなって、急に私は立ち上がり大量のペットボトルを両足でぐしゃぐしゃと潰していく。上手く角度を調節しないと足の裏に激痛が走るので気を付ける。潰して集めたペットボトルたちを、近所にあるスーパーのリサイクル箱に一気に流し込んだ。心を蝕んでいた何かが剥がれ落ち、家屋が私を笑顔で迎えてくれた。


2021年2月10日

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