#26 降る、落ちる
風船が飛んでいるのを、見たことがない。ドラマやアニメではたまに飛んでいる。何なら風船を空へ飛ばすシーンすらある。でも実際にやったことはない。
風船にくくりつけられた手紙になりたいなとは思う。途中でカラスにつつかれて落ちてしまうのかもしれない。それも楽しんじゃないか。怖いけれど。怖いという感情だけを抜き取った場合はきっとすごく楽しい。雲の上はいつも晴れている。上向きに落ちる雷があるらしいのでそれには気をつけないといけない。人間の身体の中では頭がいい地番重いから、真っ逆さまに落ちてしまう。スカイダイビングとかしている人の映像を見ると、水平に落ちているのでコツがあるのかもしれない。
雲の中に飛び込む。雲は小さな水滴の集まりだから服がべったりと濡れてしまう。そういえば自分だって小さな生命体の集合だ。でも雲とは違う。液体を出したり、消えたり現れたりしない。いや、消えるか。液体も飛び散る。あと数分で。
2021年2月2日
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます