2021年2月
#25 毛とトゲとはさみ
指を指して言った。
「ケサランパサラン」
「本当だ。植物性だろうか。それとも動物性だろうか」
「そんなの気にしたことない」
動物性は兎とかの毛玉らしい。剥いで丸めたってことかな。だとしたら怖い。
捕まえようとしてもふわりと手から逃げていく。いいなあ、身軽で。ケサランパサランみたいに生きられたらいいなと思った。
「おや、うにとかにもいるよ」
気がつくと海の底にいた。うにもいいなあ、地に足がしっかりついていてうらやましい。かににはなりたくないかな。なんだか足取りがおぼつかないから。
あなたは手に持っていた棒でうにを岩肌からひっぺがす。海中を頼りなく流れていく。上を見上げるとケサランパサランは海面に掴まって身動きが取れなくなっていた。
「全部一緒だよ。だめな時はだめだ」
光のカーテンがあなたの笑みを隠す。かにだけがさっきと同じようにおぼつかなく歩いていた。
2021年2月1日
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