#11 そんな危ないものじゃない

 朝起きると何やら両親が不満げな声を上げている。ベランダのカーテンを開けると結露して曇ったガラスから冷気が伝わってきた。外を見ると雪が降っていた。雪が降ると車や自転車での通勤に支障が出てしまうため大人は嫌そうな顔をすることが多かった。

 両親の声に合わせて、あー大変だねーという本心ではない感想を漏らしながら私は興奮していた。雪なんてめったに見ない。十数年生きてきて初めて見たと言っても良い。

 登校中は友達とはしゃぎながら雪で遊んだ。1cmぐらいしか積もっていなかったがそれでも嬉しかった。母親からもらった手袋を外し、どうぶつの森でやったように雪玉を転がして大きくしていく。雪の層が薄すぎて真っ黒になった。友達のそれと組み合わせて20cmぐらいの雪だるまを作って笑った。

 そんなお祭りからしばらく経ったあと、図書室で雪についての本を読んだ。雪の結晶は非常に鋭く下手に触ると怪我をしてしまうことがあるらしい。それを読んだ瞬間、自分が触っていた雪の感触を思い出して恐ろしくなった。


2020年12月28日

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