美少女の水着‼︎
5月に入りゴールデンウィーク最終日、S組のみんなは天沢先生の借りたレンタカーに乗せられ、どこかへ移動中だ。
詳しく説明すると言っていたが、持ち物はバスタオルで、全員ジャージ姿で学校の駐車場に集まれとしか言われていなく、移動中の今も不安しかない。
「なんだ流川。冴えない顔だな!」
「これ、どこに向かってるんですか?」
「そろそろ見えてくるぞ!」
「あれじゃない⁉︎」
そう夢野が言うと、左側にドーム状の灰色の建物が見えた。
「あれなに?」
「秋華ちゃんはなーんにも知らないね!」
「夢桜だって分からないでしょ!」
「知ってるし!あれは東京ドームって言うんだよ!」
「夢野さんはアホね」
「凛ちゃん?今なんて?」
「アホと言ったのよ?」
「凛、本当のこと言っちゃダメよ?」
「姉妹揃って私を馬鹿にしてー‼︎‼︎‼︎ポチはアホとか思わないよね!」
「アホ。ここ東京でもないしな」
「そうだよ!冬華ちゃん、アホなんじゃない⁉︎」
「はー⁉︎なに私のせいにしてるんだ!」
「バーカ!バーカ!」
「夢野!後で覚えてろ!」
「もう忘れましたー!」
「あー⁉︎」
もうめちゃくちゃだ。それからなんだかんだで目的地に着き、中に入って、やっとここがなにか分かった。ここは室内プールだ‼︎天沢先生が言った通り、ビンビンなやつだわ‼︎
「水着とか浮き輪はレンタルな!」
天沢先生はそう言い、一人で受付窓口に行ってお金を払った。
高校生一人600円、大人1000円。水着レンタル、一人800円。天沢先生は見学だとしても合計7000円、これも天沢先生の自腹なのかな。
「よーし、水着のレンタルルームで着替えて来い!着替えた人からプールに行っていいからな!」
「今回は掃除とかないんですか?」
「雪山で心配かけたからな!しかも今は温水だから、あっさり入れるはずだ。私はプールサイドで見てるから、ちゃんと楽しめ!」
「分かりました」
俺はみんなと別れ、男性用の水着レンタルルームに行き、シンプルな黒一色の水着を着てプールに向かった。
「お!流川!」
「満喫してますねー」
天沢先生は椅子に座りながら唐揚げ串を食べている。
「少し腹筋割れてるんだな!」
「本当うっすらですけど」
「なぁ、来てよかっただろ?四人の水着が見れるぞ!」
「来てよかったです!最高です!」
「ポチー!」
「ほら、夢野来たぞ」
夢野はピンクに白い花柄の可愛らしい水着でやってきた。しかも履くタイプじゃなくて紐‼︎夢野分かってんてんじゃん‼︎
「似合う?」
「お、おう」
俺の視線は夢野の谷間を直視してしまっていた。
「なんで谷間あんの⁉︎ぐはっ‼︎」
夢野にアッパーされ、そのままプールに落ちた。温水だから冷たさはないけど顎が痛い。ただただ痛い!
「私だって谷間ぐらいあるし‼︎」
「なにまた騒いでるの?」
「別にー」
次にやって来たのは秋月だ。秋月は黒い水着で、左胸に赤い花がワンポイントだけプリントされている。
「塁飛くん。あまり見ないでよ」
「すまん‼︎」
こんなセクシーな水着着ておいて見ないでは拷問でしょ〜‼︎と思いつつ、チラッと秋月を見た次の瞬間、背中にムニっとした感触を感じ、誰かに右太ももを優しく撫でらた。
「ひっ!」
「可愛らしい声ですね♡」
「白波瀬か、ビックリさせるなよ」
「ポチ、なんか慣れてない?」
「そ、そんなことないぞ?」
「怪しい」
「あ、あははー‥‥‥」
白波瀬はフリルの付いた真っ白な水着を着ていて、顔を埋めたくなるほど素晴らしい谷間をしていた。
「顔埋めていいですよ♡いつもみたいに♡」
「やっぱりいつもやってるんだ‼︎バカ‼︎」
「やってないわ‼︎やっこともない‼︎」
「んじゃ私のに顔付けて!」
「おかしいだろ‼︎」
「お待たせ」
愛莉‥‥‥お前‥‥‥スクール水着でもエッロい体してるのな‥‥‥でも、なんでスク水なんだろ。
「愛莉、もっと可愛いのあったでしょ?」
秋月がそう聞くと、愛莉はプールサイドに座って水に足をつけて俺を見つめた。
「流川くんはこういうのが好きかと思って」
嫌いじゃないよ⁉︎でも変なこと言わないでくれる⁉︎夢野の目つきが怖いから!
「ゆ、夢野、いちいち睨むなよ」
「ふん!」
それから、ビニールボールをパスしあって遊び始め、途中で天沢先生に声をかけられた。
「流川!受け取れ!」
天沢先生に水の入った水鉄砲を渡され、とりあえず天沢先生のお腹を撃ってみた。
「バッカ!私を狙うな!」
「あははは!」
「まったく」
これはいいものを手に入れた‼︎これなら、間違って当たったと装い、合法的に四人の胸を撃って楽しめる‼︎
「くらえ秋月!」
「やっ!」
最高だ〜‼︎
「次は夢野だ‼︎」
「いやっ!ちょっと!」
「愛莉!」
「‥‥‥」
「無反応かよ!」
「私にも撃ってください!」
白波瀬は両手を広げ、撃たれる気満々だ。
「逆に撃つ気無くすわ‼︎って、秋月どこ行った?うわっ!」
「ごめんね塁飛くん。変態にはお仕置きしなきゃね!」
「お前らに言われたくないんだけどー⁉︎」
秋月に後ろから両腕を掴まれ、夢野がどんどん近づいてくる。
「秋華ちゃん!そのままね!」
「任せて!」
「ま、待て夢野!なにする気だ!」
夢野は俺から水鉄砲を奪い、銃口を俺の鼻に突っ込み、笑みを浮かべた。
「ポチ?」
「は、はい‥‥‥」
「犬語以外喋るな」
「ワン‥‥‥がっ‼︎なぁ〜‼︎‼︎‼︎‼︎」
左穴終了のお知らせ。
「よし!お仕置きも済んだし、ウォータースライダー乗ろうよ!」
「いいわね!」
夢野がウォータースライダーに乗る気満々でプールから出た時、天沢先生が夢野の肩を掴んだ。
「夢野」
「なに?」
「少し休憩しろ」
「あ、うん‥‥‥」
「んじゃ、俺達も休憩するか!ウォータースライダーはそのあとでいいだろ!」
「私も流川くんに賛成ね」
「よし、休憩!」
天沢先生は夢野の病気を心配して夢野を止めたんだろう。夢野は悲しそうな顔をしたけど、みんなで休憩と決まり、すぐに笑顔に戻ってくれた。
「みんな焼きそばでいいか?」
「はい」
「よし流川、買って来い」
「俺かよ!」
天沢先生に二千円を渡され、天沢先生を含めた六人分の焼きそばを買って、みんなの元へ戻った。
「ありがとう!」
「私の分は要らなかったのに」
「天沢先生ってお昼食べないんですか?」
「いや、来てすぐ唐揚げ食べたからな。まぁ、買ったなら食べるけど」
しっかりお釣りを返し、みんなでテーブルを囲んで焼きそばを食べ始めると、天沢先生は不満そうな表情で焼きそばを指差した。
「流川!」
「はい?」
「なんで私の紅生姜抜いてくれなかったんだよ!」
「子供か!」
「んじゃ流川が食え!」
天沢先生は自分の紅生姜を全て俺の焼きそばに乗せた。
「俺は別に食えるんで」
「ププー!食べれないくせに強がっちゃって〜」
いきなりの煽りにイラっとし、一気に紅生姜を口に入れてみんなの顔を見ると、天沢先生以外、みんな顔を真っ赤にしていた。
なんだ?みんなどうしたんだ。
「ん?」
「流川〜。お前が今食べたの、ぜーんぶ細く切られた唐辛子でしたー!ププー!」
一気に体が熱くなり、辛すぎて口が痛い‼︎よく見たら唐辛子焼きそばとか、特殊な店だし‼︎クソ‼︎騙された〜‼︎
「んぁ〜!」
白波瀬の苦しむ声に続き、俺達四人は苦しみ、天沢先生は大笑いしながら俺達の写真を撮りまくっている。
天沢先生にはいつか、絶対に仕返ししなきゃいけない。
しばらく経って辛さも収まり、普通に焼きそばを食べきることができた。
そして俺達は、二人乗りの浮き輪で楽しむタイプのウォータースライダーを選んで並び始めたが、俺達は五人で一人余る‥‥‥俺は女の子と乗りたい‼︎絶対に‼︎
「だ、誰と誰が乗る?」
「私は流川くんと乗るわよ?」
「凛ちゃんはダメ!」
「なぜ?」
「いつも一緒にいるんだからいいでしょ!」
「関係ないわよ」
「んじゃ、ポチが決めて!誰と乗るの?」
「えっ」
そう聞かれると困る‼︎考えろ、一番争いの起きなそうな人‥‥‥愛莉か?いや、白波瀬が嫉妬するな。白波瀬と夢野が許すのは秋月ぐらいか。
「んじゃ、秋月」
「わ、私⁉︎」
愛莉は無表情だが、白波瀬と夢野は完全にふてくされてしまった‥‥‥
すると、男性のスタッフさんが声をかけてきた。
「三人までなら一緒に乗れる浮き輪がありますよ!」
「んじゃ、私も乗る!」
「私よ!」
「喧嘩するなって、じゃんけんで決めろよ」
二人は納得して、じゃんけんをしようと向かいあった。
「じゃんけんぽん!」
「やったー!私の勝ちー!」
白波瀬がチョキで夢野がグー。勝ったのは夢野だった。白波瀬は頬を膨らませてそっぽを向いてしまったが、誰も一人で乗ることにならなくてよかった。
「それじゃ、こちらに座ってください!」
「あ、はい」
夢野が先頭に座り、俺が真ん中で秋月が俺の後ろに座った。
秋月に腰を掴まれてドキッとしてしまったが、俺の頭の中は、夢野に触れていいのかということでいっぱいだ。
「それじゃ、途中で写真撮られますので、笑顔でお楽しみください!321ゴー!」
俺達三人は滑りだし、思ったよりスピードが速く、何も考えずに夢野にしがみついてしまった。
「ポポポポポポーチー!そこ胸!」
「悪い‼︎膨らみが少ないから腹かと思った‼︎」
「ん?は?」
「え?」
「私を本気で怒らせたなー!」
「秋月助けて!」
「楽しー!ゴーゴー!」
「聞けー‼︎おい、ちょっと待て夢野‼︎」
暗いトンネルに入った時、夢野は後ろに手を伸ばして俺の水着を引っ張り、俺を勢いよく浮き輪から落とした。
「ぬぁ〜‼︎‼︎‼︎‼︎」
俺は一人で浮き輪よりも早く滑っていき、出口のプールに落ちた。
「ぶはっ!」
「あれ?流川、水着どうした」
「はい?」
「水の中だから黒いモザイクみたいになってるぞ」
天沢先生に言われて下半身を見ると、俺は水着を履いていなく、慌てて潜ろうとした瞬間、夢野と秋月が乗った浮き輪が俺の顔に激突した。
「痛っ‼︎」
「あ、ポチ!水着返す!」
「馬鹿野郎‼︎」
「は?んじゃいいよ。ポイっ」
「おーいー‼︎」
夢野はプールサイドに水着を投げ捨て、浮き輪に座りながら俺を見下している。
「頼む秋月!取ってくれ!」
「う、うん!」
秋月が急いで水着を取りに行ったはいいが、水着を拾ってもまったくこっちを向かない。
「秋月!早く!」
「なぁ、秋月?舐めるなら水着じゃなくて直だろ。流川は今裸だぞ?」
「秋月〜‼︎」
天沢先生にこっそり舐めたことをバラされた秋月は、慌て水着を返してくれ、秋月に体を隠されながらプールの中で急いで水着を履いた。
「マジで酷い目にあった‥‥‥」
すると、白波瀬と秋月を乗せた浮き輪も到着したが、二人は到着した途端にひっくり返って、だらーんとした体制で浮いてきた。
「白波瀬⁉︎愛莉⁉︎」
慌てて名前を呼ぶと、二人はジタバタし始めて、足をついて顔を上げたが、な二が起きたのか分からない様子だ。
「大丈夫か?」
「あら?私達、何故ここに?愛莉、早く乗りましょ」
「そうね」
こいつらまさか‥‥‥
「お前ら!写真見れるってよ!」
天沢先生に手招きされて写真を確認しに行くと、俺が尻丸出しで滑り落ちていく写真がモニターに映し出されていた。
「ちょっと!早く消してください!」
「冬華ちゃん!あとでお金返すから写真買って!」
「いいよ。私が勝ってやる!六人分!」
「おいー‼︎やめろ‼︎俺は要らないし、天沢先生も自分の分買おうとするな‼︎おい!金払うな!」
「てへ♡」
殴りたい。めちゃくちゃ殴りたい。
次にモニターに映し出された写真は、白波瀬と愛莉が白目を向いている写真だ。
「お前ら、やっぱり双子なんだな!」
「流川くんは見ないで!」
「見たら殴るわよ」
「え、もう見たけど殴られるの?とりあえず天沢先生、一枚欲しいです」
「これもみんなの分な!」
「ありがとうございます!」
「私と秋華ちゃんの写真ないね」
「だねー。塁飛くんが先に滑って行ったからかな」
「絶対俺悪くないけどごめんね?マジで、なんかごめんね?」
「あっ!」
すると、モニターに二人の写真が映し出され、俺は怒りが増した。
夢野が凄く楽しそうに俺の水着を持って両手を上げ、秋月がそれを見て笑っている写真だった。
「ま、まぁ、これも思い出なんで、写真ください」
「これも全員分!」
そして五人は、俺の惨めな写真を手に入れて満足そうにニコニコしている。俺の顔からは笑顔が消えたけど。
それからも夢野と秋月はウォータースライダーにハマって二人で何度も乗り、その間、波の出るプールで遊んでいると、波の勢いで白波瀬の水着がズレそうになっていた。
「白波瀬!危ないぞ!」
「わざと緩く結んだのに、なかなかポロリできないわね」
「わざとかよ‼︎」
「ご主人様に喜んでほしくて♡」
「人いっぱいいるんだからやめて⁉︎」
「それじゃ、いつか二人きりで♡」
「やめろ」
期待してまーす‼︎‼︎‼︎
次に、三人で流れるプールにやってきて、愛莉が流れに逆らって泳ぎ始めた。
「全然流れないじゃない!」
「なぁ白波瀬?」
「ん?」
「愛莉って天然?」
「かもしれないわね」
流れるプールの遊び方を知らない愛莉を浮き輪に座らせて、俺と白波瀬は流れる愛莉の後ろをついて行く謎の遊びをしていると、夢野と秋月を連れて、天沢先生がやって来た。
「そろそろ車戻るぞー」
「あ、はーい」
それからシャワーを浴びてジャージに着替えて車に乗ったが、白波瀬、愛莉、夢野、秋月は、少し話したあとすぐに寝てしまった。
「天沢先生」
「なんだ?」
「今日幾ら使いました?」
「みんなの保護者が払った金だ。気にするな」
なんで嘘つくんだろう。にしても、俺も疲れて睡魔が‥‥‥
「流川も少し仮眠取れ」
「大丈夫です」
「いいから寝とけ」
「大丈夫‥‥‥」
俺は寝落ちしてしまい、次に目を覚ました時、優しく頭を撫でられる感触があった。
誰だ?白波瀬か?
「少しだけど、笑えるようになったな」
優しい‥‥‥天沢先生の声だ‥‥‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます