裸族♡

何故か愛莉も一緒に暮らすことが決まってしまい、俺は一人で帰宅したが、20時になっても白波瀬と愛莉はやって来なく、玲奈は空腹が限界なのか、さっきからリビングでオレンジジュースばかり飲んでいる。


「お腹壊すぞ〜」

「お腹すいたんだもん」


やっぱりか。


「でさ、愛莉先輩?ってどんな人?」

「白波瀬に雰囲気が似てて、白波瀬とはまた違うタイプの変態だ」

「だから一緒に住もうって誘ったんだ。へー」

「誘ってないからね⁉︎やめて!お兄ちゃんをゴミを見る目で見ないで!」

「ゴミじゃなくてクズだもんね〜。早く来ないかな〜」

「だな〜」


ゴミもクズも同じだろうがよ‼︎ゴミくずって言葉があるだろうがよ‼︎酷いだろうがよ‼︎


そして21時、やっと白波瀬がリビングにやってきた。


「ただいま。荷物運ぶのを手伝ってほしいの」

「運ぶ!」

「りょーかい」


玄関を開けると、大量の段ボールが玄関前に置かれていて、愛莉が一つの段ボールを持って立っていた。


「よくここまで運んだな」

「何往復もしてたのよ。気づかなかった?」

「分からなかったわ。とりあえずリビングに運んで、部屋に運ぶのはそれからでいいだろ」

「そうね」

「あ、こいつが妹の玲奈」

「愛莉先輩!よろしくね!」

「よろしくお願いします」


愛莉は丁寧に挨拶をし、これから一緒に暮らすのに、玲奈と馴染めるか不安も残る。まぁ、最初はこんなもんか。


挨拶も済み、四人で荷物を運び始め、気づいたら22時を過ぎていた。


「終わったぞー!白波瀬!ご飯!」

「あ!何も買ってない!」


白波瀬の『やっちゃった!』みたいな顔を見て、玲奈は俺にもたれかかりながら膝から崩れていった。


「あぁ〜‥‥‥」

「玲奈!しっかりしろ!」

「お兄ちゃん‥‥‥今までありがとう‥‥‥」

「玲奈〜‼︎‼︎‼︎」

「り、凛?二人っていつもこうなの?」

「たまにかな?」


結局、四人でカップ麺を食べることになったが、白波瀬と愛莉は、それでも嬉しそうだった。


「やっぱり、誰かと食べるご飯はカップ麺でも美味しいわ」

「でも愛莉、まさか豚骨ラーメンを選ぶとはな。意外だったわ」

「濃いのが好きなの」


なんだろう。下ネタに聞こえるのは、白波瀬達と居すぎたからだろうか。


「私は流川くんのなら濃くても薄くても好きです♡」

「あ、はーい」


白波瀬は完全に下ネタだろ‼︎‼︎‼︎てか、濃いとか薄いとか分かるのかよ‼︎俺はこの前、白波瀬と夢野と秋月が下ネタで盛り上がってるのを聞いたぞ‼︎三人とも経験どころかキスもしたことないらしいじゃないか‼︎成り済ましビッチめ‼︎


「私はね!結構しょっぱいのが好き!」

「玲奈ちゃんもいやらしいわね♡」

「白波瀬」


白波瀬を睨みつけると、白波瀬は苦笑いを浮かべ、なにも言わずにお風呂へ行ってしまった。


「ねぇ、お兄ちゃん!愛莉先輩はどこで寝るの?」

「玲奈の部屋じゃダメなのか?」

「凛先輩と同じベッドで寝てるけど、毎日三人はキツいよー。凛先輩と夢桜先輩が泊まった日、かなり狭かったもん」

「んー、そうかー」


二階にはあと、親の部屋しかないからダメだしなー。


「一階に物置部屋があるんだけど、そこでいいか?」

「物がいっぱいなんじゃないの?」

「いや、使わなくなったソファーと脚が折れた使えないテーブルがあるだけで、そのソファーも別に使えるし、その部屋なら好きにしていいぞ」

「ありがとう」

「食べ終わったし、早速荷物運ぶか」

「そうね」


段ボールには愛莉と白波瀬の名前が書いてあり、どれが愛莉の荷物か分かりやすく、スムーズに段ボールを運ぶことができた。


「クローゼットとか無くて不便だと思うけどど、大丈夫か?」

「すぐに必要なもの以外、しばらくは段ボールに入れておくわ」

「そうか、白波瀬の次、お風呂入っていいからな」

「ありがとう」

「愛莉先輩!一緒に入ろうよ!」

「もちろんいいわよ」


愛莉は優しさの伝わる表情で、一緒に入ることを許可した。


「やった!」


俺も女だったらよかったのに‼︎‼︎‼︎にしてもあれだ、愛莉の嫌な表情しか見てこなかったから、なんかいいな。他人にこんなに優しい表情できるなんて知らなかったぞ。


それからしばらくして、白波瀬は白のモフモフのパジャマを着てお風呂から出てきて、愛莉と玲奈がお風呂に入りに行った。

そして白波瀬は、寝る前に俺の部屋にやって来て、軽く散らかった服を畳んでくれている。


「白波瀬」

「ん?」

「よかったな」

「はい!私、ますます流川くんが好きになったわ!」

「そ、そうか」 


よく恥ずかしいこと平気で言えるな。


「観覧車での返事、忘れないでね」

「忘れてないよ」

「よかった。それと、愛莉には気をつけた方がいいわよ」

「まだ気をつけることあんの⁉︎」

「後で分かるわ。てことでご主人様♡」

「えっ」

「今日は私が満足するまでお仕置きしてくれるんですよね♡」

「いやいや!え⁉︎」

「それと、今日はご主人様へのお仕置きも込みです♡」

「なにする気だよ!」

「ご主人様が私にしたことのあるお仕置きは、犬扱い、お尻を叩くがメインですよね♡お座り」

「無理」

「それじゃお尻をこちらへ向けてください」

「無理」

「なら普通に正座してください」

「それならいいけど」


白波瀬の目の前で正座すると、少し不満そうな表情をした。


「慣れてないことするなよ」

「普通に正座じゃつまらないので、全裸でしてください♡」

「できるか‼︎」

「ご主人様ならできます!」

「これ以上俺になにかするつもりなら、二度とお仕置きしないぞ」  


俺がそう言うと、白波瀬は俺に尻を向けながら四つん這いになった。


「なら、お仕置きされるだけで我慢します♡」

「なぁ、他の男にこういうことするなよ?絶対大変なことになるぞ」

「ご主人様以外の男性はゴミも同然です♡眼中にありません!それに、ご主人様になら大変なことされたいです♡」


しちゃうよ?本当にしちゃうよ?いいの?


「本当にしたら普通嫌がるだろ」

「好きな相手になら、初めてだって‥‥‥」

「自分が言ってる意味分かってんの⁉︎」

「はい!」

「分かってんならアウトだよ‼︎ずっと前からアウトだけどな‼︎」

「私の体もアウトさせてください♡」

「もう意味分かんないし」

「うふ♡」


それからしばらく白波瀬は、粘り強く尻をフリフリしながらお仕置きを待ち続け、俺はただただ、その尻を眺めていた。実にいい尻だ。


その時、一階から玲奈の慌てた声が聞こえてきた。


「ちょっと!ダメだってば!待って!」


玲奈が心配になりドアを開けると、目の前に全裸の愛莉が立っていて、俺は唖然とした。


「‥‥‥」

「お風呂ありがとう」

「お兄ちゃん‼︎」

「ぬぁ〜‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」


玲奈に勢いよく目潰しされ、部屋中を転げ回る俺に白波瀬は言った。


「愛莉はお風呂上がり、しばらくの間は裸族になるのよ」

「先に言え‼︎‼︎‼︎」

「ふふっ。先にイエイ‼︎ですって、なに言ってるのかしらね」

「耳どうなってんだよ‼︎とにかく愛莉は服着ろ‼︎」

「嫌よ」

「なんで⁉︎」

「暑いし、裸の方が気持ちがいいわ」

「玲奈‼︎無理矢理にでも服着せてこい‼︎」

「わ、分かった!ほら愛莉先輩!行くよ!」

「なんでよ」 

「いいから‼︎」


玲奈が愛莉を連れて一階に戻る音がし、俺は床に倒れたまま目を開けた。


「ジャーン♡」

「なんでお前は下着姿になってんだよ‼︎」


なんなんだよ‼︎‼︎紫の下着エロいしよ‼︎‼︎‼︎


「ご主人様へのご褒美です♡」

「いらねぇよ‼︎部屋から出てけ‼︎」

「嫌です♡」

「明日から俺に家に来るな」

「今すぐ玲奈ちゃんの部屋に戻ります!」

「よろしい」


どうして自分の家でこんなに疲れるんだよー‼︎‼︎‼︎


白波瀬はパジャマを着て、部屋をでようとしたが、言いたいことを思い出して呼び止めた。


「あ、待て」

「なんですか?」

「愛莉の部屋で一緒に暮らしてもいいんだぞ?」

「それはなんか、まだ照れちゃいます」

「そうか。白波瀬、表情明るくなったな」

「そうかな?」

「うん、明るくなった」


前から笑ったり、楽しそうな表情はしてたけど、なんか今までと違うように感じる。


「それならいいことね!」

「そうだな!」

「それじゃ、おやすみなさい♡」

「おやすみ」


白波瀬が部屋を出て行き、俺はやっと落ち着いてベッドに大の字になった。


明日は二人のために猪熊と杏中が料理を作ってくれるし、白波瀬と愛莉はもちろん、猪熊と杏中も喜ぶだろうな。

そんなことを思う中、不安事もあった。

白波瀬と愛莉を住まわせてるのって、問題になったりしないよな‥‥‥明日、天沢先生にだけ、こっそり相談した方がいいかな。


とりあえず風呂入るか。

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