おっぱーい‼︎‼︎‼︎
今日は白波瀬と遊園地に行く日。
黒いジーパンを履き、白いパーカーを着て駅に向かった。
駅に着くと、駅前のベンチに座る白波瀬を見つけ、思わず顔が引きつってしまった。
黒タイツに丈の長い白いパーカーを着ていて、どことなくペアルックみたいになってしまった。髪の毛も片耳に髪をかけて可愛らしくセットしてるし。
白波瀬に向かってゆっくり歩いて行き、通り過ぎながら声をかけた。
「待った?待ってないよな。行くぞ」
「ちょっと!今来たところとか言わせてよ」
白波瀬がトコトコと後ろからついて来たのが足音で分かる。
「んで、何分前に着いたんだ?」
「三時間前よ」
「は⁉︎」
ビックリしすぎて振り返ってしまった。
「6時からいたのか?昨日、時間教えたよな」
「楽しみすぎて‥‥‥」
「はいはい。行くぞ」
「なんか冷たい」
だって、理由が可愛すぎるだろうがよ‼︎
それから二人で電車に乗り、会話をしながら目的地に向かった。
「白波瀬って、パーカーとか着るんだな。イメージ無かったわ」
「えっ、似合ってない?」
「似合ってるぞ?髪も今の方がいい」
「よかった」
なんか嬉しそうだな。にしても、黒タイツの上に何か履いてるんだろうな。それだけは変態だから分からんぞ。
「そういえば、二人きりなのにご主人様とか呼ばないんだな」
最近はみんなの前でも呼んでくるけど。
「よ、呼ばれたい?」
「いや、呼ぶな」
「分かった(今日は、奴隷じゃなくて女の子としてデート!)」
そうこうしているうちに目的地に着き、そこからは歩いて遊園地に向かった。
「観覧車見えるぞ」
「すごい!」
「すごくはないだろ」
「初めて見た!」
そうか。白波瀬は小さい頃から家庭環境が大変で、遊園地なんて来たことないのか。
「デカいだろ。観覧車も乗ろうな」
「1番最初に乗る」
「観覧車はだいたい、1番最後だぞ」
「そうなの?」
「アニメとかドラマではそうだ」
「なら最後に!」
「おう」
白波瀬のテンションが上がってるのが分かる。だか、俺だってそうだ。美少女と二人で遊園地とか神展開すぎて昨日の夜からソワソワしてたし‼︎遊園地デートのプランをネットで調べまくったし‼︎よく分からなかったけど‼︎
「早く行こ!」
白波瀬に腕を引っ張られ、走って遊園地のチケット売り場までやって来た。
「お一人様3700円になります!」
無事に料金を払い終え、さっそく遊園地内に入ると、白波瀬は色んな乗り物をワクワクした様子で、小さい子供のように見渡した。
「買ったのフリーパスだから、なんでも乗れるぞ」
「ジェットコースターは?」
「あの、みんなが叫んでるやつだぞ⁉︎」
「乗ってみよ!」
「白波瀬はジェットコースターの恐怖を知らないんだよ!」
「早いだけでしょ?電車や新幹線に乗れるから大丈夫だと思うけれど」
「んじゃ、実際に乗って体感してみろ」
「行こ!」
「おう」
急落下は勿論。急カーブや3回転という地獄のお得セットのジェットコースターに乗ることになり、人もそんなに並んでいなく、あっさり乗ることができた。
席はまさかの1番前だ‥‥‥
「それでは皆さん!行ってらっしゃーい!」
ジェットコースターはガタガタと音を立てて、ゆっくり進み始め、あと少しで1番高いところという時に、白波瀬は不思議そうに話しかけてきた。
「これ壊れてるんじゃない?」
「怖いこと言うなよ!」
「ゆっくりすぎるし」
「早くなるの今からだぞ」
「ネジ落ちてたし」
平然とした表情で、やや大きめのネジを見せられ、俺は一瞬で青ざめた。
「‥‥‥止めろー‼︎止めてくれー‼︎」
ジェットコースターで客が騒ぐなんて、いつもの光景すぎて止まることなんてまず無い。
そしてジェットコースターは急落下をはじめた。
「うわぁ〜‼︎‼︎‼︎」
白波瀬をチラッと見ると、見事な白目を剥いていた。
「白波瀬〜‼︎‼︎‼︎」
なんとかジェットコースターが終わり、白波瀬の体を揺すると、ハッ!と目を覚まし、ワクワクした表情で前を向いた。
「もう終わったぞ」
「今からスタートよ?」
「白波瀬‥‥‥お前、ずっと白目剥いて気絶してたぞ」
「そんな‥‥‥」
「あ、そうだ。付いてこい」
ずっと気絶していたと知り、ガッカリしている白波瀬を連れて、ジェットコースターの写真売り場にやって来た。
「ほら見てみ。酷い顔してるぞ」
俺は完全に怯えた表情。白波瀬は白目を剥いて俺の肩に寄り掛かっていた。
「ス、スタッフさん!この写真早く消してください!」
「それはー‥‥‥」
「写真二枚ください」
「400円になります」
「はい」
「流川くん⁉︎どうして買うの⁉︎」
「こんな白波瀬、激レアだろ。白波瀬も初遊園地の思い出は白目ってことで持っておけ」
「そんな思い出嫌よ」
「んじゃ1枚キャンセルでお願いします」
「いや!キャンセルしなくていいです!」
結局欲しいんだな。
写真を受け取り、次に白波瀬が乗りたいと言ったのはメリーゴーランドで、高校生が乗るにはちょっと恥ずかしい。
「パンダに乗れるかしら」
「パンダがいいのかよ。まぁ、順番と運次第だな」
そして順番が回ってきた。
「やった!」
「よかったな!パンダじゃん!」
「流川くんは?」
「こちらへどうぞー!」
スタッフさんに案内され、白波瀬の右斜め後ろの豚に座らせられた。
「豚になった」
「似合ってる!」
「馬鹿にしてんのか!」
そうこうしているうちにメリーゴーランドは動きだし、小さい子供達に見られ、とても死にたくなった。
メリーゴーランドが終わり、満足そうな白波瀬と一度食事をとり、マジックショーを見て、お化け屋敷に向かった。
「白波瀬は怖いの平気?」
「多分大丈夫よ?」
「なら大丈夫だな!」
俺は無理無理無理無理〜‼︎さりげなく白波瀬にくっついてよ。
「私達の番みたい!」
「入るか」
そして中に入ると、ヒヤッと空気が冷たく、血だらけの壁や、天井から長い髪の毛が垂れ下がっていて、俺は今にも逃げ出したかった。
「リタイヤします‼︎」
「白波瀬⁉︎」
「早く出して!」
「注意書き見なかったのか⁉︎リタイヤできないんだよ‼︎」
「じゃ、なんでお化け屋敷なんて来たの?」
「白波瀬がどうしてもって言うからだろ⁉︎」
「だって!子供にも人気って書いてあったから!」
「お前は高校生だろ‼︎さっさと進んで出るぞ」
白波瀬の方から俺にピッタリくっついてきて、二人で怯えながら前に進んだ。
お化け屋敷のテーマは【怨念】もうそれだけで無理。
「病室みたいね」
「あの奥のベッド、誰か寝てるんだけど」
「る、流川くんが先に行って」
「さきに死ねって⁉︎」
「そんなこと言ってない!」
「い、一緒に進もうぜ」
「うん」
白波瀬は俺の腕にしがみつき、ガッツリ胸が当たっている。そうだ、胸のことだけを考えよう。
おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい。
その瞬間、大きな叫び声と共にベッドに寝ていた女の幽霊が起き上がってきた。
「おっぱーい‼︎‼︎‼︎」
そのまま全力で走り、次から次へと脅かしてくる演出を半分無視してゴールにやってきた。
「ヤバイって‥‥‥お化け屋敷とか一生入らない」
「私も‥‥‥それで、おっぱいって?」
「そんなこと言ってないわ」
「言ってた!」
「言ってない」
「なら気のせいかも」
「おう」
おっぱいのこと考えすぎて、叫び声がおっぱいになったのは自分でもかなり焦った。
それから空中ブランコやコーヒーカップなど、様々なアトラクションを楽しみ、お土産屋さんで買い物をし、夕方になった頃、ラストの観覧車を乗りにきた。
「なんか、これに乗ったら終わりって思うと悲しいわね」
「そうか?」
「やっぱり、最後はこれって決まりを作らない方がいいわよ」
「まぁ、乗れば景色が良くて楽しい気持ちになるよ」
「そうね!」
観覧車に乗り込み、ゆっくりと高くなっていき、俺達は向かい合って話をした。
「今日は楽しかったな!」
「すごく楽しかった!また一緒に来てくれる?」
「また白波瀬に借りを作ったらな」
「じゃないと来てくれないの?」
「多分な」
「それじゃ、私頑張るわ。流川くんが喜ぶことをする。嫌がることはしない。困っていたら助ける。だから付き合ってください」
「は?」
「あっ」
なんだよ、その勢い余って言っちゃったみたいな顔。どうしたらいいんだよ。
「‥‥‥ダメかしら」
「んー、保留」
「ほ、保留?」
「今は答えを出せない」
「どうして?」
「今は、どんな答えを出しても壊れてしまう物がある。俺はそれが嫌なんだ」
「いつかは答えをくれるの?」
「いつかはな」
「それまで待つわ」
「ありがとう」
‥‥‥はーい‼︎‼︎‼︎人生の勝ち組しか味わえない、観覧車で逆告白演出キター‼︎‼︎‼︎はい勝ち‼︎はい優勝‼︎
心の中でテンション爆上げの俺見て、白波瀬はニコニコして言った。
「流川くん、なんか楽しそう」
「か、観覧車が好きなんだよ」
「そうなんだ!もう少しで1番高いところじゃない?」
「そうだな!」
白波瀬は俺の隣に移動してきて、一緒に夕陽を眺めながら遊園地デートは終わった。
あのジェットコースターのネジはなんだったんだろうか‥‥‥
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