エピローグ
「美津子久しぶり!」
「由香も元気にしてた?」
「私はいつでも元気だよ♪ それにしても麻友・・・綺麗だったね」
「そうだね。色々大変だっただけに私もちょっと感動しちゃったよ」
今日は親友の麻友と結城君の結婚式だった。
披露宴の後、会場を出た私達はホテルラウンジにあるカフェで寛いでいるところだ。
大学を卒業して4年。
あの2人も付き合いが長いし田辺君と楓ちゃんみたいに大学を卒業したらすぐに結婚するのかと思ってたんだけど意外と結婚までの道のりが長かった。
麻友が社長令嬢ということもあって、結婚の条件とか色々あったらしくて・・・
まぁ実際のところはおじさん(麻友のお父さん)が可愛い娘を嫁に出すのが嫌で半ば意地悪で言っただけだったらしいんだけど、結城君も変なところで意地張って条件をクリアするまで頑張っちゃったのよね。
まぁおかげで何年も麻友は待つことになっちゃったんだけど。。。
あ、ちなみに2人共おじさんの会社に就職して麻友は秘書課、結城君は営業部で頑張ってる。麻友も陰ながらに結城君のフォローはしてたみたいだけど彼も今じゃ若手の出世頭でおじさんの信頼も厚いらしいしある意味結果オーライではあったみたいだけどね。
「そういえば どう?関西の生活も慣れた?」
「うん。友達も出来たし食事も美味しいし結構私にあってる土地柄かも♪」
美津子は大学卒業後は都内で働きながら彼氏の吉見君との愛を育み2年前に結婚。
去年商社に勤めている吉見君の転勤にあわせて神戸に引っ越しした。
吉見君的には単身赴任でもと思ってたらしいけど美津子は一緒に居たかったらしく仕事を辞めて一緒に引っ越しとなった。仲のよろしいことで・・・
あ、仕事と言えば、私は今、某服飾メーカーでデザイナーとして働いている。
ある意味夢が叶ったのかな。
まだまだ下っ端だけど大好きな服飾関連の仕事に就けたということで毎日が充実している。
ちなみに・・・色恋沙汰は大学卒業後ほとんどない。
いや、それなりに学生時代は彼氏的な人が居たこともあったけど今は仕事が楽しくって・・・とだけ言っておこう。
まぁここ何年かは家と職場の往復な生活だけど別にブラックな職場というわけではない・・・と思う。いや思いたい・・・
そんな旧友と久しぶりの会話を楽しんでいると
「早瀬さん、吉見さん!」
「ご無沙汰♪」
「わぁ久しぶり!!」
田辺君と楓ちゃんだ。
披露宴で別のテーブルに居るのは気が付いたけど声掛けそびれちゃったのよね。
2人共元気そうだ。
2人とは高校2年生の時にクラスが一緒になって文化祭をきっかけに仲良くなったのよね。
大学は別だったけど卒業後も時々連絡も取りあっている仲だ。
対面で会うのは2年前の美津子の結婚式以来かな。
その後は4人での懐かしい時間となった。
何だか高校時代に戻ったかのような気分だ(歳は20代も半ばだけどね。。。)
「あ、そういえばさ、渋沢君って由香の後輩だったよね。文芸部で仲良くしてた」
「え!?渋沢君。う うん。そうだけど どうかしたの?」
何でここで渋沢君?
楓ちゃんって渋沢君と面識あったっけ?
渋沢君・・・そういえば卒業後は何だか気まずくて連絡もあんまり取らなくなっちゃったんだよね。元気にしてるのかな?
「うん。うち(バスケ部)の後輩の大室ちゃんって子と結婚したんだよ。
今、同じ職場で働いてるらしくて」
「そ そうなんだ・・・」
そっか・・・渋沢君結婚したんだ。
バスケ部の子っていうと高校時代のあの子かな?
もしそうなら、あの子は頑張ったんだね。
想いを伝えるために・・・
あの頃の私は自分自身にもっと自信が持てる様になったらとか思ってたけど・・・結局逃げてたんだね。嫌われるのが・・・関係性が壊れるのが嫌で。
そうだよね。私は待ってるだけで何もしなかったのに彼女は頑張ったんだ。
やっぱり思いはちゃんと伝えないと伝わらないんだよね。
渋沢君・・・幸せにね。
「楓ちゃん。今度渋沢君達に会うことがあったら伝えといて」
「何を?」
「お幸せにって♪」
fin
伝えられなかった思い ひろきち @hiro_1974
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